トヨタの株価がおかしい?急落の理由は?
トヨタ株の買い時、今後の株価・配当の見通しを教えてください。
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「トヨタの株価がおかしい?急落の理由は?」「トヨタ、今後の株価・配当金の見通しは?」「トヨタ株の買い時は?」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- 2023年5月、トヨタの株価は4.8%急落。時価総額ベースで1.5兆円を失う
- 誤発注の可能性があるものの、株価急落の正確な理由は「不明」
- トヨタ株が安くなった理由は、2021年9月の株式分割(1株 → 5株)
- 株式分割後のトヨタ株は、おおむね 2,000~3,000円台で推移
- トヨタの株価は今後、2,100~3,200円の範囲で推移する…と予想
- 株価 2,000円を割り込んだタイミングが、トヨタ株の「買い時」
- トヨタの2025年3月期の予想配当金は未定(2024年5月末現在)
ちなみに、最新版の『会社四季報』は、配当金を 66~72円と予想
※記事は2~3分で読み終わります。
【トヨタ】株価がおかしい?急落の理由は?
トヨタの2023年の株価推移は、下記のとおりです。
※株価チャートは拡大できます。
ご覧のとおり、2023年5月23日に株価が急落しています。
その日、トヨタ株は1,900円台で、午前の取引を開始。
昼前から午後にかけても、大きな変動はなく、株価は推移していきます。
ところが、大引け間際に「株価は突然、前日比で4.8%も急落」。1,900円を割り込み、取引を終了しました。
※これほどの下落率は、2022年5月以来、1年ぶりのことでした…。
年月日 | 株価(終値) | 前日比 | 下落率 | 時価総額 |
---|---|---|---|---|
2023年5月22日 | 1,950円 | - | - | 約31.8兆円 |
2023年5月23日 | 1,857円 | 93円安 | 4.8%安 | 約30.3兆円 |
上記のとおり、わずか1日でトヨタの時価総額1.5兆円が吹き飛んでしまいました…。
なお、株価は翌日には持ち直し、前日比5.4%高の1,956.5円となり、落ち着きを取り戻しています。
参考:トヨタの株価が取引終了時に急落、1.5兆円が吹き飛ぶ(会社四季報オンライン)
✓ トヨタの株価、急落の理由は?
誤発注の可能性などが考えられますが、トヨタの株価が急落した理由は「不明」です。
トヨタのIR(ニュースリリース)も確認しましたが、この件に関してのコメントはありませんでした。
トヨタの株価が再び急落?今後の懸念材料
2023年5月、株価が急落したトヨタですが、今後もこのような株価変動には注意しなければなりません。
そこで、ここでは、トヨタ株に影響を与えそうな株価材料について考察してみたいと思います。
私が考える、トヨタの株価を大きく変動させる懸念材料は、下記の3つです。
- その①:外国為替相場の変動
- その②:世界販売台数の動向
- その③:ダイハツ工業による試験不正
以下で解説します。
その①:外国為替相場の変動
1つ目は、外国為替相場の変動です。
世界で稼ぐグローバル企業のトヨタは、為替相場の変動によって業績が大きく左右されます。
具体的には、米ドル、ユーロ、英国ポンドなどに注目する必要があります。
特に、今後は日米の金融政策の軌道修正によって、米ドルに対する「円高の進行」が懸念されているため、トヨタの業績が悪化する恐れがあります。
具体的には、米ドルに対して、円が1円高くなると、トヨタの営業利益は400億円減少すると言われています。
その②:世界販売台数の動向
2つ目は、世界販売台数の動向です。
※世界販売台数は、トヨタ・ダイハツ工業・日野自動車の合計。
年 | 世界販売台数 |
---|---|
2019年 | 1,074万台 |
2020年 | 952万台 |
2021年 | 1,049万台 |
2022年 | 1,048万台 |
2023年 | 1,123万台 |
上記のとおり、トヨタの世界販売台数は、コロナ禍から回復して順調に推移してきました。
2023年は販売台数が1,123万台と、過去最高を記録。2位のフォルクスワーゲン(ドイツ)を上回り、4年連続で、世界1位を達成しました。
北米や欧州で、「レクサス」「RAV4」「カローラ」の販売が好調だったことなどが大きな要因です。
