エネオス(ENEOS)の株価はなぜ安いのですか?
今後の株価や配当の見通し、将来性を教えてください。
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「エネオス(ENEOS)の株価はなぜ安い?」「エネオスの株価、今後どうなる?」「エネオスの配当、今後どうなる?」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- 株価が安い理由①:不安定な業績
- 株価が安い理由②:脱炭素化や環境意識の高まり
- 株価が安い理由③:株主還元に消極的な姿勢
- 株価の今後の見通し:業績次第だが、ここ5年来の高値(865.9円)を目指す展開になると考える
- 2025年3月期の予想配当金は26円。5期ぶりに増配予定。
※記事は2分くらいで読み終わります。
エネオス(ENEOS)はどんな会社?
エネオス(5020)は、国内シェア約50%の石油元売りNo.1企業。
12,000ヵ所を超える系列給油所を運営しています。
売上高は13.8兆円で、業界2位の出光興産(売上高 8.7兆円)を大きくリード…。
2017年4月に東燃ゼネラルと経営統合。2020年6月、ENEOSホールディングスへ商号変更しました。
再生可能エネルギーに注力するとともに、子会社 JX金属の上場準備を進めており、事業再編にも取り組んでいます。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | ENEOSホールディングス |
証券コード | 5020 |
本社 | 東京都千代田区大手町 |
設立 | 2010年4月 |
決算 | 3月31日 |
市場 | 東証プライム |
主な事業内容 | 石油製品の精製・販売 |
従業員数(連結) | 約44,000名(2024年3月期) |
売上高 | 13兆8,566億円(2024年3月期) |
配当利回り | 3.01%(2024年3月期) |
株価 | 759.4円(2024年10月28日終値) |
購入できる証券会社 | 松井証券、moomoo証券 など |
エネオス株は、ネット証券で購入するのが便利で、手数料もお得です。
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エネオス(ENEOS)の業績推移
エネオスの業績(過去5期分)は、下記のとおり。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2020年3月 | 10兆117億円 | -1,130億円 | -1,879億円 |
2021年3月 | 7兆6,580億円 | 2,541億円 | 1,139億円 |
2022年3月 | 10兆9,217億円 | 7,859億円 | 5,371億円 |
2023年3月 | 15兆165億円 | 2,812億円 | 1,437億円 |
2024年3月 | 13兆8,566億円 | 4,649億円 | 2,881億円 |
直近5期の売上高は、増収と減収を繰り返しており、安定していません。
新型コロナで経済活動が低迷した2021年3月期は、減収に…。
コロナ禍を経て、ウクライナ戦争などで原油価格が高騰した2022年と2023年3月期は、大幅な増収となりました。
売上高と同様に、営業利益や純利益も増益と減益を繰り返しており、こちらも不安定です。
具体的には、原油価格が高騰し、在庫評価益が増加した2022年3月期は、5,300億円台と過去最高の純利益を計上。
ところが、2023年3月期は一転して大幅な減益に…。前期から70%以上も純利益を減らしています。
参考:ENEOS純利益74%減 23年3月期、原油安で在庫評価損(日本経済新聞)
2024年3月期は減収増益。2025年3月期は増収減益の見通し。売上高の80%が石油製品なので、業績は不安定です。
エネオス(ENEOS)の株価推移
エネオスの株価推移(約15年分)は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
2011年~2017年にかけて、エネオスの株価は安値で400円台、高値で500円台後半くらいで推移し、低迷しました。
※2012年や2016年には400円を下回り、300円台で取引されたこともあります。
2017年秋頃から、株価はようやく上昇傾向になり、2018年9月には高値900.9円を付けます。
その後、新型コロナの影響などもあり、株価は下落基調に…。
2020年3月には安値320.1円を記録。2021年~2023年夏頃まで、株価は低迷を続けました。
株価が上昇し始めたのが、2023年後半になってから…。2024年7月に865.9円を付けたものの、900円には届きませんでした。
現在は、やや軟調な展開。760円前後の株価で推移しています。
エネオスの株価は、コロナ前の高値(900.9円)を更新できずにいます。なぜ900円を突破できずに低迷しているのでしょうか?
