株式投資

キリンの株価はなぜ安い?100株で配当金はいくら?株主優待は?

2023/12/16

※当ブログではアフィリエイトを利用しています。

お悩みさん

キリンの株価はなぜ安いのですか?
今後の株価・配当金の見通しについても教えてください。

こういった質問に答えます。

本記事の内容

  • キリンはどんな会社?
  • キリンの業績推移
  • キリンの株価推移
  • キリンの株価はなぜ安い? 
  • キリン100株はいくらで買える?
  • キリン100株で配当金はいくらもらえる?
  • キリンの株主優待は?
  • キリン、今後の株価・配当金の見通し
  • まとめ:今回のポイント

こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。

今回は、「キリンの株価はなぜ安い?」「キリンの株主優待は?」「キリンの株価・配当金の見通し」を中心に解説します。

ポイントは下記のとおり。

  • キリンの株価が安い理由①:国内ビール類市場の低迷
  • キリンの株価が安い理由②:子会社の業績不振&事業撤退
  • キリンの株価が安い理由③:新たな収入源(健康関連事業)の成長性が不透明
  • キリンの株主優待は、1,000円相当のキリン商品の詰め合わせ(100株保有)
  • キリンの株価は今後の業績次第だが、2,500~3,000円を目指す展開に…
  • キリンの予想配当金(2023年12月期)は69円で、前期と同額にとどまる見込み

※記事は3分くらいで読み終わります。

キリンはどんな会社?

キリンホールディングス(2503)は、国内4大酒類メーカーの1つ。

ビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)のシェアでは、アサヒグループホールディングス(2502)と首位争いを演じています。

会社全体の売上規模は、約2兆円で酒類メーカーの中では第2位。第1位のアサヒグループホールディングス(売上高、約2.5兆円)の背中を追う立場です。

おもなブランドは、『一番搾り』『本麒麟』『スプリングバレー』『氷結』など。

ビールだけでなく、発泡酒、チューハイなど、多彩なラインナップで、愛飲家たちを楽しませてくれています。

また、子会社の医薬品メーカー、協和キリン(4151)の売上高は約4,000億円。売上規模6,600億円の国内ビール事業に次ぐ、キリンの稼ぎ頭になっています。

さらに、キリンはプラズマ乳酸菌(iMUSE:イミューズ)関連を中心とする、健康関連事業を強化中

2022年の売上高1,036億円を、5年後の2027年には2,000億円へと、2倍に増加させる目標を掲げています。

項目内容
社名キリンホールディングス
証券コード2503
本社東京都中野区中野
設立1907年2月
決算12月31日
市場東証プライム など
主な事業内容国内ビール、国内飲料、医薬品 など
従業員数(連結)約30,000名(2022年12月期)
売上高1兆9,894億円(2022年12月期)
配当利回り3.43%(2022年12月期)
株価2,120.5円(2023年12月11日終値)
購入できる証券会社松井証券、楽天証券など

キリンは、ネット証券で購入するのが便利で、手数料もお得です。

松井証券の場合、1日の取引額が50万円以下であれば手数料は無料です。ぜひ、この機会に口座を開設しておきましょう。

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キリンの過去6期分の業績と、2023年12月期の業績見通しは、下記のとおりです。

決算期売上高営業利益純利益
2017年12月1兆8,637億円2,110億円2,420億円
2018年12月1兆9,305億円1,983億円1,642億円
2019年12月1兆9,413億円877億円596億円
2020年12月1兆8,495億円1,029億円719億円
2021年12月1兆8,215億円680億円597億円
2022年12月1兆9,894億円1,160億円1,110億円
2023年12月(予想)2兆1,150億円1,690億円1,130億円
引用元:キリンHD、有価証券報告書&決算短信

