住友化学の株価が低い理由は何ですか?
今後の株価や配当金がどうなるのか教えてほしい。
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「住友化学の株価が低い理由」「住友化学の株価・配当金はどうなる?」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- 住友化学の株価が低い理由①:直近決算で300億円超の最終赤字を計上
- 住友化学の株価が低い理由②:医薬品事業の失速
- 住友化学の株価が低い理由③:石油化学事業の低迷
- 住友化学の予想配当金(2024年3月期)は12円で、2期連続の減配がほぼ確定
- 住友化学の今後の株価は、弱含みを予想。投資をするなら、300円台の安値を拾いたい
※記事は3分くらいで読み終わります。
住友化学はどんな会社?
住友化学(4005)は、総合化学メーカー大手の1つ。
同業の三菱ケミカルグループ(4188)や三井化学(4183)などが、おもなライバルです。
石油化学は海外での事業展開を中心としており、シンガポールやサウジアラビアで合弁事業を行っています。
石油化学以外の多角化にも積極的で、医薬品・電子材料・農薬などで営業利益の80~90%を稼いでいます。
上場企業で、医薬品メーカーの住友ファーマ(4506)は、住友化学の連結子会社で一番の稼ぎ頭です。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | 住友化学 |
証券コード | 4005 |
本社 | 東京都中央区日本橋 |
設立 | 1925年6月 |
決算 | 3月31日 |
市場 | 東証プライム |
主な事業内容 | 石油化学、医薬品、電子材料、農薬 |
従業員数(連結) | 約33,000名(2023年3月期) |
売上高 | 2兆8,952億円(2023年3月期) |
配当利回り | 4.04%(2023年3月期) |
株価 | 405円(2023年10月18日終値) |
購入できる証券会社 | 松井証券 、楽天証券 など |
住友化学は、ネット証券で購入するのが便利で、手数料もお得です。
松井証券の場合、1日の取引額が50万円以下であれば手数料が無料です。ぜひ、この機会に口座を開設しておきましょう。
住友化学の株価推移
住友化学のここ5年間の株価推移は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
住友化学の株価は、2018年1月に882円の高値を付けましたが、その後、右肩下がりの下落傾向に…。
とくに業績が悪化(純利益が大幅に減少)した、2020年3月期~2021年3月期決算の影響を受けて、株価は急落しました。
※2020年3月には安値267円を記録。
そこから株価は底を打ち、上昇局面へ…。2021年6月に631円まで上昇します。
その後、しばらくはボックス相場が続き、株価は450~600円の間で推移していました。
2023年に入ると、株価は再び軟調な展開に。
2023年8月には379.4円と、2020年3月以来、3年5ヵ月ぶりの安値を付けました。
※2023年4~6月期の業績悪化を嫌気した投資家の売りが原因。
現在の株価は、400円をほんの少し上回る程度となっています。
住友化学の株価が低い理由は?
現在、住友化学の株価は、400円前後という安値で推移しています。
なぜ、同社の株価はこんなに安いのでしょうか?
住友化学の株価が低い理由として、下記の3つが考えられます。
- 理由①:直近決算で300億円超の最終赤字を計上
- 理由②:医薬品事業の失速
- 理由③:石油化学事業の低迷
それぞれ解説します。
理由①:直近決算で300億円超の最終赤字を計上
理由の1つ目は、直近決算で300億円超の最終赤字を計上したことです。
住友化学が発表した、2023年4~6月期の業績は、下記のとおり。
※比較のため、上段に2023年4~6月期の業績、下段に2022年4~6月期の業績を記載。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2023年4~6月 | 5,631億円 | -717億円 | -331億円 |
2022年4~6月 | 7,741億円 | 662億円 | 699億円 |
売上高は、前期に比べて約30%の下落。
最終利益(純利益)は、前期の699億円の黒字から331億円の赤字へと大幅に悪化しました。
医薬品事業の赤字転落や石油化学事業の低迷が大きな原因です。
業績悪化を嫌気された住友化学株は大幅に下落、2023年8月には379.4円を付けました。
※2020年3月以来、3年5ヵ月ぶりの安値。
✓ 参考:住友化学の業績推移
参考までに、住友化学の業績推移(過去5期分)と、2024年3月期の業績予想を載せておきます。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2019年3月 | 2兆3,185億円 | 1,829億円 | 1,179億円 |
2020年3月 | 2兆2,258億円 | 1,375億円 | 309億円 |
