トヨタの株価が急落したことがありましたが、なぜですか? 以前、8,000円台だった株価が、今は2,000円台になっていますが、おかしいのでは?
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「トヨタの株価がおかしい?なぜ急落?」「トヨタの株価に影響を与える株価材料3つ」「トヨタ、今後の株価・配当金の見通し」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- 2023年5月、トヨタの株価は4.8%(93円)も急落。この日だけで時価総額1.5兆円が吹き飛びました。株価急落の理由は、不明です。
- また、以前は8,000円台だったトヨタの株価ですが、現在は2,000円台です。こちらの原因は、トヨタが2021年9月に株式分割(1株を5株にしました)を行ったからです。
- トヨタの株価材料①:為替相場の変動
- トヨタの株価材料②:世界販売台数の動向
- トヨタの株価材料③:ダイハツ工業による試験不正
- トヨタの株価は今後、2,599円~3,154円の範囲で推移すると予想。
ただし、株価材料①~③次第では、大きく変動するので注意が必要。 - トヨタの2023年9月の中間配当は30円。2024年3月の期末配当は未定(2023年12月末現在)。
※記事は2~3分で読み終わります。
トヨタの株価がおかしい?なぜ急落?
トヨタの直近1年間の株価推移は、下記のとおりです。
※株価チャートは拡大できます。
ご覧のとおり、2023年5月23日に株価が急落しています。
その日、トヨタ株は前日の終値とほぼ変わらない 1,900円台で推移。
ところが、午後の取引終了時に、株価は 1,857円と、前日比で4.8%(93円)も急落してしまいました。
※これほどの下落率は、2022年5月以来、1年ぶりの記録でした…。
年月日 | 株価(終値) | 前日比 | 下落率 | 時価総額 |
---|---|---|---|---|
2023年5月22日 | 1,950円 | - | - | 約31.8兆円 |
2023年5月23日 | 1,857円 | 93円安 | 4.8%安 | 約30.3兆円 |
上記のとおり、わずか1日でトヨタの時価総額1.5兆円が吹き飛んでしまいました…。
なお、株価は翌日には持ち直し、前日比5.4%高の1,956.5円となり、落ち着きを取り戻しています。
✓ トヨタの株価はなぜ急落したのか?
当時の報道や情報を調べましたが、トヨタの株価が急落した理由は不明です。
誤発注などの可能性はあるものの、急落の正確な原因は分からないようです。
参考:トヨタの株価が取引終了時に急落、1.5兆円が吹き飛ぶ(会社四季報オンライン)
トヨタのIR(ニュースリリース)も確認しましたが、この件に関してのコメントはありませんでした。
トヨタの株価を急落させる可能性も?今後の株価材料3つ
2023年5月、株価が急落したトヨタですが、今後もこのような株価変動には注意しなければなりません。
そこで、ここでは、トヨタ株に影響を与える株価材料について考えてみたいと思います。
私が考える、トヨタの株価を変動させる株価材料は、下記の3つです。
- その①:外国為替相場の変動
- その②:世界販売台数の動向
- その③:ダイハツ工業による試験不正
以下で解説します。
その①:外国為替相場の変動
1つ目は、外国為替相場の変動です。
世界で稼ぐグローバル企業のトヨタは、為替相場の変動によって業績が大きく左右されます。
具体的には、米ドル、ユーロ、英国ポンドなどに注目する必要があります。
特に、今後は日米の金融政策の軌道修正によって、米ドルに対する「円高の進行」が懸念されているため、トヨタの業績が悪化する恐れがあります。
具体的には、米ドルに対して、円が1円高くなると、トヨタの営業利益は400億円減少すると言われています。
その②:世界販売台数の動向
2つ目は、世界販売台数の動向です。
※世界販売台数は、トヨタ・ダイハツ工業・日野自動車の合計。
※2023年は、1~11月までの数字。
年 | 世界販売台数 |
---|---|
2019年 | 1,074万台 |
2020年 | 952万台 |
2021年 | 1,049万台 |
2022年 | 1,048万台 |
2023年(1~11月) | 1,022万台 |
上記のとおり、トヨタの世界販売台数は、コロナ禍から回復して順調に推移しています。
