脱炭素化が社会で進む中、INPEX(インペックス)に将来性はありますか? 今後の株価・配当金の見通しについても教えてください。
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「INPEXに将来性はあるのか?」「INPEXの株価・配当金は今後どうなる?」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- INPEXに将来性は「ある!」
- INPEXに将来性がある根拠①:日本政府が筆頭株主のエネルギー企業
- INPEXに将来性がある根拠②:CO₂排出量の少ない天然ガスへのシフト
- INPEXに将来性がある根拠③:脱炭素社会に向けた事業ポートフォリオ
- INPEX の株価は、2,892円(BPS:1株当たり純資産)を目指したいところだが、達成は難しいと判断。その根拠は、業績のピークアウト、為替が円高に向かう可能性などです。
- INPEXの予想配当金(2023年12月期)は74円で、3期連続の増配見通し。
※記事は3分くらいで読み終わります。
INPEXはどんな会社?
INPEXは国内外で、石油や天然ガスを探鉱・開発・生産している国内最大手の会社です。
おもな販売先は、ENEOS、出光興産、コスモ石油、住友化学、東京電力、中部電力、関西電力、東京ガス、大阪ガスなど。
「日本に安定的にエネルギーを供給すること」を使命としており、経済安全保障上も重要な会社となっています。
このため、政府(経済産業大臣)が筆頭株主(約20%を所有)で、海外などからの買収に備えています。
オーストラリアの天然ガス開発事業「イクシス」が事業の柱で、純利益の約7割(2022年12月期)を稼いでいます。
※ちなみに、イクシスのLNG(液化天然ガス)の年間生産量は890万トン。日本が輸入するLNGの約1割に相当。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | INPEX |
証券コード | 1605 |
本社 | 東京都港区赤坂 |
設立 | 2006年4月 |
決算 | 12月31日 |
市場 | 東証プライム |
事業内容 | 石油・天然ガスの探鉱、開発、生産 |
従業員数(連結) | 3,300名(2022年12月期) |
売上高 | 2兆3,246億円(2022年12月期) |
配当利回り | 4.44%(2022年12月期) |
株価 | 2,082.5円(2023年11月17日終値) |
購入できる証券会社 | 松井証券、楽天証券など |
INPEXは、ネット証券で購入するのが便利で、手数料もお得です。
松井証券の場合、1日の取引額が50万円以下であれば手数料は無料です。ぜひ、この機会に口座を開設しておきましょう。
INPEXの業績推移
INPEXの過去6期分の業績は、下記のとおりです。
※2019年12月期は9ヵ月決算。以降、決算期を12月31日に変更。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2018年3月 | 9,337億円 | 3,573億円 | 403億円 |
2019年3月 | 9,713億円 | 4,742億円 | 961億円 |
2019年12月 | 1兆円 | 4,986億円 | 1,235億円 |
2020年12月 | 7,710億円 | 2,484億円 | -1,116億円 |
2021年12月 | 1兆2,443億円 | 5,906億円 | 2,230億円 |
2022年12月 | 2兆3,246億円 | 1兆2,464億円 | 4,382億円 |
ここ6期分の売上高は、2020年12月期の決算を除き、順調に伸びています。
2020年12月期はコロナウイルス感染拡大の影響で、国内外の経済活動が停滞。
INPEXの売上高も大きく減少しました。
※具体的には、原油・天然ガスの販売価格の下落で約3,600億円、販売数量の減少で約170億円の減収となりました。
次に営業利益・純利益についてですが、こちらも、2020年12月期の決算以外は順調に推移しています。
とくに、直近2期の数字は絶好調で、営業利益は2022年12月期に初の1兆円台を達成。
純利益は2期連続(2021年&2022年12月期)で過去最高を記録しています。
※ウクライナ危機などによる原油高と為替の円安が大きな要因です。
INPEXの株価推移
INPEXの株価推移(過去5年間)は、下記のとおりです。
※株価チャートは拡大できます。
コロナの影響を受ける前(2019年)は業績も順調で、株価は850~1,200円台で推移していました。
転機が訪れたのは、2020年に入ってから。
2020年1月にWHO(世界保健機関)が、4月には日本政府が新型コロナで緊急事態宣言を発表。国内外で経済活動が停滞しました。
INPEXの業績悪化とともに、株価も大きく下落。
2020年10月には上場来安値の489円をつけました。
2021年以降は、業績の回復とともにINPEXの株価も上昇。
2021年は1月の安値539円から、12月の高値1,031円まで上昇し、ほぼ2倍に。
2022年は1月の安値989円から、6月の高値1,831円まで上昇。約1.9倍になりました。
2023年に入ってからも、株価は右肩上がりで推移。1月の安値1,301円から、9月には高値2,368.5円をつけました。
※489円(上場来安値)から2,368.5円(過去10年来の高値)まで、約4.8倍(!)の値上がりです。
現在、株価はやや値下がり気味で、2,000円くらいで推移しています。
INPEX 100株で配当金はいくらもらえる?