売上高に関しては、2017年から2019年12月期にかけて、僅かですが増加傾向でした。

コロナの影響が大きかった2020年&2021年12月期は、売上高が2期連続で減少しました。

2022年12月期は、医薬品事業とオーストラリアの酒類事業が好調で、1兆9,000億円台を回復。

2023年12月期は、売上高2兆円を突破する見通しで、実現すれば2015年12月期以来となります。

一方で、営業利益純利益に関しては、2019年12月期の決算から低迷が続いています。

※2022年12月期、2023年12月期(予想)と少しずつ回復はしているものの、2017年12月期の水準には遠く及びません。

その大きな要因は、度重なる減損損失の計上です。

1つ目が、オーストラリア飲料事業での減損損失571億円(2019年12月期)です。

キリンは飲料事業の内、チーズ部門の外部への売却を決めていましたが、同部門の収益性の低下により減損が発生しました。

2つ目は、ミャンマー事業からの撤退に伴う減損損失の発生です。これにより、2021年12月期に680億円の損失を計上することになりました。

3つ目は、協和発酵バイオの収益性の悪化に伴う減損損失の計上です。こちらに関しては、2022年12月期に430億円の損失を計上しています。

なお、キリンは2023年8月、オーストラリアの健康食品会社、ブラックモアズを約1,700億円で買収しました。

健康関連事業とのシナジー効果を期待するとともに、新たなリスク要因(減損損失)にならないことを祈るばかりです。

キリンの株価推移

キリンの株価推移(過去5年分)は、下記のとおり。

※株価チャートは拡大できます。

キリン 株価チャート5年

キリンの株価は、2019年2月2,729円の高値をつけました。

ここ10年間では、2018年4月の3,199円、2017年12月の2,948.5円に次ぐ、3番目の水準です。

その後5年間(2019年~2023年)、株価は業績の悪化を反映し、上げ下げを繰り返しながら、高値の水準を切り下げていきました

株価:高値(月/日)
2019年2,729円(2/6)
2020年2,591円(2/14)
2021年2,429.5円(1/4)
2022年2,305.5円(8/31)
2023年2,245円(4/26)

※上記のように、高値が2,700円台(2019年)から毎年下がってきており、2023年には2,200円台になっています。

ここ数年何度も発生している減損損失と、これに伴う業績の下方修正で、投資家が疑心暗鬼になっており、キリン株を積極的に買いにくいことが原因の1つと考えられます。

ちなみに、ここ5年間での最安値2022年3月に記録した1,739円で、ミャンマー事業からの撤退とこれに伴う減損損失を発表したタイミング(2022年2月)とほぼ重なります。

その後、2022年6月頃からは株価が回復したものの、2022年末にかけて株価は下落。再び、2,000円を割り込みました。

協和発酵バイオに関する悪材料がウワサされていた時期です。

2023年に入ると株価はやや持ち直し、2,000~2,200円の間で推移しています。

キリンの株価はなぜ安い?

キリンの株価は、右肩下がりの傾向が続いてます。なぜ、キリンの株価は安いのでしょうか?

キリンの株価が安い理由は、下記の3点にあると考えます。

  • 理由①:国内ビール類市場の低迷
  • 理由②:子会社の業績不振&事業撤退
  • 理由③:新たな収入源(健康関連事業)の成長性が不透明

それぞれ解説します。

理由①:国内ビール類市場の低迷

理由の1つ目は、国内ビール類市場の低迷です。

国内ビール類の販売量は、2004年までは増加傾向でしたが、それ以降は2021年まで17年連続で減少していました。

2022年の販売量は、飲食店などの需要回復を背景に18年ぶりに前年を上回り(約3%の伸び)ました。

2023年の販売量は、物価高と10月の酒税改正(新ジャンルの酒税が増税 etc.)により、どのような結果になるのかは不透明な状況です。

ビール需要の減少理由

  • 若者や女性のビール離れ
  • 消費者の健康志向・ニーズの多様化
  • ハイボール・チューハイなど、他の酒類の人気化 etc.

国内ビール事業が一番の稼ぎ頭(売上高の約30%)であるキリンにとって、長年の懸案事項であり、キリンの株価が安い理由となっています。

キリンの国内ビール事業の売上高は、ここ5年くらい6,600~6,800億円程度であり、頭打ちになっています。

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理由②:子会社の業績不振&事業撤退

理由の2つ目は、子会社の業績不振&事業撤退です。

具体的には、下記の通り。

  • オーストラリア飲料事業:チーズ部門の売却で減損が発生
  • ミャンマー・ブルワリー:クーデター発生により、ミャンマーから事業撤退
  • 協和発酵バイオ:アミノ酸事業の収益性が悪化し、減損が発生

