日本製鉄の株価はなぜ安いのですか?
今後の配当や株価はどうなりますか?
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「日本製鉄の株価はなぜ安いのか?」「日本製鉄の今後の配当金・株価はどうなるのか?」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- 日本製鉄の株価が安い理由①:不安定な企業業績
- 日本製鉄の株価が安い理由②:減配を嫌った投資家の売り
- 日本製鉄の株価が安い理由③:鉄鋼の過剰生産問題
- 日本製鉄、2024年3月期の予想配当金は150円(会社発表)
- 日本製鉄、今後の株価は3,000円前後で推移すると予想
※記事は3分くらいで読み終わります。
日本製鉄はどんな会社?
日本製鉄(5401)は、官営八幡製鉄所の流れをくむ名門企業。
粗鋼生産量で国内1位、世界4位の規模を誇ります。
技術力に定評があり、おもに自動車や船舶などに使われる高級鋼板で圧倒的な地位を築いています。
2019年4月、新日鉄住金から現在の社名に変更されました。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | 日本製鉄 |
証券コード | 5401 |
本社 | 東京都千代田区丸の内 |
設立 | 1950年4月 |
決算 | 3月31日 |
市場 | 東証プライム |
主な事業内容 | 製鉄事業 |
従業員数(連結) | 106,000名(2023年3月期) |
売上高 | 7兆9,755億円(2023年3月期) |
配当利回り | 5.77%(2023年3月期) |
株価 | 3,351円(2023年8月25日終値) |
購入できる証券会社 | 松井証券 、楽天証券 など |
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日本製鉄の株価はなぜ安い?
日本製鉄の株価チャート(過去5年分)は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
日本製鉄の株価データ(2023年8月25日現在)は、こちら。
- 株価:3,351円
- PER(予想):7.72倍
- PBR(実績):0.74倍
ちなみに、東証プライム全銘柄のPERは15.25倍、PBRは1.26倍となっており(2023年8月25日、日本経済新聞より)、日本製鉄は市場からの評価がかなり低いことがわかります。
日本を代表する鉄鋼メーカー、日本製鉄の株価はなぜこのように安いのでしょうか?
以下で考察してみます。
✓ 日本製鉄の株価はなぜ安い?
日本製鉄の株価が安い理由は、下記の3点が考えられます。
- 理由①:不安定な企業業績
- 理由②:減配を嫌った投資家の売り
- 理由③:鉄鋼の過剰生産問題
1つずつ、解説します。
理由①:不安定な企業業績
理由の1つ目は、不安定な企業業績です。
日本製鉄の過去6期分の業績をご覧ください。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2018年3月 | 5兆6,686億円 | 1,823億円 | 1,950億円 |
2019年3月 | 6兆1,779億円 | 2,651億円 | 2,511億円 |
2020年3月 | 5兆9,215億円 | -4,061億円 | -4,315億円 |
2021年3月 | 4兆8,292億円 | 113億円 | -324億円 |
2022年3月 | 6兆8,088億円 | 8,409億円 | 6,373億円 |
2023年3月 | 7兆9,755億円 | 8,836億円 | 6,940億円 |
売上高は毎期、増収と減収を繰り返しています。
営業利益と純利益も不安定で、2020年と2021年は2期連続で最終赤字となっています。
一方で、2022年と2023年3月期は、売上高・各利益ともに大幅に回復。
とくに純利益は、過去最高益を2期連続で達成しました。
典型的な景気敏感株で、売買のタイミングがかなり難しい銘柄です。
理由②:減配を嫌った投資家の売り
理由の2つ目は、減配を嫌った投資家の売りです。
下記は、2023年3月期と2024年3月期(予想)の業績の比較です。
決算期 | 売上高 | 純利益 | 配当金 |
---|---|---|---|