エネオスの株価が安い理由を、以下で考察してみます。
エネオス(ENEOS)の株価はなぜ安い?
エネオスの株価が安い理由は、下記の3点が考えられます。
- 理由①:原油価格に左右される不安定な業績
- 理由②:脱炭素&環境意識の高まりで不人気化
- 理由③:株主還元に消極的な姿勢が嫌気された
それぞれ解説します。
理由①:原油価格に左右される不安定な業績
まずは、過去6期分の営業利益(本業の儲け)の推移をご覧ください。
決算期 | 営業利益 |
---|---|
2019年3月 | 5,371億円 |
2020年3月 | -1,131億円 |
2021年3月 | 2,542億円 |
2022年3月 | 7,859億円 |
2023年3月 | 2,813億円 |
2024年3月 | 4,649億円 |
上記のとおり、減益と増益を毎期繰り返しており、業績がかなり不安定です。
新型コロナの影響で、2020年3月期には 1,100億円の赤字を計上しました。
また、エネオスの業績は、原油価格に依存しており、地域紛争や石油輸出国の政策などにより大きく左右されます。
このような点が投資家から警戒され、株価低迷につながっていると考えます。
理由②:脱炭素&環境意識の高まりで不人気化
脱炭素化や環境意識の高まりで、石油関連事業の先行きが懸念されているのも株価低迷の要因です。
具体例の1つとして、自動車の電動化が挙げられます。
日本政府は、2020年10月に『2050年カーボンニュートラル宣言』を発表。
さらに、同年12月の『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』では、
「2050年に自動車の生産、利用、廃棄を通じたCO2ゼロを目指す」として、2050年以降にはガソリン車の利用が禁止され、ガソリン車は完全に廃止される予定です。
このような不安材料があるため、株価が低迷していると思われます。
理由③:株主還元に消極的な姿勢が嫌気された
さらに、株主還元に消極的なことも、株価低迷の原因と考えます。
過去の配当実績をまとめてみました。
決算期 | 配当金 |
---|---|
2019年3月 | 21円 |
2020年3月 | 22円 |
2021年3月 | 22円 |
2022年3月 | 22円 |
2023年3月 | 22円 |
2024年3月 | 22円 |
上記のとおり、22円配当が5期連続で続き、魅力に欠けます。
先ほど紹介した不安定な業績では、増配をすることが難しいのかもしれません。
ですが、最近では増配や自社株買いなど、株主還元に積極的な企業も増加しています。
例えば、「連続増配」企業のイエローハット(9882)や三菱HCキャピタル(8593)などと比べると、見劣りがします。
✓ 参考: イエローハットの配当金推移
決算期 | 配当金 |
---|---|
2019年3月 | 36円 |
2020年3月 | 46円 |
2021年3月 | 54円 |
2022年3月 | 58円 |
2023年3月 | 62円 |
2024年3月 | 66円 |
✓ 参考: 三菱HCキャピタルの配当金推移
決算期 | 配当金 |
---|---|
2019年3月 | 23.5円 |
2020年3月 | 25円 |
2021年3月 | 25.5円 |
2022年3月 | 28円 |
2023年3月 | 33円 |
2024年3月 | 37円 |
✓ 参考:エネオスの配当方針
安定的な配当継続に配慮し、22円/株の配当を下限とする。
引用元:ENEOSホールディングス 株主還元
上記のエネオスの配当方針を見ても、積極的な姿勢は感じられません。
このような姿勢では投資家から評価されず、株安の要因になっていると考えます。
なお、2025年3月期の予想配当金は26円。5期ぶりの増配予定です。今後も、増配傾向が続くことを期待します!
エネオス100株はいくらで買える?
ここ5年間のエネオスの株価推移は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
エネオスを100株購入する場合、計算式は下記になります。
株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金
2024年10月28日のエネオスの終値は、759.4円なので、これで計算してみます。
ちなみに、私も利用しているmoomoo証券の場合、日本株の手数料は「無料」となっています。
759.4円 × 100株 + 0円=75,940円
8万円弱で購入可能です。
【将来性ある?】エネオスの株価、今後どうなる?
