花王の株価が下落したのはなぜですか?
花王株に投資するのは、やばいですか?
今後の業績・株価・配当金の見通しについても教えてください。
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「花王の株価はなぜ下落したのか?」「花王の業績、株価はやばいのか?」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- 株価下落の理由①:業績不振(利益面)が続いているから
- 株価下落の理由②:原材料高を価格転嫁できていないから
- 株価下落の理由③:「連続増配」停止の懸念があるから
- 花王の業績(2023年12月期)見通しは、大幅な減益
- 花王の株価見通しは、直近の安値4,663円を下回る可能性も
- 花王の配当見通しは、34期連続の増配を確保
※記事は3分くらいで読み終わります。
花王はどんな会社?
花王(4452)は、国内最大手の日用品メーカー。
アタック(衣料用洗剤)・キュキュット(台所用洗剤)・ニベアやビオレ(スキン&ボディケア)など、様々な商品ブランドを保有しています。
素材や商品開発を自前で行い、独自の物流・販売網を持ち、消費者のニーズを細かく分析・把握するのが得意な企業です。
33期連続の増配中で(日本企業No.1 !)、個人投資家からも人気のある銘柄の1つ。
成熟化している国内の日用品市場で戦う花王の今後は、商品の高付加価値化と、組織の構造改革(現在進行中)の行方にかかっています。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | 花王 |
証券コード | 4452 |
本社 | 東京都中央区日本橋茅場町 |
設立 | 1940年5月 |
決算 | 12月31日 |
市場 | 東証プライム |
事業内容 | トイレタリー(日用品)の開発・製造・販売 |
従業員数(連結) | 約35,000名(2022年12月期) |
売上高 | 1兆5,510億円(2022年12月期) |
配当利回り | 2.82%(2022年12月期) |
株価 | 5,681円(2023年8月18日終値) |
購入できる証券会社 | 松井証券 、楽天証券 など |
花王株は、ネット証券で購入するのが便利で、手数料もお得です。
松井証券の場合、25歳以下なら取引額に関わらず、手数料が無料ですので、ぜひこの機会に口座を開設しておきましょう。
※ 26歳以上の方でも、1日の取引額が50万円以下なら手数料は無料。100万円以下の取引なら手数料は1,100円(税込)です。
花王の株価はなぜ下落した?
花王の株価が下落した理由は、下記の3点が考えられます。
- 理由①:業績不振(利益面)が続いているから
- 理由②:原材料高を価格転嫁できていないから
- 理由③:「連続増配」停止の懸念があるから
それぞれ解説します。
理由①:業績不振(利益面)が続いているから
理由の1つ目が、営業利益や純利益の減少が続いているからです。
下記は、直近5期分の花王の業績です。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2018年12月 | 1兆5,080億円 | 2,077億円 | 1,536億円 |
2019年12月 | 1兆5,022億円 | 2,117億円 | 1,482億円 |
2020年12月 | 1兆3,819億円 | 1,755億円 | 1,261億円 |
2021年12月 | 1兆4,187億円 | 1,435億円 | 1,096億円 |
2022年12月 | 1兆5,510億円 | 1,100億円 | 860億円 |
売上高は、1兆5,000億円前後とある程度、順調に推移しています。
ですが、ここ5年くらいで、営業利益や純利益が半分くらいに減っています。
とくに、直近(2022年12月期)の純利益は、1,000億円を割っており、結構やばい状況です。
減益の要因としては、2019年の消費税増税、2020年の新型コロナ、2021年以降の原材料高などの悪材料が考えられます。
株価もこの業績に反応して、2018年10月の高値9,387円をピークに下落傾向が続いています。
理由②:原材料高を価格転嫁できていないから
理由の2つ目が、原材料高を価格転嫁できていないからです。
2022年12月期の決算では、原材料の高騰で460億円もの悪影響を受けています(2022年12月期、決算説明会資料より)。
花王製品の主な原材料は、天然油脂と石油化学原料ですが、値上がり幅が大きすぎて、上手く価格転換できなかったものと考えます。
このような状況では、株価は下値を模索する状況になってしまいます。
理由③:「連続増配」停止の懸念があるから
理由の3つ目が、「連続増配」停止の懸念があるからです。
下記は、過去6期分の花王の配当金と配当性向の推移です。
決算期 | 配当金 | 配当性向 |
---|---|---|
2017年12月 | 110円 | 36.9% |
2018年12月 | 120円 | 38.2% |
2019年12月 | 130円 | 42.4% |
2020年12月 | 140円 | 53.4% |
2021年12月 | 144円 | 62.4% |
2022年12月 | 148円 | 80.8% |
上記のとおり、配当金は増え続けていて、順調そうにみえますが、注目すべきは配当性向が上昇傾向にある点です。
純利益が減少する中でも、増配を維持した結果、配当性向が上昇しました。
配当金の原資である純利益が減少し続ければ、いつまでも増配を維持できないので、「いつか、増配が止まるのでは?」という懸念が株価にも悪影響を与えたと考えます。
※ちなみに、2023年12月期の配当金は150円を予定。34期連続の増配は達成できそうですが、その先は不透明です。
参考までに、花王の配当方針を載せておきます。
安定的・継続的な配当の実施を通じた利益還元を重視
引用元:花王|株主還元方針より一部抜粋
このように、連続増配を維持するとは言及していませんので、注意が必要です。
花王の業績、株価はやばい?
