青色申告のメリット・デメリットを知りたい個人事業主
確定申告で青色申告をするメリットを教えてください。
あと、青色申告のデメリットについても聞きたいです…。
こういった質問に答えます。
本記事の内容
- 青色申告とは?
- 個人事業主が青色申告をするメリット5つ
- 個人事業主が青色申告をするデメリット4つ
個人事業主が確定申告をする方法には、青色申告と白色申告の2つがあります。
青色申告は青色申告特別控除(最大65万円)など、税制上の優遇措置がある一方、手続きや記帳などの点で少し面倒なところがあります。
そこで今回は、確定申告で「青色申告を利用する際のメリット」と「青色申告を利用する際のデメリット」を個人事業主向けにわかりやすく解説します。
個人事業主として毎年(10年以上)、青色申告を行ってきた私が実体験を踏まえて解説します。ぜひ、今後の参考にしてください。
※記事は3分以内に読み終わります。
青色申告とは?
青色申告とは、事業所得、不動産所得、山林所得のいずれかを得ている人が、一定の条件を満たした場合に利用できる確定申告のやり方の1つです。
なので、給与所得のみの一般的なサラリーマンの方は、利用できない制度になっています。→ この場合は、白色申告になる。
✓ 青色申告を利用できる人とは?
青色申告を利用できる人は、下記のとおり。
- 事業所得のあるサラリーマン
- 不動産所得のあるサラリーマン
- 事業所得&不動産所得のあるサラリーマン
- 事業所得のある個人事業主
- 不動産所得のある個人事業主
- 事業所得&不動産所得のある個人事業主
※あまりいないと思いますが、山林所得のあるサラリーマン、個人事業主でもOK
ちなみに、私の場合、事業所得&不動産所得のある個人事業主なので、かれこれ10年くらい青色申告を利用しています。
個人事業主が青色申告をするメリット5つ
青色申告のメリットは、所得税・住民税の節税効果が大きいことですが、
具体的な内容は、下記のとおりです。
- メリット①:青色申告特別控除を受けられる
- メリット②:家族の給与を必要経費にできる
- メリット③:赤字の繰越しができる
- メリット④:減価償却の特例を利用できる
- メリット⑤:家賃・通信費などを経費にできる
1つずつ見ていきましょう。
メリット①:青色申告特別控除を受けられる
青色申告の最大のメリットは、青色申告特別控除を受けられることです。
具体的には、下記のいずれかを選べます。
- 10万円の特別控除:青色申告をする&簡易な帳簿
- 55万円の特別控除:青色申告をする&複式簿記
- 65万円の特別控除:青色申告をする&複式簿記&e-Tax
上記のように、複式簿記による記帳&e-Tax(電子申告)をすれば、最大で65万円の控除を受けることができるため、かなりの節税効果が見込めます。
複式簿記での記帳が面倒な人は、会計ソフトを利用しましょう!
メリット②:家族の給与を必要経費にできる
青色申告をすることで、配偶者や家族への給与を経費にすることができます(→ 青色事業専従者給与の特例)。
個人事業主は自分に給与を出すことができないので、配偶者などへ給与を出すことにより、所得が分散され、節税効果が大きくなります。
メリット③:赤字の繰越しができる
事業所得や不動産所得で赤字を出してしまった場合にも、特典があります。
具体的には、赤字(損失)を出した年の翌年から最長で3年間、赤字を繰り越すことができます。
なので、赤字を出した翌年が黒字だった場合、赤字(損失)を繰り越すことで、税金を安くすることができます。
メリット④:減価償却の特例を利用できる
青色申告を選択することで、「少額減価償却資産の特例」を受けることもできます。
※少額減価償却資産の特例:30万円未満のモノ(減価償却資産)であれば、一括で必要経費にできる制度
例えば、仕事用のパソコンを25万円で購入した場合、青色申告であれば、25万円全額をその年の必要経費に計上することができます。
メリット⑤:家賃・通信費などを経費にできる
自宅を事務所にしている場合、家賃やネット代、水道光熱費などの一部を必要経費にすることができます。→ 家事按分(かじあんぶん)といいます。
白色申告でも家事按分が認められる場合もあるようですが、青色申告なら、何の心配もなく、経費計上できるのでオススメです。
個人事業主が青色申告をするデメリット4つ
青色申告のデメリットは、下記のとおり。
- デメリット①:所得の種類に制限がある
- デメリット②:開業届、青色申告承認申請書の作成・提出が面倒
- デメリット③:青色申告決算書の作成が面倒
- デメリット④:複式簿記による記帳が面倒
それでは、解説していきます。
デメリット①:所得の種類に制限がある
デメリットの1つ目は、利用できる「所得の種類」に制限があることです。
冒頭でも書きましたが、再掲しておきます。
青色申告を利用できる所得
- 事業所得
- 不動産所得
- 山林所得
なので、個人事業主であっても、所得が雑所得の場合には、青色申告を利用できないので注意が必要です。
デメリット②:開業届、青色申告承認申請書の作成・提出が面倒
デメリットの2つ目は、事前に提出する書類の作成・提出が面倒なことです。
青色申告を利用する際には、下記の2つの書類を税務署に提出しなければなりません。
- 個人事業の開業・廃業等届出書(=開業届)
- 青色申告承認申請書
必要な書類は、国税庁のサイトで取得できるのですが、書き慣れていないと少し面倒です。
自分で調べながらでも作成できますが、開業freeeというサービスを利用することをおすすめします。
こちらは無料で利用ができて、まったくの初心者でもカンタンに書類の作成&提出ができます。
デメリット③:青色申告決算書の作成が面倒
デメリットの3つ目は、青色申告決算書の作成が面倒なことです。
白色申告では、2ページで構成されている収支内訳書を作成しますが、
青色申告では、下記のように4ページ分の青色申告決算書を作成する必要があります。
- 1ページ目:損益計算書の概要
- 2~3ページ目:損益計算書の内訳
- 4ページ目:貸借対照表
ちなみに、貸借対照表は、青色申告特別控除55万円 or 65万円を受けるために必要な項目なので、10万円の控除でよければ、作成不要です。
簿記や会計の知識がない人には、会計ソフトがおすすめ!
デメリット④:複式簿記による記帳が面倒
デメリットの4つ目は、複式簿記による記帳が面倒なことです。
とくに、55万円(or 65万円)の特別控除を受ける際には、複式簿記で記帳することが条件になります。
複式簿記の具体例は、下記のとおり。
※2月10日に、5万円の家賃が銀行口座に振り込まれた場合
2月10日 (借方)普通預金 50,000 (貸方)賃貸料 50,000 2月分家賃
このような記帳を、1つ1つの取引でしなければならず、かなり手間がかかります。
なので、ストレスなく青色申告をしたい個人事業主は、会計ソフトを上手に活用しましょう!
おすすめの会計ソフトを3つあげておきました。
- 会計ソフトfreee
- マネーフォワードクラウド会計
- やよいの青色申告
今回は以上となります。