日本M&Aセンターの株価が下落した理由を教えてください。
日本M&Aセンターの将来性についても知りたいです。
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「日本M&Aセンターの株価が下落した理由は?」「日本M&Aセンターの将来性は?」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- 日本M&Aセンターの株価が下落した理由①:不適切会計の発覚
- 日本M&Aセンターの株価が下落した理由②:前期決算(2023年3月期)の失速
- 日本M&Aセンターの株価が下落した理由③:中期経営目標の下方修正を発表
- 2023年12月現在、日本M&Aセンターの将来性は不透明。
2023年11月に見直しをした「第4期中期経営目標」を確実に達成していければ、株価復活も…。
※記事は3分くらいで読み終わります。
日本M&Aセンターはどんな会社?
日本M&Aセンターは、中小企業のM&A仲介で最大手。
地方銀行の9割、信用金庫の8割、1,000以上の会計事務所とネットワークを構築。業界内でもトップクラスのM&A(企業の合併・買収)・事業承継の仲介をしています。
日本企業の約99%を占めている中小企業は、長年にわたり深刻な課題を抱えています。
それは、経営者の高齢化と後継者不足の問題です。
日本M&Aセンターなど、M&A仲介業者にとっては、フォローの風が吹いていると言えます。
同社は、創業者の分林 保弘氏、代表取締役社長の三宅 卓氏の強いリーダシップの下、業績を拡大させ、2006年10月に株式を上場。1991年の設立からわずか29年で、時価総額1兆円を達成しました(2020年)。
ところが、2021年12月、売上高の計上時期に関する不適切会計が発覚。株価は高値(3,700円台)から、6分の1(600円台)の水準まで下落。
時価総額も1兆2,000億円台だったものが、2,300億円(2023年11月現在)まで減少しています。
一部のネットやSNSでは、「日本M&Aセンターは大丈夫か?」「今後の業績や株価はどうなるのだろう?」と言った心配や不安の声が上がっています。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | 日本M&Aセンターホールディングス |
証券コード | 2127 |
本社 | 東京都千代田区丸の内 |
設立 | 1991年4月 |
決算 | 3月31日 |
市場 | 東証プライム |
事業内容 | M&A仲介 |
従業員数(連結) | 約1,000名(2023年3月期) |
売上高 | 413億円(2023年3月期) |
配当利回り | 2.34%(2023年3月期) |
株価 | 689.1 円(2023年11月28日終値) |
購入できる証券会社 | 松井証券、楽天証券など |
日本M&Aセンターは、ネット証券で購入するのが便利で、手数料もお得です。
松井証券の場合、1日の取引額が50万円以下であれば手数料は無料です。ぜひ、この機会に口座を開設しておきましょう。
日本M&Aセンターの業績推移
日本M&Aセンターの過去10期分の業績は、下記のとおり。
※不適切会計の影響があった2021年&22年3月期の決算は、データ修正後の正規の数字
決算期 | 売上高 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2014年3月 | 105億円 | 54億円 | 33億円 |
2015年3月 | 122億円 | 63億円 | 39億円 |
2016年3月 | 147億円 | 71億円 | 48億円 |
2017年3月 | 190億円 | 90億円 | 61億円 |
2018年3月 | 246億円 | 116億円 | 81億円 |
2019年3月 | 284億円 | 125億円 | 88億円 |
2020年3月 | 320億円 | 144億円 | 102億円 |
2021年3月 | 347億円 | 154億円 | 106億円 |
2022年3月 | 404億円 | 168億円 | 114億円 |
2023年3月 | 413億円 | 154億円 | 98億円 |
2014年3月期に105億円だった売上高は、毎期順調に成長。
2023年3月期には413億円と約4倍に成長しました。年16.5%の増収を9年続けてきた計算になります。
経常利益と純利益も順調に伸びています。
2014年3月期に54億円だった経常利益は、2023年3月期に154億円と、ほぼ3倍に…。
純利益についても、2023年3月期には98億円と、2014年3月期の33億円から3倍になっています。
なお、2021年12月に発覚した不適切会計で大きな影響を受けた2021年3月期の決算ですが、売上高は14億円の減収(361億円 → 347億円)。
経常利益は11億円の減益(165億円 → 154億円)、純利益は8億円の減益(114億円 → 106億円)となりました。
日本M&Aセンターの株価推移
日本M&Aセンターの株価推移(約17年分)は、下記のとおりです。
※株価チャートは拡大できます。
2006年10月に上場した日本M&Aセンターですが、株価が動き始めたのは2014年頃から。
それまで300円前後だった株価は、2014年末には470円台、2015年末には700円台に乗せました。
その後も右肩上がりで株価は推移。2017年には1,000円を突破して、同年10月には1,400円台を記録。
2018年&19年は、2,000円突破を目前にやや苦戦したものの、2020年には再び上昇局面に…。
株価は2,000円を突破し、2020年12月には高値3,785円を記録しました。
ところが…、
2021年12月に大きな転換点(不適正会計の発覚)を迎えます。
同年11月の3,745円を頂点として、2022年には1,200円台まで下落。
2023年には、株価が1,000円を割り込む事態に…。2023年後半になっても株価は落ち着かず、11月には627円の安値をつけています。
※株価627円は、2020年12月の高値3,785円の6分の1。2015年~16年頃の株価水準に、逆戻りしてしまいました。
【怪しい?】日本M&Aセンターの株価が下落した理由は?