2021年3月 | 2兆2,869億円 | 1,371億円 | 460億円 |
2022年3月 | 2兆7,653億円 | 2,150億円 | 1,621億円 |
2023年3月 | 2兆8,952億円 | -309億円 | 69億円 |
2024年3月(予想) | 2兆9,000億円 | 200億円 | 100億円 |
2019年3月期から2023年3月期にかけて、売上高は少しずつですが伸びています。
一方で、営業利益と純利益は増益と減益を行ったり来たりして、安定しません。
とくに、2023年3月期は営業損益は赤字へ転落し、純利益も前期比で96%減の大幅な減益になりました。
今期(2024年3月期)は、売上高が現状維持、営業利益と純利益は若干の回復を見込んでいます。
ですが、2023年4~6月期の決算を見る限り、
通期業績を下方修正する可能性が高いと思います。
理由②:医薬品事業の失速
理由の2つ目は、医薬品事業の失速です。
決算期 | 売上高 |
---|---|
2019年3月 | 4,921億円 |
2020年3月 | 5,158億円 |
2021年3月 | 5,465億円 |
2022年3月 | 5,917億円 |
2023年3月 | 5,849億円 |
上記は、医薬品事業の過去5期分の売上高の推移です。
2022年3月期までは、増収を続けてきましたが、2023年3月期には減収に転じています。
また、2023年4~6月期の売上高は830億円で、前年同期の実績(1,677億円)から半減しています。
医薬品事業の主力製品、統合失調症の治療薬「ラツーダ」の米国での独占販売期間が終了したことが大きく影響しました。
住友化学の連結子会社、住友ファーマは「オルゴビクス(前立腺がん治療薬)、マイフェンブリー(子宮筋腫治療薬)などの医薬品を育て、ラツーダの穴埋めをする」としていますが、同社の主力製品になるのは、少し先になりそうです。
理由③:石油化学事業の低迷
理由の3つ目は、石油化学事業の低迷です。
2023年4~6月期の売上高は、前年同期比で19%減の1,924億円。
また、営業利益は前期の黒字から一転、210億円もの赤字になりました。
※ちなみに、三菱ケミカルグループや三井化学などの同業他社も、石油化学事業は苦しい決算となっています。
さらに、住友化学は、サウジアラビアの合弁会社、ペトロ・ラービグの業績低迷の影響も受けました。
石油化学は、国内外の景気動向に左右されやすい衰退産業の1つです。
今後も、同社の業績を上下させる要因となるでしょう。
住友化学は収益改善のため、石油化学事業などの構造改革を実施する方針を明らかにしています。
住友化学100株で配当金はいくらもらえる?
住友化学の2023年3月期の配当金は、下記のとおり。
時期 | 配当金 |
---|---|
中間配当(2022年9月) | 12円 |
期末配当(2023年3月) | 6円 |
合 計 | 18円 |
上記のとおり、住友化学の配当金は2回に分けて支払われます。
100株を保有している場合、1,800円の配当金を受け取ることができました。
※なお、実際の手取り額は1,435円(20.315%の所得税・住民税が引かれる)です。
配当金の額は、業績によって変化します。moomoo(ムームー)などの株アプリで、会社の動向をウォッチしていきましょう。
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住友化学、今後の配当金はどうなる?
住友化学の配当実績(過去5期分)と、2024年3月期の予想配当金は下記のとおり。
※配当利回り= 各期の配当金 ÷ 株価(期末)× 100 で算出
決算期 | 配当金 | 株価(期末) | 配当利回り | 配当性向 |
---|---|---|---|---|
2019年3月 | 22円 | 515円 | 4.27% | 30.5% |
2020年3月 | 17円 | 321円 | 5.30% | 89.9% |
2021年3月 | 15円 | 573円 | 2.62% | 53.3% |
2022年3月 | 24円 | 562円 | 4.27% | 24.2% |
2023年3月 | 18円 | 445円 | 4.04% | 421.2% |
2024年3月(予想) | 12円 | - | - | - |
住友化学の過去5期分の配当利回りは、2.62~5.30%。平均すると、4.10%です。
東証プライム全銘柄の配当利回りは、2.26%(2023年10月18日、日本経済新聞より)なので、平均よりもかなり高めであることがわかります。
✓ 住友化学、2024年3月期の予想配当金
住友化学が発表している、2024年3月期の予想配当金は12円。
このままの配当金が実施されれば、2期連続での減配になります。
ちにみに、現在の住友化学の株価は405円(2023年10月18日終値)。配当利回りを計算すると、2.96%になります。
住友化学の配当方針も載せておきましたので、参考にしてください。
引用元:住友化学 配当方針より抜粋
- 安定的な配当を継続することを基本とする
- 中長期的には配当性向30%程度を目指す
住友化学100株はいくらで買える?
