楽天の株価はなぜ安いのですか? 今後の見通しと買い時についても教えてください。
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「楽天はやばい! は本当? その理由は?」「将来性ない? 楽天の株価はなぜ安い?」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- あくまでも個人的な意見だが、
「楽天は結構やばい」 - やばい理由①:株価が低迷している
- やばい理由②:業績が赤字続き
- やばい理由③:財務指標の悪化
- 株価が安い理由①:楽天モバイルの赤字
- 株価が安い理由②:大規模な増資で株式が希薄化
- 楽天株は買いか?:楽天モバイルの動向を見守りたい。2025年6月くらいまでは「様子見」を推奨
※記事は2分くらいで読み終わります。
楽天はどんな会社?
楽天(4755)は、ネット通販・金融・携帯電話などの事業を運営するグループ企業。
とくに、流通総額が5兆円を超える楽天市場(ネット通販)は、グループの中核事業です。
また、「楽天経済圏」の一翼を担う、楽天カード・楽天証券・楽天銀行などの金融業も順調に伸びています。
一方で、2019年に参入した、楽天モバイル(携帯電話事業)は大苦戦を強いられています。
楽天モバイルの赤字が、グループ全体の足を引っ張っていて、マスコミの報道でも「楽天は、やばい」という趣旨の内容を目にします。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | 楽天グループ |
証券コード | 4755 |
本社 | 東京都世田谷区玉川 |
設立 | 1997年2月 |
決算 | 12月31日 |
市場 | 東証プライム |
主な事業内容 | ネット通販、金融、携帯電話 |
従業員数(連結) | 約31,000名(2023年12月期) |
売上高 | 2兆713億円(2023年12月期) |
配当利回り | 0%(2023年12月期)※無配 |
株価 | 903.6円(2024年11月1日終値) |
購入できる証券会社 | 松井証券、moomoo証券 など |
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「楽天は、やばい!」は本当か?
あくまでも、個人的な意見ですが、「楽天は、結構やばい」と判断しています。
その理由は、下記のとおりです。
- 理由①:株価が低迷している
- 理由②:業績が赤字続き
- 理由③:財務指標の悪化
以下で解説します。
理由①:株価が低迷している
下記は、楽天の株価チャート(過去5年分)です。
※株価チャートは拡大できます。
2021年には、高値で1,500円くらいあった株価が、2022年になって、1,000円を大きく割り込みました。
さらに2023年に入ってからは、500円を下回り、安値466円を記録してしまいました。
※2024年に入ってから、株価はやや上向き傾向に…。ですが、相変わらず1,000円割れの状態が続いています。
「楽天モバイル」の赤字が、大きなネックになっています。
理由②:業績が赤字続き
下記は、過去5期分の楽天の業績推移です。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2019年12月 | 1兆2,639億円 | 727億円 | -318億円 |
2020年12月 | 1兆4,555億円 | -938億円 | -1,141億円 |
2021年12月 | 1兆6,817億円 | -1,947億円 | -1,338億円 |
2022年12月 | 1兆9,278億円 | -3,638億円 | -3,728億円 |
2023年12月 | 2兆713億円 | -2,128億円 | -3,394億円 |
売上高は順調に伸びていますが、営業利益(本業の儲け)と純利益(最終利益)は赤字続きで、黒字化が見通せない状況です。
その赤字を穴埋めするべく、ここ数年は日本郵政(6178)から出資を受けたり、楽天銀行(5838)を上場し、資金を調達したりしています。
さらに、2023年5月には公募増資を行い、約3,000億円を調達。
借金の返済(社債償還)や、「楽天モバイル」の設備投資に充てるようです。
自転車操業のようで、結構やばいです。
理由③:財務指標の悪化
毎期、最終赤字を出し続けているので、財務指標も悪化しています。
ここでは、2つの指標を取り上げます。
※2024年6月末現在の数字
- 自己資本比率:3.5%
- 利益剰余金:-7,311億円
自己資本比率は、企業の「安全性」を示す指標の1つで、「全体の資産の中で、返済不要な資本(自己資本)がどれくらいあるのか」を表しています。
楽天の場合、この自己資本比率が3.5%しかなく、かなりやばい状態です。
ちなみに、携帯電話事業を行う大手3社の自己資本比率は、下記のとおり。
- NTT(9432):33.2%
- KDDI(9433):33.7%
- ソフトバンク(9434):15.0%
他者と比べて、楽天の数値がいかに低いかがわかります。
利益剰余金とは、「企業が過去に稼いできた利益を積み立てたお金」のこと。利益剰余金のマイナスは、経営状態の悪化を示しています。
最悪のシナリオでは、「債務超過」や「倒産」というリスクも念頭に置かなければなりません。
なお、NTTなどの携帯電話事業者は、利益剰余金が3社とも、数兆円台のプラスです。
【将来性ない?】楽天の株価はなぜ安い?