日本M&Aセンタの株価が下落した理由は、下記の3点が考えられます。
※日本M&Aセンターは怪しい会社ではありませんが、同社株が大きく下落したことには、それなりの理由があります。
- 理由①:不適切会計の発覚
- 理由②:前期決算(2023年3月期)の失速
- 理由③:中期経営目標の下方修正を発表
それぞれ解説します。
理由①:不適切会計の発覚
理由の1つ目は、売上高の計上時期に関する「不適切会計の発覚」です。
この結果、日本M&Aセンターでは、すでに公開済みの有価証券報告書の訂正を余儀なくされました。
とくに、2021年3月期の業績への影響が大きかったので、下記に載せておきます。
※上段:2021年3月期の決算(訂正前)
下段:2021年3月期の決算(訂正後)
決算期 | 売上高 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2021年3月(訂正前) | 361億円 | 165億円 | 114億円 |
2021年3月(訂正後) | 347億円 | 154億円 | 106億円 |
訂正前に比べて、訂正後の売上高は14億円の減収。
経常利益は11億円、純利益は8億円の減益になりました。
不適切会計が明らかになった後、株価は大幅に下落。
2021年11月には3,700円台だった株価は、12月には2,400円台と、35%くらい下落しました。
個人投資家の中には、2022年2月に上場廃止になった、
グレイステクノロジーの悪夢を思い出した方もいるかもしれません…。
理由②:前期決算(2023年3月期)の失速
理由の2つ目は、前期決算(2023年3月期)の失速です。
決算期 | 売上高 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2018年3月 | 246億円 | 116億円 | 81億円 |
2019年3月 | 284億円 | 125億円 | 88億円 |
2020年3月 | 320億円 | 144億円 | 102億円 |
2021年3月 | 347億円 | 154億円 | 106億円 |
2022年3月 | 404億円 | 168億円 | 114億円 |
2023年3月 | 413億円 | 154億円 | 98億円 |
上記は、ここ6期分の業績の推移です。
2021年12月に不祥事が発覚したものの、2022年3月期までは増収増益と、業績を順調に伸ばしてきました。
ところが、2023年3月期には、売上高は何とか増収を確保したものの、経常利益・純利益ともに減益を発表。
毎期、増収増益を達成し、成長株のイメージの強かった同社株にはダメージとなりました。
※2023年3月には、株価が1,000円を割り込んでしまいました…。
理由③:中期経営目標の下方修正を発表
理由の3つ目は、中期経営目標の下方修正を発表です。
日本M&Aセンターは2023年11月、「第4期中期経営目標」の見直し(数値目標の下方修正)を発表しました。
従来の中期経営目標では、「2027年3月期の売上高780億円、経常利益350億円」としていました。
ところが、2021年の不祥事の影響もあり、2022年&2023年3月期に、売上高や経常利益に計画未達が発生、中期経営目標の見直しをせざるを得なくなりました。
新しい中期経営目標では、「2028年3月期の売上高762億円、経常利益305億円」へと変更され、達成時期の遅れと目標金額の下方修正を含む内容となっています。
以上により、同社の成長性について、再び投資家の不安が再燃…。
株価のさらなる下押し要因となっています。
※2023年11月に記録した安値627円は、高値3,785円(2020年12月)から6分の1になってしまいました。
日本M&Aセンター100株で配当金はいくらもらえる?