2023年は11ヵ月分の数字ですが、販売台数が1,000万台を突破。2位のフォルクスワーゲン(ドイツ)を上回り、4年連続での世界1位がほぼ確定しています。
北米や欧州で、「レクサス」「RAV4」「カローラ」の販売が好調だったことなどが大きな要因です。
2024年以降も好調を維持しそうなトヨタですが、懸念材料もいくつか指摘されています。
具体的には、中国市場での競争激化・販売台数の減少、EV(電気自動車)シフトへの対応の遅れ、世界的な景気後退による販売台数の減少などです。
トヨタの業績は、世界販売台数と外国為替によって大きく上下するので、今後も注視していく必要があります。
その③:ダイハツ工業による試験不正
3つ目は、ダイハツ工業による試験不正の発覚です。
2023年12月、トヨタの子会社であるダイハツ工業で、衝突試験などで不正が発覚したと第三者員会が発表。
試験不正は、1989年から30年に以上に渡って行われていたようです。
1,000万台を超えるトヨタの世界販売台数の内、ダイハツ工業の販売台数は約80万台と7~8%を占めています。
また、2023年3月期の売上高は約2兆5,000億円で、トヨタ(約37兆円)の売上高の約7%に当たります。
2023年12月現在、ダイハツ工業の国内にある全工場で生産が停止になっており、再開のメドも立っていません。
日経などの報道によれば、1,000億円規模の損失が発生すると見込まれており、トヨタの業績への影響も避けられない見通しです。
参考:ダイハツ、損失1000億円超も 国内工場停止で(日本経済新聞)
トヨタの業績推移
株式投資で成功するためには、株価や株価材料だけを追いかけてもダメで、投資対象の業績をチェックすることが重要になります。
ここでは、トヨタの過去5期分の業績をご紹介します。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2019年3月 | 30兆2,256億円 | 2兆4,675億円 | 1兆8,828億円 |
2020年3月 | 29兆9,299億円 | 2兆4,428億円 | 2兆761億円 |
2021年3月 | 27兆2,145億円 | 2兆1,977億円 | 2兆2,452億円 |
2022年3月 | 31兆3,795億円 | 2兆9,956億円 | 2兆8,501億円 |
2023年3月 | 37兆1,542億円 | 2兆7,250億円 | 2兆4,513億円 |
売上高は、2019年3月期に初の30兆円台を達成しました。
ところが、新型コロナの感染拡大で、世界各地の工場や販売店の活動が停止し、2021年3月期には27兆円台まで減少します。
その後、経済活動の再開とともに売上高も回復。2022年&2023年3月期と過去最高の売上高を記録しました。
一方で、営業利益・純利益は、コロナ禍でもそれほど悪化せず、2019年~2022年3月期まで、おおむね2兆円台で推移。
とくに、2022年3月期は営業利益・純利益ともに過去最高を記録しています。
2023年3月期は、売上高が過去最高を更新したにも関わらず、利益面は減益となりました。
※資材高騰による費用の増加、米国・金融事業での損失発生がおもな要因です…。
トヨタの株価に関するよくある質問3つ
トヨタの株価に関して、よくある質問をまとめました。
- 質問①:トヨタの株価は以前、8,000円台だったのでは?
- 質問②:【トヨタの株価】トヨタはいつ株式分割しましたか?
- 質問③:トヨタの株価は、なぜ2,000円台と安いのですか?
以下で説明します。
質問①:トヨタの株価は以前、8,000円台だったのでは?
その通りです。
トヨタの株価は、2021年9月末の株式分割まで、株価が8,000~10,000円もする値がさ株でした。
2021年は1~5月までが 8,000円台、6~9月までが 9,000円台で、トヨタの株価は推移していました。
株式分割前の2021年9月28日に付けた、10,460円がトヨタの上場来高値として記録されています。
質問②:【トヨタの株価】トヨタはいつ株式分割しましたか?
トヨタは、2021年9月28日の取引終了時点で、株式分割(1株を5株にする分割)を行いました。
したがって、2021年9月28日までは、1株当たりの株価が 8,000~10,000円していたので、トヨタに投資するためには80万~100万円くらいの資金が必要でした。
分割後の2021年9月29日からは、株価が 2,000円台になりましたので、20万~30万円でトヨタに投資できるようになりました。
質問③:トヨタの株価は、なぜ2,000円台と安いのですか?
