NTT株の株価が下落した理由は何ですか?
今後、株価や配当金はどうなるのか教えてください。
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「NTTの株価が下落した理由は?」「NTT株の株価・配当金は今後どうなる?」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- NTTの株価が下落した理由①:完全民営化構想の浮上
- NTTの株価が下落した理由②:直近決算で3年ぶりの最終減益
- NTTの現在の株価170円台は、過去10年来の高値圏にある。
今後、業績の上方修正や新たな株価材料がなければ、さらなる上昇は難しい。 - NTTの今期(2024年3月期)の配当金は5円を予定、13期連続で増配の見通し。
※記事は3分くらいで読み終わります。
NTTはどんな会社?
NTT(9432)は、NTTグループの持株会社。傘下には、NTTドコモ・NTT東日本・NTT西日本・NTTデータなどの子会社があります。
2020年12月に完全子会社化した、NTTドコモがグループの稼ぎ頭で、売上高の46%、営業利益の60%を稼いでいます(2023年3月期)。
2023年3月期の売上高は13兆円で、国内最大の通信会社。ライバルのKDDI(売上高:5.6兆円)、ソフトバンク(売上高:5.9兆円)を大きくリードしています。
2023年7月に1株を25株にする株式分割を実施。それまで1株3,000~4,000円台だった株価が、1株170円台で購入できるようになりました。
※現在、17,300円(173円 × 100株)くらいでNTTの株主になれます。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | 日本電信電話 |
証券コード | 9432 |
本社 | 東京都千代田区大手町 |
設立 | 1985年4月 |
決算 | 3月31日 |
市場 | 東証プライム |
主な事業内容 | 携帯電話、固定電話、システムインテグレーション など |
従業員数(連結) | 約338,000名(2023年3月期) |
売上高 | 13兆1,361億円(2023年3月期) |
配当利回り | 3.03%(2023年3月期) |
株価 | 173.3円(2023年11月27日終値) |
購入できる証券会社 | 松井証券、楽天証券など |
NTT株は、ネット証券で購入するのが便利で、手数料もお得です。
松井証券の場合、1日の取引額が50万円以下であれば手数料は無料です。ぜひ、この機会に口座を開設しておきましょう。
NTTの業績推移
NTTの過去5期分の業績は、下記のとおりです。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2019年3月 | 11兆8,798億円 | 1兆6,938億円 | 8,545億円 |
2020年3月 | 11兆8,994億円 | 1兆5,621億円 | 8,553億円 |
2021年3月 | 11兆9,439億円 | 1兆6,713億円 | 9,161億円 |
2022年3月 | 12兆1,564億円 | 1兆7,685億円 | 1兆1,810億円 |
2023年3月 | 13兆1,361億円 | 1兆8,289億円 | 1兆2,131億円 |
売上高は2019年~2021年3月期にかけて、ほぼ横ばい(11.9兆円前後)で推移。
2022年3月期に12兆円を超え、2023年3月期には13兆円台になりました。
※2023年3月期に約1兆円増収した要因は、システムインテグレーション事業とその他事業(不動産など)によるものです。
営業利益は大きな変化はなく、ここ5期では、1兆7,000億~1兆8,000億円前後となっています。
※なお、営業利益率(営業利益 ÷ 売上高 × 100)は14%前後なので、収益性の高い企業集団と言えそうです。
純利益は順調に伸びています。2021年3月期から2023年3月期まで、3期連続で過去最高益を記録しています。
NTTの株価推移
NTTの株価推移(過去5年分)は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
2019年前半、株価は100円を下回った状態でしたが、年末にかけて徐々に上昇。12月には114.1円をつけました。
国内外で新型コロナの緊急事態が宣言された2020年は、NTTの株価も軟調な展開に…。
10月には安値85.1円を記録しました。
2020年11月から株価は上昇局面へ突入。以後、右肩上がりで推移します。
2021年には132.5円(11月)をつけ、2022年には165.1円(10月)と上昇し、好調をキープ。
2023年は、7月に株式の25分割が行われました。
株式の分割後も株価は順調で、2023年9月には183.4円をつけ、2020年の安値(85.1円)から株価は2倍以上になりました。
2023年11月現在、NTT株は170円台で推移しています。
NTTの株価が下落した理由は?