2023年3月 | 7兆9,755億円 | 6,940億円 | 180円 |
2024年3月(予想) | 9兆円 | 4,000億円 | 150円 |
今期(2024年3月期)の業績は、売上高は増収見込みですが、純利益が大幅に減少(マイナス40%)する見込みです。
その結果、2024年3月期の配当金は150円と減配予想です(2023年8月、会社発表)。
業績の急回復と高配当で人気を集めてきた日本製鉄ですが、2023年5月には、株価が一時10%近く下落しました。
理由③:鉄鋼の過剰生産問題
理由の3つは目、鉄鋼の過剰生産問題です。
世界最大の鉄鋼生産国、中国の過剰生産により、日本の鉄鋼メーカーは、製品価格の下落や生産調整などを強いられてきました。
下記は、世界の鉄鋼需要と粗鋼生産の一覧表です。
年 | 鉄鋼需要 | 粗鋼生産 |
---|---|---|
2005年 | 10.5億トン | 11.5億トン |
2015年 | 15.0億トン | 16.2億トン |
2020年 | 17.9億トン | 18.8億トン |
2021年 | 18.4億トン | 19.6億トン |
2022年 | 17.8億トン | 18.9億トン |
上記のように、鉄鋼重要は18億トン前後で頭打ちになっており、しかも、供給過剰(鉄鋼需要 < 粗鋼生産)の状態が長期に渡って続いています。
日本製鉄の株価が安い最大の理由(=根本的な理由)が、この世界的な過剰生産問題にあると考えます。
日本製鉄の株価推移
日本製鉄の株価推移(過去5年分)は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
2020年3月期の業績悪化を受けて、2020年4月には798円まで下落しました。
安値を記録した後、株価は上昇に転じ、2021年には2,000円台を回復、その後は2023年までボックス相場(1,750円~2,250円)で推移しました。
株価に転機が訪れたのは、2023年に入ってからです。
1年前(2022年3月期)から続く企業業績の回復を投資家が評価し始め、株価は上昇基調へ。
2023年8月現在、株価は3,000円を超えるまでになりました。
日本製鉄100株で配当金はいくらもらえる?
日本製鉄の2023年3月期の配当金は、下記のとおりでした。
時期 | 配当金 |
---|---|
中間配当(2022年9月) | 90円 |
期末配当(2023年3月) | 90円 |
合 計 | 180円 |
2023年3月末の株価(3,120円)で計算すると、配当利回りは5.77%。
東証プライム全銘柄の平均利回りは、2.28%(2023年8月25日、日本経済新聞より)なので、2.5倍とかなりの高利回りです。
100株を保有している場合、18,000円の配当金を受け取ることができました。
※ちなみに、実際の手取り額は14,344円(20.315%の所得税・住民税が引かれる)です。
日本製鉄、配当金&配当利回りの推移
日本製鉄の配当金・配当利回りの推移(過去8期分)は、下記のとおりです。
※配当利回り= 各期の配当金 ÷ 株価(期末)×100で算出
決算期 | 配当金 | 株価(期末) | 配当利回り | 配当性向 |
---|---|---|---|---|
2016年3月 | 45円 | 2,162円 | 2.08% | 28.4% |
2017年3月 | 45円 | 2,565円 | 1.75% | 30.4% |
2018年3月 | 70円 | 2,336.5円 | 3.00% | 34.2% |
2019年3月 | 80円 | 1,954円 | 4.09% | 28.4% |
2020年3月 | 10円 | 925.4円 | 1.08% | - |
2021年3月 | 10円 | 1,886.5円 | 0.53% | - |
2022年3月 | 160円 | 2,171円 | 7.37% | 23.1% |
2023年3月 | 180円 | 3,120円 | 5.77% | 23.9% |
2020年と21年は、2期連続で最終赤字を計上し、配当金も10円と振るいませんでした。
2022年3月期からは業績が急回復、配当金も160円と大幅に増加し、配当利回りは7%台(!)へ。
2023年3月期の配当金も180円と順調で、配当利回りは5%台後半とすばらしい結果になりました。
日本製鉄100株はいくらで買える?
