スシローの株価が暴落したのはなぜ? 株安で、株主優待や配当金は狙い目?
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「スシローの株価が暴落したのはなぜ?」「スシローの株主優待・配当金は狙い目か?」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- 株価が暴落した理由①:不祥事や迷惑動画による客離れ
- 株価が暴落した理由②:中国による日本の水産物輸入停止
- 株価が暴落した理由③:国内スシロー事業の停滞
- スシローの株主優待:スシローや杉玉などの店舗で使える電子割引券
100株保有で、年間3,300円分の優待割引が受けられる - ただし、優待利回りは1%くらいで、あまり魅力がない
- スシローの2025年9月期の配当金は、27.5円を予定
前期比では、2.5円の減配見込み - また、配当利回りの平均(過去7期)は1%未満で魅力がない
※記事は2分くらいで読み終わります。
スシローはどんな会社?
スシローは現在、FOOD & LIFE COMPANIES(3563) という持ち株会社の主要子会社です。
なので、スシローに投資したい場合は、親会社のFOOD & LIFE COMPANIESの株を購入することになります。
現在、スシローの店舗数は、国内645店、海外178店の合計823店(2024年10月末現在)。
京樽など、その他のブランド店も加えたグループ全体の店舗数は、1,153店になります(2024年10月末現在)。
1984年に回転ずしを創業したスシローは、2024年6月に「創業40周年」を迎えました。
ここ数年はアジア・中国への出店を加速しており、国内スシローに次ぐ、第2の柱「海外スシロー」を育成中です。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | FOOD & LIFE COMPANIES |
証券コード | 3563 |
本社 | 大阪府吹田市 |
設立 | 2015年3月 |
決算 | 9月30日 |
市場 | 東証プライム |
事業内容 | 国内スシロー、海外スシロー、京樽 |
従業員数(連結) | 約7,000名(2023年9月期) |
売上高 | 3,611億円(2024年9月期) |
配当利回り | 1.04%(2024年9月期) |
株価 | 3,146円(2024年11月8日終値) |
購入できる証券会社 | 松井証券、moomoo証券 など |
FOOD & LIFE COMPANIESは、ネット証券で購入するのが便利で、手数料もお得です。
moomoo証券の場合、日本株の手数料が「無料」です。ぜひこの機会に口座を開設しておきましょう。
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スシローの業績推移
スシロー(FOOD & LIFE COMPANIES)の過去6期分の業績は、下記のとおり。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2018年9月 | 1,748億円 | 117億円 | 79億円 |
2019年9月 | 1,990億円 | 145億円 | 99億円 |
2020年9月 | 2,049億円 | 120億円 | 64億円 |
2021年9月 | 2,408億円 | 229億円 | 131億円 |
2022年9月 | 2,813億円 | 101億円 | 36億円 |
2023年9月 | 3,017億円 | 110億円 | 80億円 |
売上高は、毎期順調に伸びています。
2023年9月期の売上高は3,017億円と、2018年と比べて約1.7倍に成長しました。
営業利益と純利益も、2021年までは比較的順調に推移していましたが、2022年9月期は大幅な減益となりました。
寿司ネタの仕入れコストの増加、おとり広告などの不祥事で客離れが起きたことが主な原因です。
2023年9月期には、純利益がようやく回復…。前期比で2倍以上の80億円になりました。
✓ 最新情報:2024年9月期の業績
FOOD & LIFE COMPANIES は、2024年11月に最新の業績(2024年9月期)を発表しました。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2024年9月 | 3,611億円 | 233億円 | 146億円 |
売上高は、前期比で20%増の約3,600億円。営業利益は前期比2.1倍の233億円、純利益も1.8倍の146億円と好成績を残しました。
期間限定の「100円皿」キャンペーンがヒットした国内スシローと、中国などの海外スシローの両部門が好調だったようです。
前期に続き、2024年9月期の業績も好調でした。
この良い流れが株価上昇に繋がることを期待します…。
スシローの株価推移
スシロー(FOOD & LIFE COMPANIES)の株価推移は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
スシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIES は、2017年3月に再上場(公開価格は3,600円)しました。
2009年に非上場となって以来、8年ぶりの市場復帰です。
再上場の後、株価は軟調な展開に。2020年4月には1,250円の安値を付けました。
※上場来安値は、2017年6月の811.3円
株価はその後一度回復して、上場来高値(5,480円:2021年4月)を記録するも、再び下降局面に…。
おとり広告などの不祥事があった2022年は、株価が急落。9月には、2,000円付近まで下落しました。
2023年も悪材料(迷惑動画による客離れ、中国による日本の水産物輸入停止)が頻発。11月に2,347円を付けました。
2024年に入ってからも株価は安定せず、上げ下げを繰り返します。11月現在、3,100円前後で推移しています。
スシローの株価が暴落したのはなぜ?