2023年7月に株式の25分割が実施されたNTTですが、株価はその後も順調に推移。
2023年9月には高値183.4円をつけました。
ところが、10月・11月と株価は軟調な展開になり、現在170円台となっています。
なぜ、NTTの株価は下落したのでしょうか? その理由を以下で考察してみます。
- 理由①:完全民営化構想の浮上
- 理由②:直近決算で3年ぶりの最終減益
それぞれ解説します。
理由①:完全民営化構想の浮上
理由の1つ目は、完全民営化構想が浮上したからです。
現在、NTT株は財務大臣(日本政府)が筆頭株主で、33.3%を保有しています。
ところが、2023年7月、政府の要人(萩生田氏)が「NTT株の売却」に言及。NTT株の放出による需給悪化を懸念し、株価は下落しました。
政府がNTT株を売却する理由は、防衛費増額を賄う財源を確保したいため。
※政府が保有するNTT株をすべて売却すれば、約5兆円の財源を確保できます(2023年11月現在)。
今後も、NTT法の改正を含め、NTT株の売却時期、売却方法などが注目材料になりそうです。
株価は先行きの不透明感を嫌うので、NTTの株価は下落しました。
完全民営化の行方がどうなるのか、要注目です!
理由②:直近決算で3年ぶりの最終減益
理由の2つ目は、直近決算(2023年4~9月期)で3年ぶりの最終減益を計上したからです。
NTTが発表した、2023年4~9月期の決算は下記のとおり。
※比較のため、上段に2022年4~9月期の決算、下段に2023年4~9月期の決算を記載。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2022年4~9月 | 6兆2,861億円 | 9,965億円 | 6,966億円 |
2023年4~9月 | 6兆3,645億円 | 9,509億円 | 6,708億円 |
売上高は、1%ほどの増収になりましたが、純利益が約4%減の6,708億円と3年ぶりの減益となりました。
固定電話などの契約が減り、地域通信事業が低迷したことが大きな要因です。
2023年4~6月期の純利益は、3年連続で過去最高を更新していただけに、3年ぶりの減益は株価に悪影響を与えました。
なお、NTTにとって負担の大きい固定電話事業は、NTT法による縛りがあるため、大胆な構造改革ができない点が同社のマイナス材料となっています。
NTT 100株で配当金はいくらもらえる?
NTTの2023年3月期の配当金は、下記のとおり。
※2023年7月に実施された株式分割(1株 → 25株)を考慮して作成
時期 | 配当金 |
---|---|
中間配当(2022年9月) | 2.4円 |
期末配当(2023年3月) | 2.4円 |
合 計 | 4.8円 |
上記のとおり、NTTの配当金は2回に分けて分配されます。
100株を保有している場合、480円の配当金を受け取ることができました。
※なお、実際の手取り額は383円(20.315%の所得税・住民税が引かれる)です。
配当金の額は、業績によって変化します。moomoo(ムームー)などの株アプリで、会社の動向をチェックしましょう。
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NTTの株主優待は?
NTTの株主優待は、dポイントの進呈です。
保有株数 | 保有期間 | 進呈される dポイント | 基準日 |
---|---|---|---|
100株以上 | 2年以上3年未満 | 1,500ポイント | 3月31日 |
100株以上 | 5年以上6年未満 | 3,000ポイント | 3月31日 |
保有期間により、もらえる dポイントが異なりますので、より詳しくは下記をご覧ください。
NTT 100株はいくらで買える?
NTT100株を購入する場合、下記で計算できます。
株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金
2023年11月27日のNTTの終値は、173.3円なので、これで計算してみます。
なお、私も利用している松井証券の場合、50万円までの取引なら、手数料は無料となっています。
173.3円 × 100株 + 0円= 17,330円
およそ1.8万円で購入可能です。株式分割前までは、30~40万円くらい必要だったので、本当に買いやすくなりました!
若い人達に株を買ってもらい、長期保有の株主を増やすことがNTTの狙いのようです。
NTT株は今後どうなる?
NTT株は今後どうなるのか?
株価と配当金について、以下でそれぞれ考察してみます。
NTT株、今後の株価はどうなる?