2021年の春先には 1,500円くらいあった楽天の株価ですが、現在、1,000円を下回った水準で推移しています。
楽天の株価はなぜ安いのか? 株価が安い理由は、下記の2点が考えられます。
- 理由①:楽天モバイルの赤字が続いている
- 理由②:大規模な増資による株式の希薄化
以下で解説します。
理由①:楽天モバイルの赤字が続いている
2019年に参入した携帯電話事業ですが、毎期赤字が続いています。
部門別の営業損益は、下記のとおりです。
決算期 | モバイル | インターネット | フィンテック |
---|---|---|---|
2020年12月 | -2,269億円 | 401億円 | 812億円 |
2021年12月 | -4,211億円 | 1,033億円 | 891億円 |
2022年12月 | -4,792億円 | 646億円 | 898億円 |
2023年12月 | -3,375億円 | 768億円 | 1,229億円 |
上記のとおり、好調なネット通販と金融の利益を、楽天モバイルの赤字が食い潰しています。
このような状況が投資家から嫌われ、株が売られているものと考えます。
理由②:大規模な増資による株式の希薄化
楽天は、2023年5月に公募増資を行い、約3,000億円を調達しました。
調達資金の内、60%を楽天モバイルの設備投資に、残りの40%を社債の償還などに使う予定です。
この公募増資の結果、楽天の発行済み株式数が、16億株から21億株と約3割も増加。
株式の大幅な希薄化を懸念した売りが殺到し、株価は一時、500円を割り込みを割り込みました。
その後、株価はやや回復したものの、現在は900円前後で低迷しています。
楽天の株価チャート(株価推移15年分)
楽天の株価推移(約15年)は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
楽天株は、2015年4月に最高値の2,395円。2021年3月には、高値1,545円を付けました。
ですが、2022年には下落基調が鮮明になり、1,000円を割り込み、夏頃には半値近くの600円台に…。
2023年に入ってからも低迷が続き、安値466円を記録します。
その後、株価はやや回復し、瞬間的に1,000円台を回復したものの、再び下落…。
現在は、900円前後で推移しています。
楽天株の今後の見通しは?買い時か?
最後に、楽天株の今後の見通しと、楽天株は買いか否かについて考えてみます。
楽天株の今後の見通しは?