直近1年の日本製鉄の株価推移は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
日本製鉄の株価は、2023年に入ってから順調に推移しており、3,000円を超えてきました。
日本製鉄100株を購入する場合、下記で計算できます。
株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金
2023年8月25日の日本製鉄の終値は、3,351円なので、これで計算してみます。
なお、私も利用している松井証券の場合、50万円までの取引なら、手数料は無料となっています。
3,351円 × 100株 + 0円 = 335,100円
34万円くらいで購入可能です。
日本製鉄、今後の配当金・株価はどうなる?
日本製鉄の配当金と株価の見通しを、同社が発表している決算資料に基づいて解説します。
日本製鉄、配当金の今後の見通し
日本製鉄の配当実績(10期分)と、2024年3月期の予想配当金は、下記のとおり。
決算期 | 配当金 |
---|---|
2014年3月 | 50円 |
2015年3月 | 55円 |
2016年3月 | 45円 |
2017年3月 | 45円 |
2018年3月 | 70円 |
2019年3月 | 80円 |
2020年3月 | 10円 |
2021年3月 | 10円 |
2022年3月 | 160円 |
2023年3月 | 180円 |
2024年3月(予想) | 150円 |
上記のとおり、2022年3月期より配当金を大幅に増やしています。
2024年3月期は、前期と比べて減配にはなりますが、150円の配当金を予定しています(日本製鉄、2024年3月期 第1四半期決算短信より)。
現在の株価水準が3,300円くらいなので、4.5%の配当利回りが期待できます。
参考までに、日本製鉄の配当方針を載せておきます。
引用元:日本製鉄、株主還元・配当より一部抜粋
- 業績に応じた利益の配分を基本とする
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日本製鉄、株価の今後の見通し
日本製鉄の株価チャート(過去5年分)を再掲します。
※株価チャートは拡大できます。
✓ 日本製鉄の株価の見通し
株価は、下記の計算式で決まります。
EPS(1株利益)× PER(株価収益率)= 株価
2024年3月期の日本製鉄のEPS(予想)は、434円(日本製鉄、2024年3月期 第1四半期決算短信より)。
日本製鉄の過去5期分のPERは、最低が3.1倍、最高が6.9倍(日本製鉄、2023年3月期 有価証券報告書より)。
これらの数字から、日本製鉄の株価を計算すると、下記のとおり。
434円 × 3.1倍~6.9倍= 1,345円~2,995円
あくまでも、計算上ですが、「1,345円~2,995円」という株価が算出されました。
※現在の日本製鉄の株価は、3,351円(2023年8月25日終値)。
2024年3月期の予想配当金が150円なので、株価が1,345円まで下落すると、配当利回りは11%を超えるので、ここまで株価が下がることはないでしょう。
一方で、株価が2,995円の場合、配当利回りは5%。これくらいの株価水準が妥当と判断します。
結論として、日本製鉄の株価は今後、3,000円前後で推移すると予想します。
※2024年3月期は業績悪化や減配予想なので、現在の株価(3,351円)は、高値圏にあると考えます。
まとめ:今回のポイント
今回は、日本製鉄(5401)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- 日本製鉄の株価が安い理由①:不安定な企業業績
- 日本製鉄の株価が安い理由②:減配を嫌った投資家の売り
- 日本製鉄の株価が安い理由③:鉄鋼の過剰生産問題
- 日本製鉄、2024年3月期の予想配当金は150円(会社発表)
- 日本製鉄、今後の株価は3,000円前後で推移すると予想
日本製鉄のような素材株・景気敏感株は正直、投資のタイミングが難しいです。
ウクライナ戦争を背景とした物価高の中、日本製鉄も鋼材価格の値上げを行ってきましたが、今後の景気動向は先行き不透明です。
国内外の金利政策の行方、中国の不動産バブルの崩壊など、景気への波乱要因はたくさんあります。
現在高値圏にある日本製鉄株を今から購入するのは、リスキーだと個人的には判断します。
約3,900社ある日本の上場企業の中には、5%以上の高利回りをゲットできる銘柄は一定数存在します。
今後は、そのような高配当株も紹介していきますので、引き続き本ブログをご覧ください。
※投資の判断は自己責任でお願いします。
今回は以上です。