質問②で回答したとおり、2021年9月28日の取引終了時で、1株を5株にする株式分割を行ったからです。
この株式分割により、100万円くらい必要だったトヨタへの投資資金が、20万円くらいで済むようになりました。
※トヨタ株に悪材料が出て、株価が10,000円から2,000円台に暴落したわけではありませんので、ご安心を…。
トヨタ、今後の株価・配当金の見通し
最後に、トヨタの株価と配当金の見通しについて、以下で考察してみます。
トヨタ、今後の株価の見通し
株価は、下記の計算式で求められます。
EPS(1株利益)× PER(株価収益率)= 株価
2024年3月期のトヨタの予想EPSは、292.02円(トヨタ自動車 決算短信より)。
トヨタの過去5期分のPERは、最低が8.9倍、最高が10.8倍(トヨタ自動車 有価証券報告書より)。
以上の2つの数字から、トヨタの株価を計算すると下記になります。
292.02円 × 8.9倍~10.8倍 = 2,599円~3,154円
あくまでも、計算上ですが、「2,599円~3,154円」という株価が算出されました。
ちなみに、現在のトヨタの株価は 2,590.5円(2023年12月29日終値)。
もし、株価が算出されたとおりに推移するなら、今からトヨタに投資をしていも損は出ず、多少の儲けも期待できるかもしれません。
ただし、先程の株価材料①~③次第では、トヨタの株価は大きく変動しますので冷静な判断が必要です。
トヨタ、今後の配当金の見通し
トヨタの配当実績(過去5期分)と、2024年3月期の予想配当金は下記のとおり。
※配当利回り= 各期の配当金 ÷ 株価(期末)× 100 で算出
決算期 | 配当金 | 株価(期末) | 配当利回り |
---|---|---|---|
2019年3月 | 44円 | 1,297.4円 | 3.39% |
2020年3月 | 44円 | 1,300.2円 | 3.38% |
2021年3月 | 48円 | 1,723.2円 | 2.79% |
2022年3月 | 52円 | 2,222.5円 | 2.34% |
2023年3月 | 60円 | 1,880円 | 3.19% |
2024年3月(予想) | 30円 +α | - | - |
トヨタの過去5期分の配当利回りは、2.34~3.39%。平均すると、3.02%です。
東証プライム全銘柄の配当利回りは、2.26%(2023年12月29日、日本経済新聞より)なので、平均よりも高めであることがわかります。
✓ トヨタ、2024年3月期の予想配当金
トヨタの配当は、中間配当と期末配当の年2回、実施されます。
2023年9月の中間配当は、30円分配されましたが、2024年3月に実施される期末配当については、未定となっています。
※なので、一覧表では2024年3月期の予想配当金を、30円+αとしています。
ちなみに、最新の会社四季報では、2024年3月期の配当金を、65~70円(中間配当と期末配当の合計)と予想していますので、1つの目安としてください。
また、トヨタの配当金は今後の業績によって変化しますので、moomoo(ムームー)などの株アプリで会社の動向をウォッチしていきましょう。
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まとめ:今回のポイント
今回は、トヨタの株価について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- 2023年5月、トヨタの株価は4.8%(93円)も急落。この日だけで時価総額1.5兆円が吹き飛びました。株価急落の理由は、不明です。
- また、以前は8,000円台だったトヨタの株価ですが、現在は2,000円台です。こちらの原因は、トヨタが2021年9月に株式分割(1株を5株にしました)を行ったからです。
- トヨタの株価材料①:為替相場の変動
- トヨタの株価材料②:世界販売台数の動向
- トヨタの株価材料③:ダイハツ工業による試験不正
- トヨタの株価は今後、2,599円~3,154円の範囲で推移すると予想。
ただし、株価材料①~③次第では、大きく変動するので注意が必要。 - トヨタの2023年9月の中間配当は30円。2024年3月の期末配当は未定(2023年12月末現在)。
トヨタの業績は、2022年3月期、2023年3月期と絶好調です。
売上高に関しては、2022年と2023年3月期に連続で過去最高を記録。
営業利益・純利益に関しても、2022年3月期に過去最高を記録しています。
今後の焦点は、絶好調の業績を維持できるか否かですが、ダイハツ工業の不正問題やドル円相場の行方など、不安材料が出始めています。
今からトヨタへ投資する際には、十分な情報収集と冷静な判断が必要となるでしょう。
当ブログでは、引き続きトヨタをフォローしていきますので、今後ともよろしくお願いします。
※投資の判断は自己責任でお願いします。
今回は以上です。