住友化学のここ1年間の株価推移は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
住友化学100株を購入する場合、下記で計算できます。
株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金
2023年10月18日の住友化学の終値は、405円なので、これで計算してみます。
なお、松井証券では、1日の取引額が50万円以下の場合、手数料が無料ですのでお得に売買ができます。
405円 × 100株 + 0円 = 40,500円
4万円くらいで住友化学の株主になれます。
住友化学、今後の株価はどうなる?
住友化学の過去5年分の株価チャートを再掲します。
※株価チャートは拡大できます。
住友化学の現在の株価水準は400円前後(2023年10月時点)。
ここ5年間の高値は631円(2021年6月)、安値は267円(2020年3月)になっています。
✓ 住友化学、今後の株価はどうなる?
住友化学のような景気敏感株は、値動きが激しく、今後の株価見通しは立てづらいというのが実情です。
さらに、稼ぎ頭でだった医薬品事業が失速(統合失調症の治療薬「ラツーダ」の特許切れ)したことにより、不透明感が余計に増してしまいました。
あくまでも、個人的な意見ですが、今後の株価は「下値を模索する展開になる」と考えます。
住友化学の過去10年分の安値を載せておきますので、投資の参考にしてください。
※2023年は10月18日時点
年 | 安値(日付) |
---|---|
2014年 | 333円(10/17) |
2015年 | 445円(1/16) |
2016年 | 396円(7/8) |
2017年 | 537円(1/18) |
2018年 | 485円(12/25) |
2019年 | 443円(8/6) |
2020年 | 267円(3/17) |
2021年 | 401円(1/5) |
2022年 | 461円(11/2) |
2023年 | 379.4円(8/17) |
2014年、16年、23年と3回、300円台の安値を付けています。
とくに、2014年の安値333円前後で住友化学株を購入できれば、将来的に売却益で儲けられる可能性は高くなりそうです。
さらに株価が、2020年の安値267円を下回るような展開になれば、積極的に株を購入していくと良い結果を得られるかもしれません。
✓ 参考:住友化学の3期分の業績
住友化学の直近の業績を再掲します。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2022年3月 | 2兆7,653億円 | 2,150億円 | 1,621億円 |
2023年3月 | 2兆8,952億円 | -309億円 | 69億円 |
2024年3月(予想) | 2兆9,000億円 | 200億円 | 100億円 |
上記のとおり、住友化学の前期(2023年3月期)の業績は、300億円の営業赤字、純利益は大幅な減益(96%減)になりました。
今期(2024年3月期)は、営業利益の黒字転換と純利益の小幅な増額を予想していますが、正直、「達成は難しい」と考えています。
理由は、下記のとおり。
- 2023年4~6月期の決算が、営業赤字717億円、純損失331億円と不調だった
- 医薬品事業が今までのような収益源になるには、ある程度の期間を要する
今後の業績次第で、株価は大きく下振れすることも考えられます。
住友化学の構造改革の行方を慎重に見守る必要があります。
まとめ:今回のポイント
今回は、住友化学(4005)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- 住友化学の株価が低い理由①:直近決算で300億円超の最終赤字を計上
- 住友化学の株価が低い理由②:医薬品事業の失速
- 住友化学の株価が低い理由③:石油化学事業の低迷
- 住友化学の予想配当金(2024年3月期)は12円で、2期連続の減配がほぼ確定
- 住友化学の今後の株価は、弱含みを予想。投資をするなら、300円台の安値を拾いたい
住友化学株は現在、「石油化学事業の低迷」と「医薬品事業の失速」、という2つの課題に直面しています。
石油化学事業については、住友化学が実施する構造改革の行方を見守りつつ、国内外の需要回復を待つしか選択がなさそうです。
また、医薬品事業については、統合失調症の治療薬「ラツーダ」に代わる次の収益源が「いつまでに」「どの程度の売上規模」に育つかが未知数のため、不安が残ります。
本文でも書きましたが、住友化学のような景気敏感株への投資は、かなり難しいものがあります。
ある程度のベテラン投資家か、余裕資金のある人以外は、同社株への投資は控えたほうが無難かもしれません。
業績が比較的安定していて、かつ高配当な株に興味のある方は、こちらの記事が参考になります。
※投資判断は自己責任でお願いします。
今回は以上です。