ゆうちょ銀行の株価はどこまで落ちるのでしょうか?
ゆうちょ銀行株はなぜ安いのですか?株主優待の内容、今後の株価の見通しと一緒に教えてください。
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「ゆうちょ銀行の株価はどこまで落ちる?」「ゆうちょ銀行の株主優待は?」「ゆうちょ銀行、今後の株価の見通しは?」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- ゆうちょ銀行の株価はどこまで落ちる?:株価1,000円が、1つ目の下値の目安。
もし、株価1,000円を割ったら、800円が底値の目安と考える。 - ゆうちょ銀行の株主優待は、500株以上保有している株主が対象。
ゆうちょ銀行のオリジナルカタログから、好きな商品(3,000円相当)を1つ選べる。 - 今後の株価の見通しは、業績の劇的な変化がない限り、1,500円台が上限だと考える。
※記事は3分くらいで読み終わります。
ゆうちょ銀行はどんな会社?
ゆうちょ銀行(7182)は、貯金残高194兆円(2023年3月期)で国内最大の金融機関。
全国に23,000店以上ある郵便局のネットワークを通じて、金融サービスを提供しています。
2015年11月、郵政民営化の流れを受けて、日本郵政(6178)、かんぽ生命(7181)と伴に株式を上場しました。
ちなみに、筆頭株主は日本郵政で発行済み株式の60%を保有しています。
収入源は、金融サービス提供による手数料と、日本国債などへの投資による運用益です。
運用している資産残高は約226兆円にのぼります(2023年3月期)。
ここ最近は、日本国債以外にも投資対象を拡大中。国内外の社債や日本の株式、不動産ファンドなどにも投資を行っています。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | ゆうちょ銀行 |
証券コード | 7182 |
本社 | 東京都千代田区大手町 |
設立 | 2006年9月 |
決算 | 3月31日 |
市場 | 東証プライム |
事業内容 | 資金運用、金融サービス提供 |
従業員数(連結) | 約12,000名(2023年3月期) |
売上高 | 2兆642億円(2023年3月期) |
配当利回り | 4.62% |
株価 | 1,431円(2023年12月22日終値) |
購入できる証券会社 | 松井証券、楽天証券など |
ゆうちょ銀行は、ネット証券で購入するのが便利で、手数料もお得です。
松井証券の場合、1日の取引額が50万円以下であれば手数料が無料です。ぜひ、この機会に口座を開設しておきましょう。
ゆうちょ銀行の株価はどこまで落ちる?
まずは、ゆうちょ銀行の株価推移を、その後、「ゆうちょ銀行の株価はどこまで落ちるのか?」を考察してみたいと思います。
ゆうちょ銀行の株価推移
ゆうちょ銀行の上場から現在までの株価推移は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
ゆうちょ銀行は、2015年11月に上場しました(公開価格は 1,450円)。
公開直後に1,823円(上場来高値)をつけたものの、その後、株価は下落し軟調な展開に…。
2016年2月には、1,105円の安値を記録しました。
2017年、2018年には1,500円が高値の壁となり、株価は伸び悩みました。
2019年には株価はさらに悪化、8月には1,000円を割り込み、947円の安値をつけました。
さらに、2020年7月には上場来の安値 785円を記録することになります。
その後、株価や一進一退を繰り返しながら、少しずつ上向き方向へ…。
ですが、1,200円の壁をなかなか突破できずに、低調な株価水準が続きました。
2023年に入ると、株価は回復傾向を鮮明にします。9月には、1,352.5円、12月には1,527.5円と2018年以来、約5年半ぶりに公開価格(1,450円)を上回りました。
なお、直近の株価は1,431円(2023年12月22日)となっています。
ゆうちょ銀行の株価はどこまで落ちる?
ゆうちょ銀行の株価はどこまで落ちるのか?
