株式投資

JT株は買ってはいけない?株価や配当金の今後の見通しを解説

2023/08/27

※当ブログではアフィリエイトを利用しています。

お悩みくん

高配当のJT株に興味があります。ネット上では「JT株は買ってはいけない」という意見もあるようですが、なぜですか?
株価や配当金の今後の見通しについても教えてください。

こういった質問に答えます。

本記事の内容

  • JT(日本たばこ産業)はどんな会社?
  • JTの業績推移
  • JTの配当推移
  • JTの株価推移
  • JT株は買ってはいけない?
  • JTの配当利回りはなぜ高い?
  • JT 100株はいくらで買える?
  • JT株、株価・配当金の今後の見通し 
  • まとめ:今回のポイント 

こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。

今回は、「JT株は買ってはいけないのか?」「JT株、株価・配当金の今後の見通し」を中心に解説します。

ポイントは下記のとおり。

  • JT株は買ってはいけない?→ リスクを把握した上なら、購入もアリ
  • JTの株価の見通しは、2,700円~3,200円
  • JTの予想配当金は、188円(2023年12月期:会社発表)

※記事は3分くらいで読み終わります。

JT(日本たばこ産業)はどんな会社?

JT(2914)は、たばこを中核事業としつつ、加工食品や医薬品なども手掛けています。

特にたばこは、世界130以上の国と地域で事業展開しており、「セブンスター」「メビウス」「キャメル」など、多数の人気ブランドを所有。

また、最近は加熱式たばこ用デバイス「プルーム・エックス」に力を注いでいます。

日本国内では、紙巻きたばこ等の販売シェアが6割弱、リスク低減製品(RRP)の販売シェアが3割となっています。

売上の内訳は国内が3割、海外が7割と海外の割合が多く、収益面でも海外たばこが業績を支えています。

項目内容
社名JT(日本たばこ産業)
証券コード2914
本社東京都港区虎ノ門
設立1985年4月
決算12月31日
市場東証プライム
主な事業内容たばこの製造・販売
従業員数(連結)約53,000名(2022年12月期)
売上高2兆6,578億円(2022年12月期)
配当利回り7.07%(2022年12月期)
株価3,148円(2023年8月24日終値)
購入できる証券会社 松井証券 、楽天証券 など 

JT株は、ネット証券で購入するのが便利で、手数料もお得です。

松井証券の場合、1日の取引額が50万円以下であれば手数料は無料です。ぜひこの機会に口座を開設しておきましょう。

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JTの業績推移

JTの過去6期分の業績は、下記のとおりです。

決算期売上高営業利益純利益
2017年12月2兆1,396億円5,611億円  3,924億円
2018年12月2兆2,159億円5,649億円 3,856億円
2019年12月2兆1,756億円    5,023億円 3,481億円
2020年12月2兆925億円 4,690億円 3,102億円
2021年12月2兆3,248億円4,990億円 3,384億円
2022年12月2兆6,578億円 6,535億円  4,427億円
引用元:JT、有価証券報告書

上記のとおり、業績は好調です。

売上高は2兆円台を順調に推移。直近の決算(2022年12月期)では、2兆6,578億円と過去10年間では、最高になっています。

また、営業利益も6,535億円と最高益を更新。純利益も2015年12月期(約4,800億円)に次ぐ、高水準です。

JTの配当推移

JTの過去10期分の配当金、配当利回りなどは、下記のとおりです。

※配当利回り= 各期の配当金 ÷ 株価(期末)×100で算出。
※2014年に決算期を変更しているため、2014年は3月と12月の表記があります。

決算期配当金株価(期末)配当利回り配当性向
2014年3月96円3,240円    2.96%   40.8%
2014年12月100円3,328円              3.00%     50.1%
2015年12月118円4,471円     2.64%    43.6%
2016年12月130円3,844円 3.38%     55.2%
2017年12月140円3,631円    3.86%     63.9%
2018年12月150円2,616.5円 5.73%    69.7%
2019年12月154円2,432.5円            6.33%     78.6%
2020年12月154円2,102円   7.33%    88.1%
2021年12月140円2,322.5円    6.03%    73.4%
2022年12月188円2,661円 7.07%75.4%
引用元:IR BANK、JTの決算資料