先ほどのチャートを再掲します。
※株価チャートは拡大できます。
✓ エネオス、過去5年分の株価(高値・安値)
エネオスの過去5年分の株価(高値・安値)を一覧表にしてみました。
※2024年は10月28日までの数字
年 | 高値 | 安値 |
---|---|---|
2020年 | 520.7円(1月) | 320.1円(3月) |
2021年 | 520.5円(3月) | 362.8円(1月) |
2022年 | 580.8円(6月) | 429.7円(3月) |
2023年 | 642.3円(9月) | 436.4円(1月) |
2024年 | 865.9円(7月) | 557.8円(1月) |
エネオスの過去5年間での高値は 865.9円(2024年7月)、安値は 320.1円(2020年3月)。
ちなみに、現在の株価は 759.4円(2024年10月28日終値)となっています。
✓ エネオスの株価、今後どうなる?
株価は、下記の計算式で求められます。
EPS(1株利益)× PER(株価収益率)= 株価
2025年3月期の予想EPSは、71.78円(エネオス 決算短信より)。
過去5期分のPERは、最低が 2.74倍、最高が 14.14倍(エネオス 有価証券報告書より)。
以上の2つの数字から、エネオスの株価を計算すると下記になります。
71.78円 × 2.74倍~14.14倍= 197円~1,015円
あくまでも、計算上ですが、「197円~1,015円」という株価が算出されました。
先述のとおり、 エネオスの過去5年来の高値は 865.9円(2024年7月)。現在の株価は 759.4円(2024年10月28日終値)です。
今後の業績次第ではありますが、「株価は再び、過去5年来の高値(865.9円)を目指す展開になる」と考えます。
ただし、現在の株価は高値圏にあります。
株価的には、「エネオスに将来性はない(=上昇余地は100円ほど)」と判断します。
エネオスの配当、今後どうなる?
✓ エネオスの配当実績(過去5期分)
エネオスの配当実績(過去5期分)は、下記のとおり。
※配当利回り= 配当金 ÷ 株価(期末)× 100 で算出
決算期 | 配当金 | 株価 (3月末) | 配当利回り | 配当性向 |
---|---|---|---|---|
2020年3月 | 22円 | 370.2円 | 5.94% | 130.6% |
2021年3月 | 22円 | 501.6円 | 4.39% | 62.0% |
2022年3月 | 22円 | 458.0円 | 4.80% | 13.2% |
2023年3月 | 22円 | 465.2円 | 4.73% | 47.2% |
2024年3月 | 22円 | 731.3円 | 3.01% | 23.0% |
エネオスの過去5期分の配当利回りは、3.01~5.94%。平均すると4.57%です。
東証プライム全銘柄の配当利回りは、2.34%(2024年10月28日、日本経済新聞より)なので、平均の約2倍と、かなり高いことがわかります。
ただし、エネオスの配当利回りが高いのは、皮肉にも株価が低迷しているからです。
2024年のように株価が上昇すると、配当利回りは3%台まで低下してしまいます。
✓ エネオスの配当、今後どうなる?
2025年3月期の予想配当金も、26円を予定。
予定通りに実施されれば、5期ぶりの増配となる見込みです。
最後に、エネオスの配当方針を載せておきます。
安定的な配当継続に配慮し、22円/株の配当を下限とする
引用元:ENEOSホールディングス 株主還元
まとめ:今回のポイント
今回は、エネオス(5020)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- 株価が安い理由①:不安定な業績
- 株価が安い理由②:脱炭素化や環境意識の高まり
- 株価が安い理由③:株主還元に消極的な姿勢
- 株価の今後の見通し:業績次第だが、ここ5年来の高値(865.9円)を目指す展開になると考える
- 2025年3月期の予想配当金は26円。5期ぶりに増配予定。
個人的には、「エネオス株は、成長株でも優良株でもない」と考えます。
唯一、投資できるポイントは、「高配当株」という点です。
多少のリスクは伴いますが、一時的な業績悪化などで株価が暴落したときに、投資のチャンス(=高利回りのチャンス)があるかも知れません。
※投資判断は、自己責任でお願いします。
今回は以上です。