1つ目は、オーストラリア飲料事業での減損損失571億円の計上(2019年12月期)です。

キリンは飲料事業の内、チーズ部門を外部へ売却しました。異常気象による仕入れ原価の上昇のため、チーズ部門の収益性が低下。売却の際には、減損が発生しました。

2つ目は、クーデターが発生したミャンマー事業からの撤退と、これに伴う減損680億円の発生(2021年12月期)です。

キリンは海外のビール需要を取り込むため、2015年8月、ミャンマー・ブルワリーを買収しました。

ところが、2021年2月、ミャンマーでクーデターが発生。クーデターを起こしたミャンマー軍の発砲で、市民100名以上が犠牲になるという悲劇が起きてしまいます。

ミャンマー・ブルワリーは、そのミャンマー軍系企業との合弁会社だったため、キリンにも人的被害への批判が届くこととなり、ミャンマーからの撤退になりました。

3つ目は、協和発酵バイオの採算性の悪化です。これに伴い430億円の減損が発生(2022年12月期)しました。

2019年2月に買収した協和発酵バイオですが、アミノ酸の原材料費が高騰したことなどにより、収益性が悪化。今回の減損処理に至りました。

以上、ここ4~5年で事業撤退や減損損失を繰り返してきたキリン株に対しては、積極的な買いが集まらず、株安の原因となっています。

理由③:新たな収入源(健康関連事業)の成長性が不透明

理由の3つ目は、新たな収入源(健康関連事業)の成長性が不透明だからです。

先述のとおり、キリンの一番の稼ぎ頭である国内ビール事業は、ここ何年もの間、ほぼ成長が止まっています。

そこで、キリンは新たな成長の柱として、プラズマ乳酸菌をはじめとする健康関連事業に注力しています。

現在、健康関連事業の売上は1,036億円(2022年12月期)。会社発表の決算資料によると、同事業の売上高を2027年12月期に 2,000億円に拡大するとしています。

その戦略の一環として、2023年8月、オーストラリアの健康食品最大手・ブラックモアズを約1,700億円で買収。

同社が所有する海外向けの販路(オーストラリア・東南アジア・中国・インド)を活用し、健康関連事業の成長を加速させる考えです。

ですが、健康関連事業が順調に成長するかは不透明です。
仮に、会社の目標どおりに成長した場合でも、売上高は2,000億円で、国内ビール事業の3分の1にも満たない水準です。
さらに、ブラックモアズ社の業績不振や減損損失が発生する可能性も否定できません。

投資家は、キリンの海外事業の失敗をよく覚えています。
このため、株価はイマイチ盛り上がりません。

フリー

キリン100株はいくらで買える?

キリン100株を購入する場合、下記で計算できます。

株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金

2023年12月11日のキリンの終値は、2,120.5円なので、これで計算してみます。

ちなみに、私も利用している松井証券の場合、50万円までの取引なら、手数料は無料となっています。

2,120.5円 × 100株 + 0円= 212,050円

22万円くらいで、キリンの株主になれます。

キリン100株で配当金はいくらもらえる?

キリンの2022年12月期の配当金は、下記のとおり。

時期配当金
中間配当(2022年6月)32.5円
期末配当(2022年12月)36.5円
合  計69円

上記のとおり、キリンの配当金は、2回に分けて分配されます。

100株を保有している場合、6,900円の配当金を受け取ることができました。

※なお、実際の手取り額は5,499円(20.315%の所得税・住民税が引かれる)です。

配当金の額は、業績によって変化しますので、moomoo(ムームー)などの株アプリで会社の動向をウォッチしていきましょう。

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キリンの株主優待は?

毎年12月31日現在で、キリンの株式を100株以上保有する株主が、株主優待の対象となります。

保有株数優待品の内容
100~999株1,000円相当のキリン商品4点より選択
1,000株~3,000円相当のキリン商品5点より選択
引用元:キリンHD 株主様ご優待

100株以上1,000株未満の株主は、「キリンビール詰め合わせ、清涼飲料の詰め合わせ、キリン iMUSE 免疫ケアサプリメント、キリンシティお食事券」の4点から1,000円相当の優待品を選択できます。