INPEXの2022年12月期の配当金は、下記のとおり。
時期 | 配当金 |
---|---|
中間配当(2022年6月) | 30円 |
期末配当(2022年12月) | 32円 |
合 計 | 62円 |
上記のとおり、INPEXの配当金は、2回に分けて分配されます。
100株を保有している場合、6,200円の配当金を受け取ることができました。
※なお、実際の手取り額は4,941円(20.315%の所得税・住民税が引かれる)です。
配当金の額は、業績によって変化します。moomoo(ムームー)などの株アプリで、会社の動向をチェックしましょう。
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✓ 参考:INPEXの配当利回り&総還元性向
INPEXの過去6期分の配当利回りは、1.37%~4.79%。平均すると、3.31%です。
東証プライム全銘柄の配当利回りは、2.23%(2023年11月17日、日本経済新聞より)なので、平均よりも1%ほど高めです。
※配当利回り = 各期の配当金 ÷ 株価(期末)× 100で算出
※2019年12月期は9ヵ月決算。以降、決算期を12月31日に変更。
決算期 | 配当金 | 株価(期末) | 配当利回り | 総還元性向 |
---|---|---|---|---|
2018年3月 | 18円 | 1,316円 | 1.37% | 65.1% |
2019年3月 | 24円 | 1,055.5円 | 2.27% | 36.7% |
2019年12月 | 30円 | 1,136.5円 | 2.64% | 35.5% |
2020年12月 | 24円 | 556円 | 4.32% | - |
2021年12月 | 48円 | 1,002円 | 4.79% | 62.6% |
2022年12月 | 62円 | 1,396円 | 4.44% | 47.0% |
2020年12月期は、最終赤字を出した年でしたが、24円の配当金を出しています。
業績の悪化に伴い株価も下落したため、配当利回りは4%台になりました。
2021年と2022年12月期は、一転して過去最高の純利益を2期連続で計上。これに伴って、配当金も48円、62円と増配されました。
※2021年には約700億円、2022年には約1,200億円の自社株買いも行われました。
その間、株価も値上がりしましたが、配当利回りは4%台を維持しています。
参考までに、INPEXの配当方針も載せておきます。
2022年12月期~2024年12月期は、
引用元:INPEX 株主還元・配当情報
- 総還元性向40%以上を目途とする
- 1株当たりの年間配当金の下限を30円に設定する
INPEXは、配当利回り4%台を狙える銘柄。
個人的には、高配当株の1つとして魅力を感じています。
INPEX 100株はいくらで買える?
INPEX 100株を購入する場合、下記で計算できます。
株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金
2023年11月17日のINPEXの終値は2,082.5円なので、これで計算してみます。
ちなみに、私も利用している松井証券の場合、50万円までの取引なら、手数料は無料となっています。
2,082.5円 × 100株 + 0円= 208,250円
21万円くらいでINPEXの株主になれます。
INPEXに将来性はあるのか?
「脱炭素化」が社会・経済のキーワードとなっている昨今、INPEXに将来性はあるのか?