2024年以降も好調を維持しそうなトヨタですが、懸念材料もいくつか指摘されています。
具体的には、中国市場での販売台数の減少、EV(電気自動車)シフトへの遅れ、世界的な景気後退による販売台数の減少などです。
トヨタの業績は、外国為替と世界販売台数によって大きく変動するので、今後は注意が必要です。
その③:ダイハツ工業による試験不正
3つ目は、ダイハツ工業による試験不正の発覚です。
2023年12月、トヨタの子会社であるダイハツ工業で、衝突試験などで不正が発覚した… と第三者員会が発表。
試験不正は、1989年から30年に以上に渡って行われていたようです。
1,000万台を超えるトヨタの世界販売台数の内、ダイハツ工業の販売台数は約7~8%を占めています。
2024年1月現在、国内の全工場で生産が停止されており、再開のメドが立っていません。
✓ 追加情報:ダイハツ工業の国内の全工場、生産再開へ
2024年5月、ダイハツ工業は国内にある4つの工場すべてで、生産を再開しました。
ただし、試験不正の影響は甚大で、
2023年の軽自動車の新車販売台数は約44万台(前年比22%減)にまで落ち込み、約55万台を販売したスズキに首位を奪われました(18年ぶり)。
参考:ダイハツ、全工場で生産再開 信頼回復は遠く(日本経済新聞)
生産再開が即、「販売」に結びつくとは限りません。
消費者の信頼を回復するには、かなりの時間が必要です。
トヨタの業績推移
トヨタの過去6期分の業績推移は、下記のとおり。
決算期 | 営業収益 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2019年3月 | 30兆2,256億円 | 2兆4,675億円 | 1兆8,828億円 |
2020年3月 | 29兆9,299億円 | 2兆4,428億円 | 2兆761億円 |
2021年3月 | 27兆2,145億円 | 2兆1,977億円 | 2兆2,452億円 |
2022年3月 | 31兆3,795億円 | 2兆9,956億円 | 2兆8,501億円 |
2023年3月 | 37兆1,542億円 | 2兆7,250億円 | 2兆4,513億円 |
2024年3月 | 45兆953億円 | 5兆3,529億円 | 4兆9,449億円 |
営業収益は、2019年3月期に初の30兆円台を達成しました。
ところが、新型コロナの感染拡大で、世界各地の工場や販売店の活動が停止し、2021年3月期には27兆円台まで減少します。
その後、経済活動の再開とともに営業収益も回復。2022年と2023年3月期は、営業収益の過去最高を更新しました。
さらに、2024年3月期には45兆円と、初の40兆円を突破。まさに絶好調です。
一方で、営業利益・純利益は、コロナ禍でもそれほど悪化せず、2019年~2023年3月期まで、おおむね2兆円台で推移。
2024年3月期は営業利益が5兆円台と、過去最高を大幅に更新。日本企業として、初めて営業利益5兆円を超えました。
なお、純利益も、過去最高を更新。2023年3月期の2倍の利益を稼いでいます。
トヨタの株価推移(過去5年の株価チャート)
トヨタの株価推移(過去5年分)は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
2019年から2022年の初頭にかけて、トヨタの株価は1,200円台から2,400円台へと、約2倍になりました。
ですが、2,500円の壁を突破できず、株価はその後、2023年前半まで低迷します。
転機を迎えたのは、2023年6月以降から…。
※絶好調だった、2024年3月期・決算に関連した明るいニュースが出始めた時期です。
株価は上昇局面へと転換し、2023年9月には 2,911.5円の高値をつけました。
2024年に入ると、株価はもう一段ギアを上げて、さらに上昇。
2月には3,000円の大台をクリアし、3月には上場来高値3,891円(株式分割後)を記録しました。
その後、株価はやや軟調な展開に…。
2024年5月現在、3,400円台で推移しています。
トヨタの株価に関するよくある質問
トヨタの株価に関して、よくある質問をまとめました。
- 質問①:トヨタの株価は以前、8,000円台だったのでは?
- 質問②:【トヨタの株価】トヨタはいつ株式分割しましたか?
- 質問③:トヨタの株価は、なぜ2,000円台と安いのですか?
- 質問④:EV(電気自動車)出遅れのトヨタに将来性はないのでは?