早速ですが、まずは結論から…。
- 株価1,000円が、1つ目の下値の目安。
- 株価1,000円を割ったら、800円が底値の目安と考える。
このように考える根拠を、以下で説明します。
まずは、こちらをご覧ください。
上場(2015年)から2023年まで、ゆうちょ銀行の安値をまとめてみました。
年 | 株価:安値(月) |
---|---|
2015年 | 1,635円(11月) |
2016年 | 1,105円(2月) |
2017年 | 1,324円(4月) |
2018年 | 1,157円(12月) |
2019年 | 947円(8月) |
2020年 | 785円(7月) |
2021年 | 838円(1月) |
2022年 | 944円(5月) |
2023年 | 1,031円(6月) |
2015年の上場以降、安値が1,000円以上だったことが、5回(2015年~2018年、2023年)
安値が1,000円以下だったことが、4回(2019年~2022年)あります。
後ほど、ゆうちょ銀行の業績を紹介しますが、同社の業績は伸び悩んでいるものの、比較的安定しています。
なので、ゆうちょ銀行の株価の見通しは、今までの株価推移が参考になると考えます。
私が想定する、ゆうちょ銀行の下値の目安は、1,000円。
仮に、1,000円を割った場合には、800円が底値の目安となり、上場来安値(785円)を大きく下回ることはないと判断します。
※2020年7月の上場来安値の時は、コロナ禍の中、ゆうちょ銀行の収益性に不透明感が広がり、思惑で株が売られたもので、とくに業績の大幅な悪化や、その他の悪材料が出たわけではありません。
参考:ゆうちょ銀行は3カ月半ぶり上場来安値、収益の先行きに警戒感(会社四季報オンライン)
ゆうちょ銀行は毎期50円の配当を続けています。
株価が1,000円になったら、配当利回りは5%。株価が800円になったら、配当利回りは6.25%になります。
ゆうちょ銀行の株価はなぜ安い?
2015年11月に上場した直後、株価は1,823円まで上昇しましたが、すぐに下落してしまいました。
2023年12月22日現在、株価は1,431円で、公開価格(1,450円)を下回っている状態です。
ゆうちょ銀行の株価は、なぜ安いのでしょうか? 考えられる理由は、下記の3点です。
- 理由①:売上高や利益が伸び悩んでいるから
- 理由②:日本郵政による株式の大量売却
- 理由③:日銀のマイナス金利政策の実施
以下で解説します。
理由①:売上高や利益が伸び悩んでいるから
理由の1つ目は、売上高や利益が伸び悩んでいるからです。
2015年以降の業績は、下記のとおり。
決算期 | 売上高 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2015年3月 | 2兆781億円 | 5,694億円 | 3,694億円 |
2016年3月 | 1兆9,689億円 | 4,819億円 | 3,250億円 |
2017年3月 | 1兆8,972億円 | 4,420億円 | 3,122億円 |
2018年3月 | 2兆449億円 | 4,996億円 | 3,527億円 |
2019年3月 | 1兆8,454億円 | 3,739億円 | 2,661億円 |
2020年3月 | 1兆7,995億円 | 3,791億円 | 2,734億円 |
2021年3月 | 1兆9,467億円 | 3,942億円 | 2,801億円 |
2022年3月 | 1兆9,776億円 | 4,908億円 | 3,550億円 |
2023年3月 | 2兆642億円 | 4,555億円 | 3,250億円 |
売上高(経常収益)は、2015年3月期の2兆781億円が最高で、それ以降は伸び悩んでいます。
純利益も、2015年3月期の3,694億円が最高で、それ以降は伸び悩んでいます。
収益性の良い年は、3,500億円台。悪い年は、2,700億~2,800億円台の純利益となっています。
株価は、企業の成長性を評価して上昇します。
ゆうちょ銀行の株安の原因の1つが、業績の伸び悩みです。
理由②:日本郵政による株式の大量売却
理由の2つ目は、筆頭株主である日本郵政による株式の大量売却です。
日本郵政は2023年3月、保有するゆうちょ銀行の株式約11億株を売却しました。
これにより、出資比率も当初の89%から60%へ引き下げられました。
ちなみに、売却価格は1,131円で、上場時の公開価格1,450円を大きく下回っており、株安の要因の1つと考えられます。
今後も、日本郵政はゆうちょ銀行株を売却する予定で、2025年度(2026年3月期)までに出資比率を50%以下に引き下げる方針です。