INPEXの将来を占う上でのポイント3点を以下で考察してみます。
- ポイント①:日本政府が筆頭株主のエネルギー企業
- ポイント②:CO₂排出量の少ない天然ガスへのシフト
- ポイント③:脱炭素社会に向けた事業ポートフォリオ
ポイント①:日本政府が筆頭株主のエネルギー企業
INPEXは、国内外で石油・天然ガスの開発・生産を手掛けているエネルギー専門企業です。
筆頭株主は日本政府(経済産業大臣)で約20%を保有。しかも、日本で唯一、黄金株として保有されています。
経済安全保障が叫ばれ、資源小国である日本にとって、INPEXがいかに重要な会社かがわかります。
※INPEXは、日本の年間エネルギー消費量の約1割に当たる石油・天然ガスを生産しています。
2020年のような株価が暴落した時に、配当金狙い、かつ中長期で持ち続けると報われる銘柄だと個人的には考えています。
ポイント②:CO₂排出量の少ない天然ガスへのシフト
INPEXは、CO₂(二酸化炭素)の排出量の多い石油から、排出量がより少ない天然ガスへのシフトに力を入れています。
※CO₂の排出量は、石炭を100とした場合、石油が80、天然ガスが60と言われています。
2022年2月に発表された『長期戦略と中期経営計画(INPEX Vision @2022)』によると、
天然ガスへの投資比率を現在の50%から70%へ引き上げるとのこと。
具体的には、オーストラリアの「イクシス」で、LNG(液化天然ガス)の年間生産量を930万トンへ引き上げる見込み(2024年目標)です。
脱炭素化は一朝一夕には進みません。
「石油 → 天然ガス → クリーンエネルギー(水素・アンモニアなど)」と、着実に脱石油・脱炭素化に取り組んでいるINPEXの将来性に期待しています。
ポイント③:脱炭素社会に向けた事業ポートフォリオ
最後は、脱炭素社会に向けた事業ポートフォリオです。
INPEXは、脱炭素社会に向けて下記の5つの事業に取り組んでいます。
- 水素・アンモニア事業
- 石油・天然ガスのCO₂低減
- 再生可能エネルギー事業
- カーボンリサイクル事業
- 森林保全事業
例えば、水素・アンモニア事業では、2030年頃までに3件以上の事業化を実現。年間10万トンの水素・アンモニアの生産・供給を目指すとしています。
また、再生可能エネルギー事業では、洋上風力と地熱発電に注力。
長崎県の五島沖に洋上風力発電所を建設。2024年の操業を目指しています。
地熱発電では国内(秋田県)やインドネシアでの開発を進めています。
以上、3つのポイントを加味した上で、INPEXの将来性についての個人的な見解を下記にまとめました。
日本へのエネルギー供給に欠かせない企業であり、脱炭素社会に向けた取り組みも着実に行っているINPEXに将来性はある。
ただし、原油相場や為替市場の影響で、業績&株価が大きく上下する銘柄でもある。投資をする際には、株価が大きく下落した時(例:2020~2021年など)に仕込むのがおすすめ。
中長期で保有して、配当利回り4%以上を狙いたい。
INPEX、今後の株価・配当金はどうなる?
最後に、INPEXの今後の株価・配当金について、以下で考察してみます。
INPEX、今後の株価はどうなる?