以下で説明します。
質問①:トヨタの株価は以前、8,000円台だったのでは?
ご指摘のとおり、
トヨタは、2021年9月末の株式分割まで、株価が8,000~10,000円もする値がさ株でした。
2021年は1~5月までが 8,000円台、6~9月までが 9,000円台で、トヨタの株価は推移していました。
ちなみに、10,460円(2021年9月28日)が、トヨタの株式分割「前」の最高値の記録となっています。
質問②:【トヨタの株価】トヨタはいつ株式分割しましたか?
トヨタは、2021年9月28日の取引終了時点で、株式分割(1株を5株にする分割)を行いました。
それまでは、1株当たりの株価が 8,000~10,000円だったので、80万~100万円くらいの資金が必要でした。
分割後の2021年9月29日からは、株価が 2,000円台に…。20万~30万円で、トヨタに投資できるようになりました。
質問③:トヨタの株価は、なぜ2,000円台と安いのですか?
2021年9月28日の取引終了時で、1株を5株にする株式分割を行ったからです。
この株式分割により、100万円くらい必要だったトヨタへの投資資金が、20万円くらいで済むようになりました。
※トヨタ株に悪材料が出て、株価が10,000円から2,000円台に暴落したわけではありませんので、ご安心を…。
なお、2024年に入ると、トヨタ株は大幅に上昇…。
株価はここ最近、3,000円台で推移しています。
質問④:EV(電気自動車)出遅れのトヨタに将来性はないのでは?
確かに、EV車の出遅れは心配ですが、「トヨタに将来はない」とまでは断定できないと考えます。
- トヨタは今期(2025年3月期)、EV関連に1.7兆円もの大型投資を実施
参考:トヨタ、EV挽回に1.7兆円 テスラ減速で投資余地(日本経済新聞) - 最近は、HV(ハイブリッド車)が、EVよりも販売台数を伸ばしている
参考:HV販売の伸び、EVを逆転(日本経済新聞)
上記のとおり、トヨタはEV関連に積極的に投資をしています。
さらに、2023年の欧米・中国・日本など主要14ヵ国の自動車販売台数では、HVの伸び率がEVを上回るという結果も出ています。
HVはEVに比べて、価格や利便性、走行距離などで優位な点があり、再び注目されています。
EV車で先行する、テスラ(米国)・BYD(中国)に追いつく日が、「そう遠くない将来に訪れる」と信じています。
【買い時は?】トヨタ株、今後の株価の見通し
✓ 参考:2025年3月期の業績見通し
トヨタは2024年5月、今期(2025年3月期)の業績見通しを発表しました。
決算期 | 営業収益 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2024年3月 | 45兆953億円 | 5兆3,529億円 | 4兆9,449億円 |
2025年3月(予想) | 46兆円 | 4兆3,000億円 | 3兆5,700億円 |
2025年3月期は、前期(2024年3月期)に比べて、かなりの悪化が見込まれています。
営業収益は、僅かに増加(2%増)するものの、営業利益と純利益は大幅に減少。
営業利益は20%、純利益は28%の減益が見込まれています。
✓ トヨタ株、今後の株価の見通しは?
それでは、トヨタ株の今後の見通しについて、以下で考察していきます。
株価は、下記の計算式で求められます。
EPS(1株利益)× PER(株価収益率)= 株価
2025年3月期のトヨタの予想EPSは、264.95円(トヨタ自動車 決算短信より)。
トヨタの過去10期分のPERは、最低が8.0倍、最高が12.2倍(トヨタ自動車 有価証券報告書より)。
以上の2つの数字から、トヨタの株価を計算すると下記になります。
264.95円 × 8.0倍~12.2倍 = 2,120円~3,232円
あくまでも、計算上ですが、「2,120円~3,232円」という株価が算出されました。
ちなみに、現在のトヨタの株価は 3,401円(2024年5月31日終値)。
EPSとPERから算出された株価を上回っています。
結論
- トヨタ株の今後の株価は、2,100円~3,200円の範囲で推移すると予想
- 現在の株価は、3,400円台
業績悪化の見通しや懸念材料もあり、「株価は今後、下落する可能性アリ」と考える
✓ トヨタ株、今後の買い時は?