ここで、花王の業績&株価の推移と、それぞれの今後の見通しについて考察してみます。
花王の業績推移と今後の見通し
花王の過去8期分の業績推移は、下記のとおりです。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2015年12月 | 1兆4,745億円 | 1,643億円 | 1,051億円 |
2016年12月 | 1兆4,576億円 | 1,855億円 | 1,265億円 |
2017年12月 | 1兆4,894億円 | 2,047億円 | 1,470億円 |
2018年12月 | 1兆5,080億円 | 2,077億円 | 1,536億円 |
2019年12月 | 1兆5,022億円 | 2,117億円 | 1,482億円 |
2020年12月 | 1兆3,819億円 | 1,755億円 | 1,261億円 |
2021年12月 | 1兆4,187億円 | 1,435億円 | 1,096億円 |
2022年12月 | 1兆5,510億円 | 1,100億円 | 860億円 |
売上高に関しては、コロナの影響を大きく受けた2020年12月期以外は、おおむね順調に推移しています。
※ただし、成長株のような大幅増収は期待出来ません。
問題なのは、営業利益や純利益です。
直近(2022年12月期)の営業利益と純利益は、それぞれ 1,100億円と860億円と、好調だったコロナ前(2018年&2019年)と比べてほぼ半減しています。
先述のとおり、原材料(天然油脂など)の急激な値上がりが、利益を圧迫しています。
✓ 花王の業績の見通し
2023年12月期の花王の業績は、厳しいものになりそうです。
下記は、2023年12月期の決算見通しです。
※上段:2023年5月発表、下段:2023年8月発表
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2023年12月(旧) | 1兆5,800億円 | 1,200億円 | 880億円 |
2023年12月(新) | 1兆5,800億円 | 600億円 | 410億円 |
最新の決算(2023年8月)で、花王は組織改革の実施を宣言しました。
そのため、約600億円の構造改革費用を計上、結果として、営業利益と純利益の見通しを大幅に下方修正しました。
具体的には、1,200億円を見込んでいた営業利益は600億円に、880億円を見込んでいた純利益は410億円の予想になりました。
結論として、2023年12月期の花王の業績は、過去10期を振り返った場合、最低の決算(とくに利益面)になりそうです。
花王への投資を検討している人は、構造改革の行方をしっかりとウォッチしていきましょう!
花王の株価推移と今後の見通し
花王のチャート(過去5年分)は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
花王の株価は、2018年10月に高値9,387円を達成。その後は、7,500円~9,000円のボックス圏で推移していました。
下落基調が鮮明になったのが、2021年に入ってから。新型コロナの影響で業績に陰りが見え始めたところへ、急激な原材料高(悪材料)が株価をさらに下落させました。
2022年3月には、安値4,663円を記録。現在株価は、5,500円をほんの少し上回っている状況です。
✓ 花王の株価の見通し
株価は、下記の計算式で決まります。
EPS(1株利益)× PER(株価収益率)= 株価
2023年12月期の花王のEPS(予想)は、88.2円(花王、2023年12月期 第2四半期決算短信より)。
花王の過去5期分のPERは、最低が25.9倍、最高が30.4倍(花王、2022年12月期 有価証券報告書より)。
これらの数字から、花王の現実的な株価を計算すると、下記のとおり。
88.2円 × 25.9倍~30.4倍= 2,284円~2,681円
あくまでも、計算上ですが、「2,284円~2,681円」という株価が算出されました。
ちなみに、現在の花王の株価は、5,681円(2023年8月18日終値)。
PERは、64.4倍(5,681円 ÷ 88.2円)とかなり高めになっています。
2,000円台という株価は極論かもしれませんが、構造改革が上手くいかずに、業績のさらなる下方修正が続けば、直近の安値4,663円(2022年3月)を試す展開になるかもしれません。
花王の配当利回りは何%?