日本郵政の出資比率は、現在60%。残り10%のゆうちょ銀行株を売却する予定です。
理由③:日銀のマイナス金利政策の実施
理由の3つ目は、日銀のマイナス金利政策の実施です。
ゆうちょ銀行の収入源は、日本国債などへの投資による運用益と、金融サービス提供による手数料です。
このうち、日本国債などからの運用益が、売上高の60~70%を占めています。
日銀のマイナス金利が導入されたのが、2016年1月。
参考までに、ゆうちょ銀行の投資による運用益の推移を載せておきます。
決算期 | 投資による運用益 |
---|---|
2016年3月 | 1兆7,312億円 |
2017年3月 | 1兆5,675億円 |
2018年3月 | 1兆5,027億円 |
2019年3月 | 1兆3,577億円 |
2020年3月 | 1兆3,178億円 |
2021年3月 | 1兆1,983億円 |
2022年3月 | 1兆3,697億円 |
2023年3月 | 1兆2,436億円 |
マイナス金利の影響がまだ少なかった、2016年3月期には運用益が、1兆7,312億円ありました。
その後、マイナス金利の導入とともに、日本の10年物国債の金利も下落。
10年物国債に投資をしていた、ゆうちょ銀行の運用益も減少していきます。
直近の決算(2023年3月期)の運用益は、1兆2,436億円。
2016年3月期に比べて、約5,000億円もの減収で、ゆうちょ銀行の株安の要因となっています。
運用益を増加させるため、ゆうちょ銀行は投資先を日本国債から外国社債へ移行させています。
ゆうちょ銀行100株で配当金はいくらもらえる?
ゆうちょ銀行の2023年3月期の配当金は、下記のとおり。
時期 | 配当金 |
---|---|
中間配当(2022年9月) | 0円 |
期末配当(2023年3月) | 50円 |
合 計 | 50円 |
ゆうちょ銀行の配当は、年1回、3月末に行われます。
※2017年3月期~2020年3月期までは、中間配当と期末配当の年2回の分配。
100株を保有している場合、5,000円の配当金を受け取ることができました。
※なお、実際の手取り額は3,985円(20.315%の所得税・住民税が引かれる)です。
配当金の額は、業績によって変化します。moomoo(ムームー)などの株アプリで、会社の動向をウォッチしていきましょう。
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✓ ゆうちょ銀行の配当実績&2024年3月期の予想配当金
ゆうちょ銀行の配当実績(過去7期分)と、2024年3月期の予想配当金は、下記のとおり。
※配当利回り= 各期の配当金 ÷ 株価(期末)× 100で算出
決算期 | 配当金 | 株価(期末) | 配当利回り | 配当性向 |
---|---|---|---|---|
2017年3月 | 50円 | 1,381円 | 3.62% | 60.0% |
2018年3月 | 50円 | 1,428円 | 3.50% | 53.1% |
2019年3月 | 50円 | 1,209円 | 4.14% | 70.4% |
2020年3月 | 50円 | 997円 | 5.02% | 68.5% |
2021年3月 | 50円 | 1,064円 | 4.70% | 66.9% |
2022年3月 | 50円 | 985円 | 5.08% | 52.7% |
2023年3月 | 50円 | 1,083円 | 4.62% | 57.5% |
2024年3月(予想) | 50円 | - | - | - |
ゆうちょ銀行は、2017年3月期から2023年3月期まで、毎期50円の配当を実施しています。
2024年3月期の予定配当金も、50円となっています(ゆうちょ銀行、決算短信より)。
なお、ゆうちょ銀行の現在の株価は1,431円(2023年12月22日終値)なので、配当利回りを計算すると、3.49%(50円 ÷ 1,431円 × 100)になります。
また、ゆうちょ銀行の過去7期分の配当利回りは、3.50~5.08%。平均すると、4.38%です。
東証プライム全銘柄の平均利回りは、2.29%(2023年12月22日、日本経済新聞より)なので、平均の2倍近くあり、高利回りだと言えるでしょう。
配当狙いで、ゆうちょ銀行に投資するのは「アリ!」だと考えます。
とくに株価1,000円以下で購入できれば、配当利回りは5%台になります。
参考までに、ゆうちょ銀行の配当方針も載せておきます。
中期経営計画期間中(2022年3月期~2026年3月期)は、配当性向は50%程度とする方針。
引用元:ゆうちょ銀行 株主還元
ゆうちょ銀行の株主優待は?