トヨタ株のここ5年間の株価(高値・安値)は、下記のとおりです。
※2024年は5月末までのもの。
年 | 株価:高値 | 株価:安値 |
---|---|---|
2020年 | 1,609円(12月) | 1,154.2円(3月) |
2021年 | 2,188円(11月) | 1,443.2円(2月) |
2022年 | 2,475円(1月) | 1,791円(12月) |
2023年 | 2,911.5円(9月) | 1,764円(3月) |
2024年 | 3,891円(3月) | 2,572円(1月) |
先ほど、EPSとPERから算出した株価(2,120円~3,232円)と、ここ5年間の安値を合わせて考慮すると、
トヨタ株の買い時は、「株価が2,000円を割り込んだ時点」だと考えます。
2,000円未満でトヨタ株を購入できれば、配当利回り3%台も見込めそうです。
もちろん、先述した懸念材料が深刻化した場合や、今期(2025年3月期)の業績次第では、株価1,700円台や1,500円割れの可能性も考えられます。
なお、株価は現在、3,000円台と高値圏にあるため、「買いは推奨せず」、「しばらく様子見」をオススメします。
トヨタ株、今後の配当金の見通し
トヨタの配当実績(過去5期分)と、2025年3月期の予想配当金は下記のとおり。
※配当利回り= 各期の配当金 ÷ 株価(期末)× 100 で算出。
決算期 | 配当金 | 株価(期末) | 配当利回り |
---|---|---|---|
2020年3月 | 44円 | 1,300.2円 | 3.38% |
2021年3月 | 48円 | 1,723.2円 | 2.79% |
2022年3月 | 52円 | 2,222.5円 | 2.34% |
2023年3月 | 60円 | 1,880円 | 3.19% |
2024年3月 | 75円 | 3,792円 | 1.98% |
2025年3月(予想) | - | - | - |
トヨタの過去5期分の配当利回りは、1.98~3.38%。平均すると、2.74%です。
東証プライム全銘柄の配当利回りは、2.21%(2024年5月31日、日本経済新聞より)なので、平均よりも少しだけ高めです。
2024年に入ってから、トヨタの株価は3,000円台まで上昇。
このため、配当利回りは相対的に低下しています。
✓ トヨタ、2025年3月期の予想配当金
2024年5月末現在、
トヨタの2025年3月期の予想配当金は「未定」です(トヨタ自動車 決算短信より)。
ちなみに、最新版の『会社四季報』では、2025年3月期の配当金を、66円~72円と予想しています。参考にしてください。
トヨタから正式な発表があり次第、2025年3月期の
予想配当金をこちらのブログにて追記します。
まとめ:今回のポイント
今回は、トヨタの株価について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- 2023年5月、トヨタの株価は4.8%急落。時価総額ベースで1.5兆円を失う
- 誤発注の可能性があるものの、株価急落の正確な理由は「不明」
- トヨタ株が安くなった理由は、2021年9月の株式分割(1株 → 5株)
- 株式分割後のトヨタ株は、おおむね 2,000~3,000円台で推移
- トヨタの株価は今後、2,100~3,200円の範囲で推移する…と予想
- 株価 2,000円を割り込んだタイミングが、トヨタ株の「買い時」
- トヨタの2025年3月期の予想配当金は未定(2024年5月末現在)
ちなみに、最新版の『会社四季報』は、配当金を 66~72円と予想
トヨタの業績は、2024年3月期も絶好調でした。
営業収益に関しては、過去最高を記録し、40兆円を突破しました。
営業利益・純利益に関しても、2024年3月期に過去最高を大幅に更新。
とくに営業利益は、日本企業として初めて5兆円を超えました。
今後の焦点は、絶好調の業績を維持できるか否かですが、世界販売台数の減少懸念やドル円相場の行方など、不安材料が出始めています。
さらに、2024年6月、トヨタ本体でも不正処理が発覚…。
2023年12月のダイハツ工業、2024年1月の豊田自動織機に続き、3度目の不正行為の発生です。
今後の株価に大きな影響を与える懸念材料が、また1つ発生してしまいました。
今後トヨタへ投資する際には、十分な情報収集と冷静な判断が必要になるでしょう。
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※投資の判断は自己責任でお願いします。
今回は以上です。