
メルカリの株価は「やばい」ですか?
株価が下落した理由を教えてください。
最新の決算では、黒字になったと聞きましたが、
メルカリの将来性はどうですか?
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「メルカリの株価はやばい?」「メルカリの株価が下落した理由は?」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- メルカリの株価は現在、公開価格 3,000円を少し上回る程度
株価は「やばくはない」が、当初からの株主は儲かっていない - メルカリの株価が下落した理由①:赤字続きの業績
- メルカリの株価が下落した理由②:巣ごもり需要の減少
- メルカリの株価が下落した理由③:米国フリマ事業の不振
- メルカリの配当政策:現在、無配。今後も、配当実施の可能性は低い
- メルカリの将来性:金融事業、米国フリマ事業の収益化がキーポイント
※記事は3分くらいで読み終わります。
メルカリはどんな会社?

メルカリ(4385)はフリマアプリ『mercari』で、知名度・実績ともに国内No.1。
LINEヤフー(旧 Zホールディングス)の『ヤフオク!』、楽天の『ラクマ』などが、おもなライバルです。
最新の決算(2023年6月期)では、売上高・営業利益ともに過去最高を記録しました。
国内のフリマ事業が、会社の想定よりも好調に推移したことが要因です。
今後は、現在強化中の金融事業(メルペイ・メルカード)や米国のフリマ事業の行方が、同社の業績を左右するので、要注目です。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | メルカリ |
証券コード | 4385 |
本社 | 東京都港区六本木 |
設立 | 2013年2月 |
決算 | 6月30日 |
市場 | 東証プライム |
事業内容 | 国内フリマ事業、国内金融事業、米国フリマ事業 |
従業員数(連結) | 2,100名(2023年6月期) |
売上高 | 1,720億円(2023年6月期) |
配当利回り | 0%(無配) |
株価 | 3,240円(2023年10月11日終値) |
購入できる証券会社 | SBI証券、楽天証券など |
メルカリ株は、ネット証券で購入するのが便利で、手数料もお得です。
SBI証券の場合、日本株の手数料が0円(!)と、店舗型証券に比べて断然有利です。
これから株式投資を始める方は、まずはネット証券で口座を開設しておきましょう。
メルカリの業績推移

メルカリの過去7期分の業績は、下記のとおり。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2017年6月 | 220億円 | -27億円 | -42億円 |
2018年6月 | 357億円 | -44億円 | -70億円 |
2019年6月 | 516億円 | -121億円 | -137億円 |
2020年6月 | 762億円 | -193億円 | -227億円 |
2021年6月 | 1,061億円 | 51億円 | 57億円 |
2022年6月 | 1,470億円 | -37億円 | -75億円 |
2023年6月 | 1,720億円 | 170億円 | 130億円 |
2017年6月期以降、売上高は順調に伸びています。
2023年の売上高は、2017年に比べて約8倍に成長! 毎年、40%の増収を続けた計算になります。
一方で、利益面は低迷が続いてきましたが、ようやく薄日が見え始めたところ…。
2023年6月期では、2期ぶりに黒字を確保して、営業利益・純利益ともに過去最高を記録。
2021年6月期以来の黒字決算となりました。
今後は、トップライン(売上高)の成長を維持しながら、継続的に利益を出し続けることが課題になります。
メルカリの株価推移

メルカリの株価推移(過去5年分)は、下記のとおりです。
※株価チャートは拡大できます。

メルカリは、2018年6月に上場。公開価格は3,000円でした。
上場から3年半後、2021年11月には上場来高値の7,390円を記録しました。
その後、株価は一転して大幅な下落局面に…。
2021年の年末から2022年6月にかけて70%以上も下落。株価は一時、2,000円を割り込みました。
※ちなみに、メルカリの上場来安値は1,557円(2020年3月)。
現在、株価はやや持ち直し、3,000円台を回復しています。
メルカリの株価はやばい?下落した理由は?

メルカリの株価は現在、高値7,390円(2021年11月)から60%も下落して、3,000円台を付けています。
では、「メルカリの株価は下落しすぎて、やばいのか?」
あくまでも、私の個人的な意見ですが、
メルカリの株価は、3,240円(2023年10月11日終値)で、上場来安値(1,557円)から2倍の水準にまで回復。公開価格(3,000円)をようやく上回ってきました…。
当初からの株主は儲かっていませんが、「株価はやばい」という局面は脱出した。
ですが、私自身はメルカリ株には投資をしません。
PSRやPERなどの株価指標から見て、割高だからです。