INPEXの直近1年間の株価推移は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
株価は、下記の計算式で求められます。
EPS(1株利益)× PER(株価収益率)= 株価
2023年12月期のINPEXの予想EPSは、262.51円(INPEX 決算短信より)。
INPEXの過去5期分のPERは、最低が4.4倍、最高が16.0倍(INPEX 有価証券報告書より)。
以上の2つの数字から、INPEXの株価を計算すると下記になります。
あくまでも、計算上ですが、「1,155円~4,200円」という株価が算出されました。
また、INPEXのBPS(1株当たり純資産)は、2,892円(2022年12月末現在)です。
なお、現在のINPEXの株価は 2,082.5円(2023年11月17日終値)。
原油相場や為替市場次第ですが、INPEXの株価が 2,892円(BPS)を超えるのは難しいと個人的には考えています。
その根拠は、下記のとおりINPEXの業績(2023年12月期)が頭打ちになってきているからです。
また、2024年は為替が円高に向かうとの見通しもあり、かつ、インドネシアの天然ガス事業「アバディ」(総事業費3兆円)の資金調達の行方など、不透明な点もあるからです。
✓ 参考:INPEX 2023年12月期の業績見通し
INPEXの2023年12月期の業績見通しは、下記のとおり。
※比較のため、2022年12月期の業績も載せておきました。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2022年12月 | 2兆3,246億円 | 1兆2,464億円 | 4,382億円 |
2023年12月(予想) | 2兆1,550億円 | 1兆1,070億円 | 3,400億円 |
2023年12月期の売上高は、前期比7%減の2兆1,550億円。
営業利益は、前期比11%減の1兆1,070億円、純利益に至っては、前期比26%減の3,400億円の予想となっています。
2021年&2022年12月期と、2期連続で好調な決算を達成した INPEXですが、ここにきて業績はピークアウトしています。
INPEXへの投資タイミングは、現在のように株価が高い時ではなく、業績が一時的に悪化し、株価が大幅に下落した時(2020~2021年)になります。
INPEX、今後の配当金はどうなる?
INPEXの配当実績(過去6期分)と、2023年12月期の予想配当金は下記のとおり。
※配当利回り= 各期の配当金 ÷ 株価(期末)× 100 で算出
決算期 | 配当金 | 株価(期末) | 配当利回り | 総還元性向 |
---|---|---|---|---|
2018年3月 | 18円 | 1,316円 | 1.37% | 65.1% |
2019年3月 | 24円 | 1,055.5円 | 2.27% | 36.7% |
2019年12月 | 30円 | 1,136.5円 | 2.64% | 35.5% |
2020年12月 | 24円 | 556円 | 4.32% | - |
2021年12月 | 48円 | 1,002円 | 4.79% | 62.6% |
2022年12月 | 62円 | 1,396円 | 4.44% | 47.0% |
2023年12月(予想) | 74円 | - | - | - |
INPEXの配当金は、業績(とくに配当金の原資である純利益)によって、かなり上下します。
過去最高の純利益を2期連続で達成した 2021年&2022年12月期の配当金は、48円、62円と大幅に増額されました。
その間、株価も上昇したにもかかわらず、配当利回りは4%台を維持しました。
2023年12月期の配当金は、74円が予定されており、3期連続での増配が見込まれています。
※現在の株価 2,082.5円で計算すると、配当利回りは3.55%(74円 ÷ 2,082.5円 × 100 )になります。
最後に、INPEXの配当方針を再掲しておきます。
2022年12月期~2024年12月期は、
引用元:INPEX 株主還元・配当情報
- 総還元性向40%以上を目途とする
- 1株当たりの年間配当金の下限を30円に設定する
まとめ:今回のポイント
今回は、INPEX(1605)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- INPEXに将来性は「ある!」
- INPEXに将来性がある根拠①:日本政府が筆頭株主のエネルギー企業
- INPEXに将来性がある根拠②:CO₂排出量の少ない天然ガスへのシフト
- INPEXに将来性がある根拠③:脱炭素社会に向けた事業ポートフォリオ
- INPEX の株価は、2,892円(BPS:1株当たり純資産)を目指したいところだが、達成は難しいと判断。その根拠は、業績のピークアウト、為替が円高に向かう可能性などです。
- INPEXの予想配当金(2023年12月期)は74円で、3期連続の増配見通し。
INPEXは、原油高と円安を背景に業績が好調で、株価も右肩上がりで推移しています。
配当利回りも4%台を狙えるので、高配当株として投資したい銘柄の1つです。
日本の経済安全保障上も重要な企業であり、脱炭素社会に向けた取り組みにも好感が持てます。
ただし、本文でも述べたとおり、原油相場と為替市場の影響で業績&株価が大きく上下する銘柄でもあります。
また、今期(2023年12月期)の業績は、減収減益予想となっており、今すぐに購入するのは控えた方がいいと個人的には考えます。
業績が比較的安定している金融株・通信株などをポートフォリオに組み入れつつ、中長期的な視点で、INPEXに投資することをオススメします。
※投資の判断は自己責任でお願いします。
今回は以上です。