1,000株以上の株主は、上記4点または「ワイン詰め合わせ」の中から、3,000円相当の優待品を選択できます。

なお、優待品に代えて「飲酒運転根絶活動への寄付」も選択可能となっています。

また、優待品は毎年変更となりますので、より詳しくは、下記をご覧ください。

参考:キリンHD 株主様ご優待

ライバル企業のアサヒグループHD(2502)も似たような自社商品の詰め合わせ…。
株主優待ではあまり差がないようです。

フリー

キリン、今後の株価・配当金の見通し

最後に、キリンの株価と配当金の見通しについて、以下で考察してみます。

キリン、今後の株価の見通し

株価は、下記の計算式で求められます。

EPS(1株利益)× PER(株価収益率)= 株価

2023年12月期のキリンの予想EPSは、139.54円(キリンHD 決算短信より)。

キリンの過去5期分のPERは、最低が12.52倍、最高が35.15倍(キリンHD 有価証券報告書より)。

以上の2つの数字から、キリンの株価を計算すると下記になります。

139.54円 × 12.52倍~35.15倍 = 1,747円~4,905円

あくまでも、計算上ですが、「1,747円~4,905円」という株価が算出されました。

次に、過去10年分の株価から、今後の見通しをさらに深掘りして考えてみます。

キリンの過去10年分の株価(高値・安値)は下記のとおり。

※2023年の株価は、12月11日時点のもの。

株価:高値株価:安値
2014年1,579円(12/25)1,290円(2/17)
2015年1,915円(8/4)1,400円(1/16)
2016年1,984.5円(12/13)1,436.5円(2/17)
2017年2,948.5円(12/26)  1,792円(2/14)
2018年3,199円(4/18) 2,163円(12/26)
2019年2,729円(2/6)2,033円(8/26)
2020年2,591円(2/14) 1,825.5円(3/17)
2021年2,429.5円(1/4) 1,787.5円(12/2)
2022年2,305.5円(8/31)  1,739円(3/11)
2023年2,245円(4/26)           1,905.5円(1/13)

キリンの株価を過去10年分遡ってみると、2018年4月に記録した3,199円が最高値になっています。

なので、先ほどの計算で算出した、株価 4,905円(PER:35.15倍)は高すぎで、達成は難しいと考えます。

キリンの業績から判断しても、株価にインパクトを与えられるほどの成長性は見込めないため。

結論として、今後の株価は業績次第ではありますが、「2,500円(PER:約18倍)~3,000円(PER:約21倍)を目指す展開になる」と考えます。

※過去10年分の株価(高値)と、予想EPS × PER = 株価 から算出された数字「1,747円~4,905円」の両方を考慮しました。

キリン、今後の配当金の見通し

キリンの配当実績(過去6期分)と、2023年12月期の予想配当金は下記のとおり。

※配当利回り= 各期の配当金 ÷ 株価(期末)× 100 で算出

決算期配当金株価(期末)配当利回り配当性向
2017年12月46円2,840.5円 1.62%17.3%
2018年12月51円2,298.5円2.22%27.8%
2019年12月64円2,390円2.68%94.1%
2020年12月65円2,434円2.67%76.0%
2021年12月65円1,847円3.52%90.6%
2022年12月69円2,011円3.43%51.1%
2023年12月(予想)69円
引用元:IR BANK、キリンHD 決算資料

キリンの配当金は、2017年~2019年12月期にかけて、「46円 → 51円 → 64円」と、いい感じで増配されてきました。

ところが、2020年12月期以降は「65円 → 65円 → 69円 → 69円(予想)」と、増配の勢いが弱まりつつあります。

現在の株価 2,120.5円(2023年12月11日終値)で計算すると、配当利回りは3.25%(69円 ÷ 2,120.5円 × 100)になります。

ちなみに、キリンの過去6期分の配当利回りは、1.62~3.52%。平均すると、2.69%です。

東証プライム全銘柄の配当利回りは、2.27%(2023年12月11日、日本経済新聞より)なので、平均よりもほんの少し高い水準です。

日本株には、配当利回り3%以上の会社が1,200社以上(2023年12月11日現在)あるので、配当狙いでキリン株を買う必要性は低い、と個人的には考えます。

フリー

最後に、キリンの配当方針を載せておきます。

1株当たり平準化当期利益(EPS)に対する連結配当性向40%以上による配当を安定的かつ継続的に実施する。

引用元:キリンHD 決算短信

まとめ:今回のポイント

今回は、キリンホールディングス(2503)について解説しました。

ポイントをおさらいすると、下記のとおり。

  • キリンの株価が安い理由①:国内ビール類市場の低迷
  • キリンの株価が安い理由②:子会社の業績不振&事業撤退
  • キリンの株価が安い理由③:新たな収入源(健康関連事業)の成長性が不透明
  • キリンの株主優待は、1,000円相当のキリン商品の詰め合わせ(100株保有)
  • キリンの株価は今後の業績次第だが、2,500~3,000円を目指す展開に…
  • キリンの予想配当金(2023年12月期)は69円で、前期と同額にとどまる見込み

キリンの強みは、事業内容が国内ビール・国内飲料・医薬品・オーストラリア酒類など、多岐にわたり、売上が安定していることです。

一方で、キリンの弱みは、国内ビールや国内飲料などの成長性が低く、売上が頭打ちになっていることです。

企業の成長性を取り戻すべく、キリンが注力しているのがプラズマ乳酸菌などの健康関連事業で、2023年8月にはオーストラリアの健康食品大手・ブラックモアズを買収しました。

ブラックモアズの販路を活用して、健康関連事業をどのように展開していくのか、今後もキリン株をウォッチし続けたいと思います。

※投資判断は自己責任でお願いします。

今回は以上です。

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