ここからは、メルカリの株価が下落した理由を検討してみます。
具体的には下記の3点が考えられます。
- 理由①:赤字続きの業績
- 理由②:巣ごもり需要の減少
- 理由③:米国フリマ事業の不振
少し解説します。
理由①:赤字続きの業績
理由の1つ目は、赤字続きの業績です。
先ほどの業績推移を再掲します。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2017年6月 | 220億円 | -27億円 | -42億円 |
2018年6月 | 357億円 | -44億円 | -70億円 |
2019年6月 | 516億円 | -121億円 | -137億円 |
2020年6月 | 762億円 | -193億円 | -227億円 |
2021年6月 | 1,061億円 | 51億円 | 57億円 |
2022年6月 | 1,470億円 | -37億円 | -75億円 |
2023年6月 | 1,720億円 | 170億円 | 130億円 |
直近の決算(2023年6月期)では、営業利益・純利益ともに黒字を確保し、過去最高益を更新しました。
ですが、2017年6月期から2022年6月期までの決算では、ほぼ赤字続きです(2021年6月期を除く)。
メルカリは、2013年2月に設立された若い会社で、自社のサービスを広めるために多額の先行投資(広告費等)が必要で、まだ利益を出しにくい構造になっています。
ここ数年の決算書類を分析していると、国内フリマ事業は安定期に入ったようですが、金融事業(メルペイ・メルカード)と米国フリマ事業は、まだ多くの投資が必要な段階です。
このような業績では株価は上がりづらく、株価下落の要因となっています。
理由②:巣ごもり需要の減少
理由の2つ目は、巣ごもり需要の減少です。
メルカリの業績拡大の要因の1つが、コロナ禍で外出自粛が広がり、個人間でEC(電子商取引)の利用が急増したことでした。
巣ごもり需要が落ち着いてきた2022年には、メルカリの利用者の伸びも鈍化しました。
アフターコロナの中、メルカリはEC事業者(ヤフオク! 、ラクマ)だけではなく、リアル店舗(2nd STREET、ハードオフ)とも争うことになっています。
「巣ごもり需要減少 → ECの取引額減少 → メルカリの成長鈍化」という流れになり、株価も下落しました。
参考:国内ECの高成長に陰り ZHD・メルカリ、巣ごもり一服(日本経済新聞)
理由③:米国フリマ事業の不振
理由の3つ目は、米国フリマ事業の不振です。
メルカリは、創業間もない2014年から米国へ投資をしていますが、苦戦を強いられています。
※グラフは拡大できます。

上記は、米国フリマ事業の売上高と営業利益の推移です。
※ドル表示なのでご注意ください。
売上高は、2021年まで順調に成長しましたが、2022年に頭打ちになり、2023年には減少に転じています。
営業利益はさらに状況が悪く、毎期赤字を続けています。
メルカリは、下記のような方針を公表しており、今後も米国事業にコミットしていくようです。
プロダクトの磨き込みと効率的なマーケティングに注力し、成長軌道への復帰を目指す。
引用元:メルカリ 有価証券報告書
米国フリマ事業が、メルカリの株価下落の大きな要因でしたが、今後も注視していく必要がありそうです。
メルカリの配当実績・配当方針は?

決算期 | 配当金 |
---|---|
2018年6月 | 0円 |
2019年6月 | 0円 |
2020年6月 | 0円 |
2021年6月 | 0円 |
2022年6月 | 0円 |
2023年6月 | 0円 |
上記のように、2018年6月に上場して以来、メルカリは一度も配当を実施していません。
メルカリの株主還元に対する考え方は、下記のとおり。
当社グループは成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業拡大と事業の効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。
引用元:メルカリ 有価証券報告書
また、メルカリの配当政策は、下記のとおりです。
引用元:メルカリ 有価証券報告書
- 創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。
- 現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
2023年2月に創業10周年を迎えたばかりの成長過程の会社なので、まだまだ資金を投資に回していく段階です。
「しばらくの間、配当は期待できない」と考えてよさそうです。
メルカリの将来性は?黒字は定着するのか?

最後に、メルカリの将来性について考察してみます。
メルカリの将来性を占う上でのポイントは、下記の2つ。
- ポイント①:米国フリマ事業の再成長&黒字化
- ポイント②:国内事業、2本目の柱(金融事業)の育成
ポイントの1つ目が、米国フリマ事業の再成長&黒字化です。
先述したとおり、米国フリマ事業の売上高は、2022年6月期に頭打ちとなり、2023年6月期には減少に転じています。
まずは、トップライン(売上高)の成長を取り戻すことが最初の課題となります。
さらに、利益面での黒字化も大きな課題です。
米国フリマ事業は、毎期、営業赤字が続いており、好調な国内フリマ事業の利益を食いつぶしている状況です。
米国のオンライン・リユース市場は、2020年の560億ドルから2030年には約2,000億ドルに達するという予測もあり、メルカリの行方を大きく左右しそうです。
ポイントの2つ目が、国内事業、2本目の柱(金融事業)の育成です。
メルカリは、2019年2月にスマホ決済の「メルペイ」のサービスを開始。
2022年11月には、クレジットカード事業の「メルカード」もスタートさせました。
いずれのサービスも、まだ投資の段階で業績には貢献できていませんが、国内フリマ事業に次ぐ、経営の第2の柱として期待されています。
ちなみに、メルカードは2023年6月現在、発行枚数が100万枚を突破。
今後も、メルカリとの相乗効果でカードを普及させていく見込みのようです。
まとめ:今回のポイント

今回は、メルカリ(4385)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- メルカリの株価は現在、公開価格 3,000円を少し上回る程度
株価は「やばくはない」が、当初からの株主は儲かっていない - メルカリの株価が下落した理由①:赤字続きの業績
- メルカリの株価が下落した理由②:巣ごもり需要の減少
- メルカリの株価が下落した理由③:米国フリマ事業の不振
- メルカリの配当政策:現在、無配。今後も、配当実施の可能性は低い
- メルカリの将来性:金融事業、米国フリマ事業の収益化がキーポイント
メルカリ株は上場以来、一度も配当を出していない無配株です。
また、同社の配当政策をチェックしても、今後も期待できる記述はなく、配当狙いの投資はNGです。
さらに、成長株として同社を購入するのも難しいと考えています。
その理由は、下記のとおり。
- 時価総額が5,000億円台と大きすぎる
- 経営の柱が国内フリマ事業しかなく、業績が不安定
個人的には、メルカリ株には投資しません。
成長株としての購入条件に合わないからです。

成長株の購入条件など、成長株に興味のある方は、下記の記事をご覧ください。
今後の投資の参考になるかと思います。
>> 【2023年版】成長株投資とは?メリット・デメリットを解説
高配当株に関心のある方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
※投資判断は自己責任でお願いします。
今回は以上です。