JT株というと、高配当というイメージがありますが、配当利回りが5%を超えたのは、2018年以降からです。

2017年以前は、利回り2~3%台の普通の銘柄でした。また、2021年には、上場来初となる「減配」を記録しています。

配当性向に関しては、2019年以降から、70%以上と高めの還元をするようになりました。

JTの株価推移 

JTの約20年分の株価推移は、下記のとおり。

※株価チャートは拡大できます。

JT株価チャート 20年

JTの株価は、2015年と16年に4,800円台の高値を付けました。

ですが、それ以降は下落基調に…。

日本たばこ協会によれば、国内の紙巻たばこの販売数量は、
2015年に1,833億本だったものが、2022年には926億本と半減しています。

フリー

健康志向を背景に、たばこの販売数量が減少していることに加え、為替相場の影響も受けました。

具体的には、2015年末に120円だった円相場(対ドル)は、2019年末には109円、2020年末には103円と円高に振れ、売上や利益の下押し要因になりました。

ポイント

JTは、売上の7割を海外で稼ぐため、円高になると減収減益円安になると増収増益になります。

さらに、2021年には上場来初となる「減配」になり、株価も2,000円を割り込みました。

その後、2022年・2023年にかけて株価は緩やかに回復…。2023年8月現在、3,000円を少し上回る水準で推移しています。

※ここ最近の株価回復の要因は、海外たばこが好調なこと&為替の円安効果と考えます。

JT株は買ってはいけない?

JT株は買ってはいけないのか?

私の個人的な見解は、下記のとおり。

結論:リスクを把握した上での投資なら、購入もアリ

やはり、6~7%台の配当利回りは魅力的です。

ですが、JT株には、危険なリスクもあります。

※投資の際には、JT株のリスクを十分に理解しておきましょう。

✓ JT株のリスク

私が考えるJT株のリスクは、下記のとおりです。                  

  • リスク①:世界的な喫煙率低下のリスク
  • リスク②:業績悪化による減配リスク
  • リスク③:ESG投資による投資家離れのリスク

それぞれ解説します。

リスク①:世界的な喫煙率低下のリスク

リスクの1つ目は、世界的な喫煙率低下のリスクです。             

JTの中核事業である「たばこ」は、国内外でたばこ離れ(喫煙率の低下)が進んでいます。

具体的には、日本では2004年に26.4%だった喫煙率が、2019年には16.7%に低下(厚生労働省のデータより)。

世界全体では2000年に32.7%だった喫煙率が、2020年には22.3%に低下しています(WHO、World Health Statisticsより)。

また、WHO(世界保健機関)を旗振り役として、世界中でたばこ対策(たばこの値上げ・増税、屋内禁煙化、たばこ箱の警告表示など)が行われており、たばこ事業に対する厳しい対応は今後も続きそうです。

売上の9割をたばこ事業に依存しているJTにとっては、軽視できないリスクです。

リスク②:業績悪化による減配リスク

リスクの2つ目は、業績悪化による減配リスクです。

JT株へ投資する一番の目的は、高い配当利回りですが、業績次第では2021年のように配当が減額される(減配)リスクがあります。

業績を左右する要因としては、営業利益の2割を稼ぐと言われているロシア事業や、円相場(円高になると減収減益)の行方があり、ウクライナ戦争の動向や国内外の金利政策などに気を付けなればなりません。

さらに、減配になれば、株価も下落するので、より注意が必要です。

リスク③:ESG投資による投資家離れのリスク

リスクの3つ目は、ESG投資による投資家離れのリスクです。

とくに、外国人の投資家離れが深刻です。

ESG投資とは?

ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字を合わせた略称。
環境や社会に配慮した事業を行い、ガバナンス(企業統治)が適切になされている企業に投資しようというのがESG投資です。
ESGの観点から、軍事関連や石炭、たばこなどは投資対象になりにくいと言われています。

※ちなみに日本では、2015年頃からESG投資が注目され始めました。

下記は、JTのおもな株主の割合です。

決算期外国人個人法人金融
2014年12月33.6%13.7%1.3%15.9%
2016年12月30.9%14.8%0.8%17.3%
2018年12月20.0%22.4%1.1%19.9%
2020年12月12.2%31.4%1.5%15.3%
2022年12月12.1%32.6%1.7%15.2%
引用元:JT、有価証券報告書

外国人の持ち株比率は、2014年の33.6%から2022年には12.1%と大幅に減少し、JT株離れが起こっています。

JTの配当利回りはなぜ高い

JTの2022年12月期の配当金は、下記のとおりでした。

時期配当金
中間配当(2022年6月)75円
期末配当(2022年12月)113円
合  計188円

2022年12月末の株価(2,661円)で計算すると、配当利回りは7.07%とかなり魅力的です。

ちなみに、東証プライム全銘柄の平均利回りは、2.26%(2023年8月24日、日本経済新聞より)なので、3倍になります。

100株を保有している場合、18,800円の配当金を受け取ることができました。

※なお、実際の手取り額は14,981円(20.315%の所得税・住民税が引かれる)です。

配当金の額は、業績によって変化します。moomoo(ムームー)などの株アプリで、会社の動向をウォッチしていきましょう。

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✓ JTの配当利回りが高い理由

JTの配当利回りが高い理由は、下記の3点が考えられます。

  • 理由①:業績が順調である
  • 理由②:株主還元に積極的
  • 理由③:株価が比較的安い

簡潔に説明します。

理由①:業績が順調である

理由の1つ目が、業績が順調であることです。

直近3期分の業績を再掲します。

決算期売上高営業利益純利益
2020年12月2兆925億円 4,690億円 3,102億円
2021年12月2兆3,248億円4,990億円 3,384億円
2022年12月2兆6,578億円 6,535億円  4,427億円
引用元:JT、有価証券報告書

上記のように、売上高、営業利益、純利益ともに順調に推移しています。

※配当金の原資である純利益も問題なく増えています。

2020年~22年の3年間は、新型コロナの影響を受けた上場企業が非常に多かったのですが、JTへの影響は限定的だったようです。

「たばこ」という嗜好品を扱っている企業の強みが発揮されました。

理由②:株主還元に積極的

理由の2つ目が、株主還元に積極的なことです。

2020年12月期までのJTの配当方針が、こちら。

1株当たり配当⾦の安定的/継続的な成⻑

引用元:JT、経営計画2020より

2021年に上場来初の「減配」を経験したJTですが、2021年12月期からは下記のように配当方針を変更しました。

資本市場における競争力ある水準として、配当性向75%を目安とする

引用元:JT、経営計画2021より

今後は、業績次第で配当金が上下するリスクが高まったという評価もありますが、「配当性向75%」を掲げるJTの方針からは株主還元への積極的な姿勢を感じます。

理由③:株価が比較的安い

理由の3つ目が、株価が比較的安いことです。

下記は、JTの株価データです。

  • 株価:3,148円(2023年8月24日終値)
  • PER(予想):12.23倍
  • PBR(実績):1.58倍

業績も好調で、配当利回りも高いJT株ですが、PERやPBRはそれほど高くありません。

※東証プライム全銘柄の平均値は、PERが15.39倍、PBRが1.27倍です(2023年8月24日、日本経済新聞より)

株価が比較的安いのは、JT株が抱えているリスク(健康志向の高まり、ロシアなど海外事業の不透明性、ESG投資)が原因で、投資家が株を積極的に購入しづらいからだと考えます。

※逆に言えば、不人気の理由を納得し、配当狙いと割り切って投資するのも、1つのやり方です。

JT100株はいくらで買える?