スシロー(FOOD & LIFE COMPANIES)の株価が暴落した理由は、下記の3点が考えられます。
- 理由①:不祥事や迷惑動画による客離れ
- 理由②:中国による日本の水産物輸入停止
- 理由③:国内スシロー事業の停滞
それぞれ解説します。
理由①:不祥事や迷惑動画による客離れ
理由の1つ目が、不祥事や迷惑動画による客離れです。
2022年6月、スシローは消費者庁より景品表示法に基づく措置命令を受けました。
在庫のない目玉商品のCM(おとり広告)などを繰り返し行ったことが原因です。
2023年には、利用客が湯飲みや醤油差しをなめたり、回転ずしに唾液をつけたりした動画がSNSで拡散されました。
このような不祥事や迷惑動画を受け、スシローを利用する顧客は激減。株価も下落しました。
理由②:中国による日本の水産物輸入停止
理由の2つ目が、中国による日本の水産物輸入停止です。
2023年8月、東京電力は福島第1原発の処理水を近海へ放出しました。
これを受けて、中国政府が日本からの水産物の輸入停止を発表。
2023年に入ってから上昇傾向だったスシローの株価は、再び下落しました。
今後の成長エンジンが「アジアでの事業展開」であるスシローにとって、大きな痛手となりました。
※スシローは現在、中国で42店舗、香港で29店舗を運営。
理由③:国内スシロー事業の停滞
理由の3つ目が、売上高の70%を稼ぐ国内スシロー事業の停滞です。
下記は、国内スシロー事業の売上高の推移です。
決算期 | 売上高 |
---|---|
2021年9月 | 2,132億円 |
2022年9月 | 2,179億円 |
2023年9月 | 2,059億円 |
2024年9月 | 2,381億円 |
上記のとおり、売上高は多少の上下はあるものの、減少または停滞しています。
2021年や2022年9月期については、新型コロナの悪影響も考慮しなければなりませんが、心配な数字ではあります。
とくに、外出自粛が解除された後、2023年9月期の売上高が減少しているのが気になります。
なお、2024年9月期の売上高は増加しました。
期間限定の100円皿キャンペーンが大成功だったようです。
スシロー株が暴落した背景は、国内スシロー事業の停滞といった根本的な要因があることに留意すべきです。
今期(2025年9月期)の国内スシロー事業の業績を見守っていきたいと思います。
スシローの株主優待は狙い目?
スシロー(FOOD & LIFE COMPANIES)の株主優待は、スシローや京樽、杉玉などの店舗で使える電子割引券です。
保有株数 | 割引券の贈呈額(9月末) | 割引券の贈呈額(3月末) |
---|---|---|
100~199株 | 1,650円分 | 1,650円分 |
200~399株 | 2,200円分 | 2,200円分 |
400~799株 | 3,300円分 | 3,300円分 |
800~1,999株 | 6,600円分 | 6,600円分 |
2,000株~ | 16,500円分 | 16,500円分 |
上記のとおり、保有株数に応じて年に2回、電子割引券がもらえます。
さらに、3年以上継続保有する株主に対しては、1,100円分の電子割引券が追加でもらえます。
(例)100株を3年以上継続保有
→ 2,750円の割引券を、年2回贈呈
今回の株主優待から、「電子化」することになりました。郵送される2次元コードをスマホに読み込み、使用します。
ちなみに、スシローの現在の株価は3,146円(2024年11月8日終値)。
スシロー株を100株保有するのに、314,600円(手数料は考慮せず)必要です。
同社の優待利回りを計算すると、下記になります。
3,300円分の割引券 ÷ 314,600円 × 100 = 1.05%
優待利回りの目安は「3%」と言われ、3%を超えると、「優待利回りが良い」と評価されます。
ですが、スシロー株を100株保有しても、優待利回りはわずか1.05%…。
株価が暴落して、株を安く買えるスシローですが、思ったほどに株主優待のメリットはないと考えます。
スシローの配当金は狙い目?