日本M&Aセンターの2023年3月期の配当金は、下記のとおり。
時期 | 配当金 |
---|---|
中間配当(2022年9月) | 11円 |
期末配当(2023年3月) | 12円 |
合 計 | 23円 |
上記のとおり、日本M&Aセンターの配当金は、2回に分けて分配されます。
100株を保有している場合、2,300円の配当金を受け取ることができました。
※なお、実際の手取り額は1,833円(20.315%の所得税・住民税が引かれる)です。
配当金の額は、業績によって変化しますので、moomoo(ムームー)などの株アプリで会社の動向をウォッチしていきましょう。
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✓ 参考:日本M&Aセンターの配当利回り&配当性向
日本M&Aセンターの過去6期分の配当利回りは、0.56%~2.34%。平均すると、1.01%です。
東証プライム全銘柄の配当利回りは、2.24%(2023年11月28日、日本経済新聞より)なので、平均よりもかなり低めです。
※配当利回り = 各期の配当金 ÷ 株価(期末)× 100で算出
決算期 | 配当金 | 株価(期末) | 配当利回り | 配当性向 |
---|---|---|---|---|
2018年3月 | 10.25円 | 1,830円 | 0.56% | 40.3% |
2019年3月 | 11.5円 | 1,515円 | 0.76% | 41.7% |
2020年3月 | 13円 | 1,477.5円 | 0.88% | 41.1% |
2021年3月 | 14円 | 2,933円 | 0.47% | 43.1% |
2022年3月 | 18円 | 1,727円 | 1.04% | 52.0% |
2023年3月 | 23円 | 984円 | 2.34% | 77.3% |
2021年12月に不適切会計が発覚するまでは、配当利回りが1%未満と、配当面では全く魅力のない銘柄でした。
不祥事が発覚した後は、株価が大きく値下がりするとともに、配当金の増額ペースもUPされました。
株価の下落と配当金の増額に伴い、配当利回りも少しずつ改善され、2022年3月期には1%台、2023年3月期には2%台に乗せています。
なお、2024年3月期の配当金は、23円を予定しています。現在の株価689.1円(2023年11月28日終値)で計算すると、配当利回りは3.34%になります。
参考までに、日本M&Aセンターの配当方針も載せておきます。
連結配当性向60%に設定し、積極的な株主還元に努める
引用元:日本M&AセンターHD 株主還元
配当性向を60%に設定すると明記していることから、株価が低迷している間は、2~3%台の配当利回りを狙えそうです。
日本M&Aセンター 100株はいくらで買える?
日本M&Aセンター 100株を購入する場合、下記で計算できます。
株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金
2023年11月28日の日本M&Aセンターの終値は689.1円なので、これで計算してみます。
なお、松井証券の場合、50万円までの取引なら、手数料は無料となっています。
689.1円 × 100株 + 0円= 68,910円
7万円くらいあれば、日本M&Aセンターの株主になれます。
日本M&Aセンターの将来性は?
まずは、結論から。
現段階では、日本M&Aセンターの将来性は不透明。
2023年11月に見直しをした「第4期中期経営目標」を確実に達成していくことで、株価も回復していくと考える。
日本M&Aセンターの将来性は、「第4期中期経営目標」を確実に達成できるか否かにかかっていると考えます。
繰り返しになりますが、同社は2021年12月に不適切会計という不祥事を起こし、投資家からの失望を買いました。
その後、2022年&2023年3月期と、2期連続で期初に掲げた数値目標の未達が続き、さらに投資家に不安が拡がりました。
そして、今回の第4期中期経営目標の見直しが、3回目のチャレンジになります。
「三度目の正直」という言葉もあるとおり、今回の中期経営目標を再び見直す事態になってしまうと、同社の株価復活は当面の間、難しくなるかもしれません。
※2023年3月期は実績、2024年3月期から2028年3月期までが会社計画の数字
決算期 | 売上高 | 経常利益 |
---|---|---|
2023年3月 | 413億円 | 154億円 |
2024年3月(計画) | 440億円 | 170億円 |
2025年3月(計画) | 487億円 | 187億円 |
2026年3月(計画) | 560億円 | 218億円 |
2027年3月(計画) | 644億円 | 254億円 |
2028年3月(計画) | 762億円 | 305億円 |
日本M&Aセンターの業績が、会社の計画通りに伸びていけば、
売上高は、2028年3月期には762億円(2023年3月期:413億円の1.8倍)となり、年13%の成長。
経常利益は、2028年3月期には305億円(2023年3月期:154億円の2倍)となり、年14.6%の成長です。
日本M&Aセンター株に興味のある方は、まずは2024年3月期の決算(2024年4月末頃、発表予定)を見届けましょう!
まとめ:今回のポイント
今回は、日本M&Aセンター(2127)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- 日本M&Aセンターの株価が下落した理由①:不適切会計の発覚
- 日本M&Aセンターの株価が下落した理由②:前期決算(2023年3月期)の失速
- 日本M&Aセンターの株価が下落した理由③:中期経営目標の下方修正を発表
- 2023年12月現在、日本M&Aセンターの将来性は不透明。
2023年11月に見直しをした「第4期中期経営目標」を確実に達成していければ、株価復活も…。
日本M&Aセンターの株価が下落した最大の理由は、不適切会計を行ったからです。
その結果、営業活動が一時できなくなり、2023年3月期の減益や中期経営目標の下方修正に繋がりました。
同社の将来性は、今のところ不透明ですが、まずは今期(2024年3月期)の決算を確認し、計画通りに達成できるか否かを見極めるのが無難かと思います。
成長株として投資家の注目を集めていた、日本M&Aセンターの復活劇を期待したいところです。
※投資の判断は自己責任でお願いします。
今回は以上です。