ここ1年くらいのJTの株価推移は、下記のとおり。

※株価チャートは拡大できます。

JT株価チャート 1年

JT 100株を購入する場合、下記で計算できます。

株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金

2023年8月24日のJTの終値は3,148円なので、これで計算してみます。

なお、私も利用している松井証券の場合、50万円までの取引なら、手数料は無料となっています。

3,148円 × 100株 + 0円 = 314,800円

約32万円で、JT株が購入できます。

JT株、株価・配当金の今後の見通し

最後に、JT株の株価と配当金の見通しについて、以下で考察してみます。

JT株、株価の今後の見通し

株価は、下記の計算式で決まります。

EPS(1株利益)× PER(株価収益率)= 株価

2023年12月期のJTの予想EPSは、257.5円(JT、2023年12月期 第2四半期決算短信より)。

JTの過去5期分のPERは、最低が10.7倍、最高が12.4倍(JT、2022年12月期 有価証券報告書より)。

この2つの数字から、JTの株価を計算すると下記になります。

257.5円 × 10.7倍~12.4倍= 2,755円~3,193円

あくまでも、計算上ですが、「2,755円~3,193円」という株価が算出されました。

ちにみに、現在のJTの株価は、3,148円(2023年8月24日終値)。

PERを計算すると、12.2倍(3,148円 ÷ 257.5円)になるので、「現在の株価は高くもなく、安くもない」という感じでしょうか…。

✓ 株価チャートでJT株の買い場を探る

JT株の過去5年間の株価チャートは、下記のとおり。

※株価チャートは拡大できます。

JT株価チャート 5年

上記のように、現在のJT株は3,000円を超えており、ここ5年間で最も高い株価水準にいます。

一方で、2021年の「減配ショック」の時のように 2,000円を割り込むと、かなり安値になります。

※ちなみに、1株当たり純資産(BPS)は 1,995円です(2022年12月末時点)。

なので、実際にJT株を購入する場合、2,000円~3,000円の間で買うのが、現実的だと考えます。

また、先ほどのEPSとPERから算出した、2,755円~3,193円という数字も「株価の上限値」として捉え、この株価以上では、JT株を購入しないのがリスク回避になります。

JT株、配当金の今後の見通し

JTの配当実績(過去6期分)と、今期(2023年12月期)の予想配当金は、下記のとおり。

決算期配当金配当性向
2017年12月140円63.9%
2018年12月150円69.7%
2019年12月154円78.6%
2020年12月154円88.1%
2021年12月140円73.4%
2022年12月188円75.4%
2023年12月(予想)188円
引用元:JT、決算資料

2020年12月期に配当金の原資である純利益が、前期にくらべて減少しましたが、配当性向を異例の88%まで引き上げて、減配を免れました。

ですが、2021年12月期も純利益がそれほど増えず、上場来初の「減配」を余儀なくされています。

その後、JTは配当政策を転換、現在下記のような配当方針(再掲)を公表しています。

資本市場における競争力ある水準として、配当性向75%を目安とする

引用元:JT、経営計画2021より

2023年12月期の配当金ですが、今のところ、188円で変更はないようです(2023年7月現在)。

※2023年7月発表の最新決算もチェックしましたが、業績の上方修正はあったものの、配当金は188円のままでした。

まとめ:今回のポイント

今回は、JT(2914)について解説しました。

ポイントをおさらいすると、下記のとおり。

  • JT株は買ってはいけない?→ リスクを把握した上なら、購入もアリ
  • JTの株価の見通しは、2,700円~3,200円
  • JTの予想配当金は、188円(2023年12月期:会社発表)

本記事をご覧いただいたように、JT株への投資にはメリット・デメリットが存在します。

JT株に投資する際には、

  • ドルやユーロなど、外国為替の動向
  • ロシアをはじめとする、海外たばこ事業の動向
  • 加熱式たばこデバイス「プルーム・エックス」の行方

上記の内容等に注目しつつ、3ヵ月ごとの決算短信にもしっかりと目を通すことをオススメします。

※投資の判断は自己責任でお願いします。

今回は以上です。

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