花王の過去6期分の配当利回りは、1.44%~2.82%。平均すると、1.89%です。
東証プライム全銘柄の平均利回りは、2.31%(2023年8月18日、日本経済新聞より)なので、平均よりも低めであることがわかります。
※配当利回り= 各期の配当金 ÷ 株価(期末)×100で算出
決算期 | 配当金 | 株価(期末) | 配当利回り | 配当性向 |
---|---|---|---|---|
2017年12月 | 110円 | 7,619円 | 1.44% | 36.9% |
2018年12月 | 120円 | 8,154円 | 1.47% | 38.2% |
2019年12月 | 130円 | 9,025円 | 1.44% | 42.4% |
2020年12月 | 140円 | 7,970円 | 1.76% | 53.4% |
2021年12月 | 144円 | 6,019円 | 2.39% | 62.4% |
2022年12月 | 148円 | 5,255円 | 2.82% | 80.8% |
直近2期は、配当利回りが2%台になっていますが、株価が下落傾向にあることと、配当性向を高めにしていることが要因です。
33期連続で増配し、株主還元に積極的な花王ですが、決して高配当株ではないので、投資の際には冷静な判断が必要です。
花王100株で配当金はいくらもらえる?
花王の2022年12月期の配当金は、下記のとおり。
時期 | 配当金 |
---|---|
中間配当(2022年6月) | 74円 |
期末配当(2022年12月) | 74円 |
合 計 | 148円 |
上記のとおり、花王の配当金は2回に分けて支払われます。
100株を保有している場合、14,800円の配当金を受け取ることができました。
※なお、実際の手取り額は 11,794円(20.315%の所得税・住民税が引かれる)です。
配当金の額は、業績によって変化します。moomoo(ムームー)などの株アプリで、会社の動向をウォッチしていきましょう。
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✓ 花王の配当金推移
花王の配当金推移(過去10期分)と、2023年12月期の予想配当金は、下記のとおり。
決算期 | 中間配当金 | 期末配当金 | 合計 |
---|---|---|---|
2013年12月 | 32円 | 32円 | 64円 |
2014年12月 | 34円 | 36円 | 70円 |
2015年12月 | 38円 | 42円 | 80円 |
2016年12月 | 46円 | 48円 | 94円 |
2017年12月 | 54円 | 56円 | 110円 |
2018年12月 | 60円 | 60円 | 120円 |
2019年12月 | 65円 | 65円 | 130円 |
2020年12月 | 70円 | 70円 | 140円 |
2021年12月 | 72円 | 72円 | 144円 |
2022年12月 | 74円 | 74円 | 148円 |
2023年12月(予想) | 75円 | 75円 | 150円 |
上記のとおり、連続増配が続いており、2013年に比べて、2022年の配当金は約2.3倍になっています。
2023年12月期の配当金は、150円を予定しており(会社発表)、株価が現在の水準(5,700円前後)であれば、2.6%くらいの配当利回りが期待できそうです。
※ 5%以上の高利回りを狙っている投資家には、物足りないかもしれません。
花王100株はいくらで買える?
直近1年の花王の株価推移は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
2023年5月に、5,000円を一瞬割り込みましたが、その後は回復基調に…。現在は5,700円前後で推移しています。
花王100株を購入する場合、下記で計算できます。
株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金
2023年8月18日の花王の終値は、5,681円なので、これで計算してみます。
なお、私も利用している松井証券の場合、25歳以下であれば、取引額に関わらず手数料は無料となっています。
5,681円 × 100株 + 0円 = 568,100円
おおよそ57万円で購入可能です。
まとめ:今回のポイント
今回は、花王(4452)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- 株価下落の理由①:業績不振(利益面)が続いているから
- 株価下落の理由②:原材料高を価格転嫁できていないから
- 株価下落の理由③:「連続増配」停止の懸念があるから
- 花王の業績(2023年12月期)見通しは、大幅な減益
- 花王の株価見通しは、直近の安値4,663円を下回る可能性も
- 花王の配当見通しは、34期連続の増配を確保
花王は株主還元に積極的で、毎日手にする製品も使いやすく好感の持てる企業です。
ですが、花王株に手を出すのはまだ早いと判断します。
最低限、2023年11月に発表される決算を見て、構造改革の行方や原材料高の状況を確認した方がよさそうです。
※投資の判断は自己責任でお願いします。
今回は以上です。