まずは、過去7期分の業績を振り返ってみます。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2017年12月 | 9,444億円 | 1,493億円 | 1,105億円 |
2018年12月 | 1兆1,014億円 | 1,704億円 | 1,422億円 |
2019年12月 | 1兆2,639億円 | 727億円 | -318億円 |
2020年12月 | 1兆4,555億円 | -938億円 | -1,141億円 |
2021年12月 | 1兆6,817億円 | -1,947億円 | -1,338億円 |
2022年12月 | 1兆9,278億円 | -3,638億円 | -3,728億円 |
2023年12月 | 2兆713億円 | -2,128億円 | -3,394億円 |
2017年と2018年12月期は、営業利益・純利益ともに順調に伸びて、黒字を確保していました。
ところが、携帯電話事業に参入した2019年12月期以降は、業績が悪化。最終赤字が常態化している状況です。
部門別の営業損益が、下記のとおり(再掲)。
決算期 | モバイル | インターネット | フィンテック |
---|---|---|---|
2020年12月 | -2,269億円 | 401億円 | 812億円 |
2021年12月 | -4,211億円 | 1,033億円 | 891億円 |
2022年12月 | -4,792億円 | 646億円 | 898億円 |
2023年12月 | -3,375億円 | 768億円 | 1,229億円 |
楽天モバイルの赤字が、好調なネット通販・金融の足を引っ張っていることがわかります。
✓ 楽天株の今後の見通し
楽天株の今後は、「楽天モバイルを黒字化できるか?」にかかっていて、楽天モバイルの契約者数をチェックすることがポイントになります。
年月 | 契約者数 |
---|---|
2022年12月 | 446万件 |
2023年12月 | 590万件 |
2024年3月 | 633万件 |
2024年6月 | 688万件 |
2024年10月(速報値) | 800万件超 |
楽天モバイルの黒字化には、1,000万件の契約者数が必要との意見が多く、最新の速報値では 800万件を超え、現実味を帯びてきました。
約1年前の2023年12月時点で、590万件だったものが、わずか1年足らずで210万件も増加しています。
割安&分かりやすい料金プランと、法人向けのサービスが奏功したものと考えられます。
2024年末から2025年にかけて、下記の2点に留意しつつ、「モバイル事業の赤字体質をいつ改善できるか」に要注目です。
- 「Rakuten最強プラン」&「Rakutenプラチナバンド」で、契約数1,000万件を達成できるか?
- 基地局整備の見直し(= KDDIとの連携)の「費用削減」効果は?
楽天株は買いか?
まずは、ここ1年間の楽天の株価推移をご覧ください。
※株価チャートは拡大できます。
上記のとおり、2024年に入ってから、株価はやや持ち直しています。
4月と7月には900円を突破…。9月には高値1,069.5円を記録、現在、900円前後で推移しています。
このような株価状況を踏まえた、私の結論は下記のとおり。
- 「今、楽天株を買う」のは、おすすめできない
- 2024年末~2025年6月くらいまでは、「様子見」がおすすめ。
「様子見」の根拠は、今まで述べてきた業績の不透明さです。
少なくとも、2025年6月くらまでは、楽天モバイルの動向を中心に見守っていくのが、ベストな選択だと考えます。
その間に、決算発表が2回(2025年2月、2025年5月)ありますので、そこでの数字を見てから判断をしても遅くはありません。
※また、2025年6月には、2025年12月期の中間決算の見通しがわかります。
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まとめ:今回のポイント
今回は、楽天(4755)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- あくまでも個人的な意見だが、
「楽天は結構やばい」 - やばい理由①:株価が低迷している
- やばい理由②:業績が赤字続き
- やばい理由③:財務指標の悪化
- 株価が安い理由①:楽天モバイルの赤字
- 株価が安い理由②:大規模な増資で株式が希薄化
- 楽天株は買いか?:楽天モバイルの動向を見守りたい。2025年6月くらいまでは「様子見」を推奨
楽天は、まだトンネルの中で、出口は見えていない状況です。
消費者として楽天市場や楽天カード、楽天トラベルなど、便利なサービスを利用しつつ、投資家としては冷静に判断することが賢明だと考えます。
幸い、日本には約3,900社も上場企業が存在します。
楽天株を今すぐに買わなくても、高配当株・成長株・優良株は他にもたくさんあります。
今後も、日本の個別株の分析記事を書いていきますので、当ブログを引き続きよろしくお願いします!
※投資判断は、自己責任でお願いします。
今回は以上です。