株価は、下記の計算式で決まります。
EPS(1株利益)× PER(株価収益率)= 株価
2024年3月期のNTTの予想EPSは、14.8円(日本電信電話 決算短信より)。
NTTの過去5期分のPERは、最低が10.7倍、最高が11.5倍(日本電信電話 有価証券報告書より)。
この2つの数字から、NTTの株価を計算すると下記になります。
14.8円 × 10.7倍~11.5倍 = 158.4円~170.2円
あくまでも、計算上ですが、「158.4円~170.2円」という株価が算出されました。
ちなみに、現在のNTTの株価は173.3円(2023年11月27日終値)。
下記の株価チャート(直近5年分)を見ても、株価はほぼ高値圏にあると考えてよさそうです。
※株価チャートは拡大できます。
✓ 参考:NTTの過去10年分の高値・安値
参考までに、NTTの過去10年分の高値・安値を載せておきます。
年 | 高値(月/日) | 安値(月/日) |
---|---|---|
2014年 | 71.2円(9/11) | 50.5円(4/11) |
2015年 | 101.3円(8/6) | 60.2円(1/5) |
2016年 | 108.4円(2/1) | 83.1円(11/15) |
2017年 | 118.1円(11/30) | 93.4円(4/27) |
2018年 | 109円(1/9) | 81円(11/1) |
2019年 | 114.1円(12/13) | 88.2円(1/4) |
2020年 | 116.3円(2/7) | 85.1円(10/2) |
2021年 | 132.5円(11/16) | 104.5円(1/29) |
2022年 | 165.1円(10/21) | 126円(1/4) |
2023年 | 183.4円(9/27) | 147.8円(1/10) |
※2023年7月に実施された株式分割(1株 → 25株)を考慮して作成
※2023年の数字は、2023年11月27日までのもの
過去10年まで遡っても、現在の170円台の株価は高値圏にあることがわかります。
NTTの株価がさらに上昇するためには、業績の上方修正や新たな株価材料が必要だと考えます。
NTT株、今後の配当金はどうなる?
NTTの配当実績(過去10期分)と、2024年3月期の予想配当金は下記のとおり。
決算期 | 配当金 | 株価(期末) | 配当利回り |
---|---|---|---|
2014年3月 | 1.7円 | 56.19円 | 3.03% |
2015年3月 | 1.8円 | 73.97円 | 2.43% |
2016年3月 | 2.2円 | 96.96円 | 2.27% |
2017年3月 | 2.4円 | 95.04円 | 2.53% |
2018年3月 | 3円 | 98円 | 3.06% |
2019年3月 | 3.6円 | 94.06円 | 3.83% |
2020年3月 | 3.8円 | 103.02円 | 3.69% |
2021年3月 | 4.2円 | 113.68円 | 3.69% |
2022年3月 | 4.6円 | 141.8円 | 3.24% |
2023年3月 | 4.8円 | 158.48円 | 3.03% |
2024年3月(予想) | 5円 | - | - |
※2023年7月に実施された株式分割(1株 → 25株)を考慮して作成
※配当利回り= 各期の配当金 ÷ 株価(期末)× 100 で算出
NTTの配当金は、毎期確実に増加しています。
2014年3月期に1.7円だった配当金は、5年後の2019年3月には3.6円と2倍強に。
10年後の2024年3月期の配当金(予想)は5円なので、1.7円から約3倍になる見込みです。
※2024年3月期に5円の配当が実施されれば、13期連続の増配となります。
また、NTTの過去10期分の配当利回りは、2.27~3.83%。平均すると、3.08%です。
東証プライム全銘柄の配当利回りは、2.24%(2023年11月27日現在:日本経済新聞より)なので、平均よりも高めであることがわかります。
最後に、NTTの株主還元に関する方針を載せておきます。
継続的な増配および機動的な自己株式取得の実施を基本的な考え方とする
引用元:NTT 株主還元に関する基本方針
他の上場企業のような具体的な数値目標はありませんが、13年連続の増配は魅力的です。
景気敏感株のように業績が大きく上下することもないので、投資先の1つとして考えてもいいのでは?…と、個人的には考えます。
まとめ:今回のポイント
今回は、NTT(9432)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- NTTの株価が下落した理由①:完全民営化構想の浮上
- NTTの株価が下落した理由②:直近決算で3年ぶりの最終減益
- NTTの現在の株価170円台は、過去10年来の高値圏にある。
今後、業績の上方修正や新たな株価材料がなければ、さらなる上昇は難しい。 - NTTの今期(2024年3月期)の配当金は5円を予定、13期連続で増配の見通し。
NTTには、完全民営化構想(日本政府による株式売却)や、NTT法による縛りで固定電話事業などを大胆に改革できないなどの懸念材料があり、さらなる株価上昇は、現段階では難しいと判断します。
NTTの株価が200円を突破し、さらなる上値を追うためには、民営化構想の見通しがはっきりすること、NTTドコモ(携帯電話事業)に続く2つ目の収益源の目途が立つなど、新たな株価材料が必要だと考えます。
とは言え、業績自体は安定しており、また配当利回りも3%以上を狙え、10期以上にわたり増配を続けている点は魅力です。
今から株式投資を始めたい初心者の方や、できるだけリスクを避けて安定的に配当を得たい方には、おすすめできる銘柄の1つだと思います。
※投資判断は自己責任でお願いします。
今回は以上です。