スシロー(FOOD & LIFE COMPANIES)の配当実績と、2025年9月期の予想配当金は、下記のとおり。
※2020年4月の株式分割(1株 → 4株)を考慮して作成
※配当利回り = 各期の配当金 ÷ 株価(期末)× 100 で算出
決算期 | 配当金 | 株価(期末) | 配当利回り |
---|---|---|---|
2018年9月 | 21.3円 | 1,682.5円 | 1.27% |
2019年9月 | 22.5円 | 1,817.5円 | 1.24% |
2020年9月 | 15円 | 2,648円 | 0.57% |
2021年9月 | 22.5円 | 5,160円 | 0.44% |
2022年9月 | 22.5円 | 2,224円 | 1.01% |
2023年9月 | 22.5円 | 2,514円 | 0.89% |
2024年9月 | 30円 | 2,877.5円 | 1.04% |
2025年9月(予想) | 27.5円 | - | - |
過去7期分の配当利回りは、0.44%~1.27%。平均すると、0.92%です。
東証プライム全銘柄の配当利回りは、2.31%(2024年11月8日、日本経済新聞より)なので、平均の半分以下で、魅力がありません。
株価が暴落して、株を安く買えるスシローですが、思ったほどに配当金のメリットはないと考えます。
ちなみに、株主優待で有名な投資家「桐谷さん」は、
優待 + 配当利回り4%以上を投資の目安にしています。
結論
- スシローの「優待 + 配当利回りは、2%未満」
- 株主優待や配当金狙いでのスシロー株への投資は、オススメできない
スシローの今後の見通しは?
最後に、今期(2025年9月期)のスシローの業績について見ていきます。
※比較のために、前期と前々期の分も載せておきました。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2023年9月 | 3,017億円 | 110億円 | 80億円 |
2024年9月 | 3,611億円 | 233億円 | 146億円 |
2025年9月(予想) | 4,080億円 | 260億円 | 150億円 |
2025年9月期も、好調な業績を持続…。増収増益を確保できそうな見通しです。
まずは、2025年2月に発表される「2025年9月期・第1四半期」の実績を確認したいところです。
✓ スシローの今後の見通し
スシローの今後を占う上でのポイントは、海外スシロー事業です。
国内スシローについては、円安に伴う食材コストの上昇、人件費や物流費の上昇など引き続き厳しい状況にあります。
回転ずし業界では、食材である魚のコスト(原価率)
が高く、売上高の40~50%を占めると言われています。
一方、海外スシローでは、日本の商品単価の2倍以上で販売が可能。さらに、商品の値上げについても寛容なため、利益を出しやすい環境にあるようです。
下記は、スシローが2024年11月に発表した中期経営計画の一部です。
スシローによると、現在182ある海外店舗を、1年後に240~250店、2年後に310~320店へと大幅に増加させる予定…。
あくまでも計画レベルですが、実現できれば業績に大きなインパクトを与えることが可能です。
引き続き、FOOD & LIFE COMPANIES 月次情報の「店舗数データ」をチェックしていきたいと思います。
まとめ:今回のポイント
今回は、スシロー(FOOD & LIFE COMPANIES)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- 株価が暴落した理由①:不祥事や迷惑動画による客離れ
- 株価が暴落した理由②:中国による日本の水産物輸入停止
- 株価が暴落した理由③:国内スシロー事業の停滞
- スシローの株主優待:スシローや杉玉などの店舗で使える電子割引券
100株保有で、年間3,300円分の優待割引が受けられる - ただし、優待利回りは1%くらいで、あまり魅力がない
- スシローの2025年9月期の配当金は、27.5円を予定
前期比では、2.5円の減配見込み - また、配当利回りの平均(過去7期)は1%未満で魅力がない
あくまでも個人的な意見ですが、スシロー株は、成長株でも高配当株でもないと考えています。
また、優待利回りも1%くらいで、魅力に欠けます。
唯一、スシローに投資できるポイントは、株価が暴落したときに、安値で購入することです。
例:2020年4月のような安値(1,250円)など…。
1,250円の安値を拾うことは難しいですが、少なくとも株価2,000円割れが投資のタイミングだと考えます。
※2,000円以下で購入できれば、将来的に売却益で儲けられる可能性があります。
現在の株価は 3,100円前後…。今は「様子見」の時期です。
幸いなことに、日本の上場企業は3,900社以上あり、魅力的な投資先がたくさんあります。
今は、他の銘柄を検討しつつ、スシローへ投資できるタイミングを待ちましょう…。
高配当株に興味のある方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
※投資判断は、自己責任でお願いします。
今回は以上です。