ゆうちょ銀行の株主優待は、毎年3月31日現在の株主名簿に記録された、500株以上保有している株主が対象。
株主優待の内容は、ゆうちょ銀行のオリジナルカタログから、好きな商品(3,000円相当)を1つ選べるというもの。
最新のカタログ掲載商品は、「氷温熟成小分けローストビーフ」「揖保乃糸そうめん」「神戸プリン」「山形県産 サンふじりんご」などです。
より詳しくは、下記をご覧ください。
ゆうちょ銀行の株主優待は、保有株数500株以上という縛りや、優待品の内容から考えると、あまり魅力的ではありません。
株主優待は、「おまけ」と考えた方が良さそうです。
ゆうちょ銀行100株はいくらで買える?
ゆうちょ銀行100株を購入する場合、下記で計算できます。
株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金
2023年12月22日のゆうちょ銀行の終値は、1,431円なので、これで計算してみます。
ちなみに、私も利用している松井証券の場合、50万円までの取引なら、手数料は無料となっています。
1,431円 × 100株 + 0円= 143,100円
15万円くらいで、ゆうちょ銀行の株主になれます。
ほとんど利息の付かない、ゆうちょ銀行に貯金をしているよりも、はるかに効率の良い運用ができます。
ただし、株式投資のリスク(株価の値下がり・配当金の減配や無配)を理解した上で、投資しましょう。
ゆうちょ銀行、今後の株価の見通しは?
ゆうちょ銀行の株価推移(過去5年)は下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
株価は、下記の計算式で求められます。
EPS(1株利益)× PER(株価収益率)= 株価
2024年3月期のゆうちょ銀行の予想EPSは、92.59円(ゆうちょ銀行 決算短信より)。
ゆうちょ銀行の過去5期分のPERは、最低が10.39倍、最高が17.02倍(ゆうちょ銀行 有価証券報告書より)。
以上の2つの数字から、ゆうちょ銀行の株価を計算すると下記になります。
92.59円 × 10.39倍~17.02倍 = 962円~1,576円
あくまでも、計算上ですが、「962円~1,576円」という株価が算出されました。
ちなみに、現在のゆうちょ銀行の株価は 1,431円(2023年12月22日終値)。
過去5年分の株価チャートを確認すると、ここ5年間の最高値は1,527.5円(2023年12月)。
以上より、ゆうちょ銀行の株価は、業績の劇的な変化や新たな株価材料がない限り、1,500円台が上限の目安と考えます。
私がゆうちょ銀行に投資するなら、配当利回り5%を狙える
株価1,000円割れのタイミングで購入します。
まとめ:今回のポイント
今回は、ゆうちょ銀行(7182)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- ゆうちょ銀行の株価はどこまで落ちる?:株価1,000円が、1つ目の下値の目安。
もし、株価1,000円を割ったら、800円が底値の目安と考える。 - ゆうちょ銀行の株主優待は、500株以上保有している株主が対象。
ゆうちょ銀行のオリジナルカタログから、好きな商品(3,000円相当)を1つ選べる。 - 今後の株価の見通しは、業績の劇的な変化がない限り、1,500円台が上限だと考える。
あくまでも個人的な意見ですが、ゆうちょ銀行は「配当狙い」として、おすすめできる銘柄の1つだと考えます。
業績の伸びは期待できませんが、比較的安定しています。
また、配当金も、増配は期待できませんが、毎期50円の安定配当です。
とくに、株価が1,000円を割り込んだ場合には、配当利回りが5%を超えるので、ポートフォリオに組み込むのも悪くはないでしょう。
ただし、ゆうちょ銀行の資金運用先は、リターンの少ない日本国債から、外国の社債や不動産ファンドへと比重を移しています。
ゆうちょ銀行株に興味のある方は、株アプリや決算短信などで、業績をチェックしつつ、投資をしましょう。
金融株については、こちらの記事も、ぜひご覧ください。
※投資判断は、自己責任でお願いします。
今回は以上です。