旅行需要が回復してきましたが、ANA株は買い時ですか?
今、ANA株を買うのは危ないですか?株価・配当金の今後の見通しと一緒に教えてください。
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「危ない?ANA株は買い時か?」「ANAの株主優待券の内容は?」「ANA、株価・配当金の今後の見通し」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- 危ない?ANA株は買い時か? → 危なくはないが、今は買い時ではない
- ANAの株主優待券は、ANA国内線の搭乗優待券&ANAグループ各社・提携ホテルの優待券
- ANAの株価の見通しは、今から数年をかけて 4,000円を目指す展開に…
- ANAの予想配当金(2024年3月期)は 30円と、5期ぶりの復配予定
より詳しい内容は、ぜひ本記事をお読みください!
※記事は2~3分で読み終わります。
ANAはどんな会社?
ANAホールディングス(9202)は、国内線・国際線ともに国内No.1の航空会社。
売上高は1兆7,074億円(2023年3月期)で、業界2位のJAL(売上高:1兆3,755億円)をリードしています。
2013年4月に持ち株会社制へ移行。傘下には、ANA、エアージャパン、LCC(格安航空会社)のピーチ・アビエーション、ANA Cargo、全日空商事などがあります。
売上高の30%を国内線・旅客、25%を国際線・旅客が稼いでいます(2023年3月期)。
現在、3本目の柱である貨物(売上高の18%)を強化中で、日本郵船(9101)の子会社・日本貨物航空を、2023年10月に買収すると発表しました。
※航空当局の認可に時間がかかることから、日本貨物航空の買収は2024年2月に延期されました。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | ANAホールディングス |
証券コード | 9202 |
本社 | 東京都港区東新橋 |
設立 | 1952年12月 |
決算 | 3月31日 |
市場 | 東証プライム |
事業内容 | 航空(旅客・貨物)、航空関連、商社 など |
従業員数(連結) | 約40,000名(2023年3月期) |
売上高 | 1兆7,074億円(2023年3月期) |
配当利回り | 0%(2023年3月期) ※4期連続、無配 |
株価 | 3,093円(2023年12月15日終値) |
購入できる証券会社 | 松井証券、楽天証券 など |
ANA株は、ネット証券で購入するのが便利で、手数料もお得です。
松井証券の場合、1日の取引額が50万円以下であれば手数料は無料です。ぜひ、この機会に口座を開設しておきましょう。
ANAの業績推移
ANAの過去7期分の業績は、下記のとおりです。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2017年3月 | 1兆7,652億円 | 1,455億円 | 988億円 |
2018年3月 | 1兆9,717億円 | 1,645億円 | 1,438億円 |
2019年3月 | 2兆583億円 | 1,650億円 | 1,107億円 |
2020年3月 | 1兆9,742億円 | 608億円 | 276億円 |
2021年3月 | 7,286億円 | -4,647億円 | -4,046億円 |
2022年3月 | 1兆203億円 | -1,731億円 | -1,436億円 |
2023年3月 | 1兆7,074億円 | 1,200億円 | 894億円 |
ANAの業績は、コロナウイルスの影響で大きく下振れしました。
日本政府が、新型コロナの緊急事態を宣言したのが、2020年4月。
それまで、2兆円前後あったANAの売上高は、2021年3月期には7,000億円台と3分の1にまで急減しました。
※下記のように、2021年3月の旅客数は、前期比で大幅に減少しました。
決算期 | 国内線・旅客数 | 国際線・旅客数 |
---|---|---|
2020年3月 | 4,291万人 | 941万人 |
2021年3月 | 1,266万人(前期比 70.5%減) | 42万人(前期比 95.5%減) |
新型コロナの病原性や感染対策がわかり、人々のコロナへの認識も変化し始めた2021年以降は、航空需要も少しずつ回復しました。
ANAの2023年3月期(2022年4月~2023年3月)の決算は、売上高が1兆7,000億円台まで回復。営業利益と純利益も、2期連続の赤字から黒字へと転換しました。
ちにみに、ANAの2023年3月期の国内線の旅客数は3,453万人。国際線の旅客数は421万人。
とくに、国内線の旅客数は、コロナ前の水準(旅客数:4,400万人前後)の80%近くまで回復しています。
※国際線のコロナ前の旅客数は 1,000万人前後なので、こちらは40%くらいの回復です。
ANAの株価推移
ANAの株価推移は、下記のとおりです。
※株価チャートは拡大できます。
2019年2月頃には4,000円台だったANAの株価ですが、その後は下落基調に…。
とくに、新型コロナウイルスの影響が出始めた2020年に入ってから、株価は急落。
2020年1月のWHOの緊急事態宣言、4月の日本政府の緊急事態宣言を経て、人々の移動が制限されました。
株価も大きく反応し、2020年4月には2,060円と、2014年2月以来の安値をつけました。
その後、株価は、企業業績の悪化を反映して低迷を続けます。
※2021年1月には、2,161円の安値。2022年3月には、2,150円の安値を記録。
株価が回復に向かったのは、2023年に入ってから…。
2,792円で始まったANAの株価は、2023年6月には3,510円をつけ、約3年半ぶりに3,500円台を突破しました。
2023年12月現在、株価はやや低迷気味で、3,000円台の水準で推移しています。
ANA100株はいくらで買える?
ANAを100株購入する場合、計算式は下記になります。
株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金
2023年12月15日のANAの終値は、3,093円なので、これで計算してみます。
なお、松井証券の場合、50万円までの取引なら手数料が無料なので、おすすめです。
3,093円 × 100株 + 0円=309,300円
31万円くらいあれば、ANAの株主になれます。
【危ない?】ANA株は今、買い時か?
まずは、私の個人的な見解から…。
旅行需要が回復し、業績も上向きつつあるので、ANA株への投資は危なくはない。
とは言え、下記の理由からANA株は今、買い時ではないと考える。
ANA株が買い時ではないと考える理由は、下記のとおりです。
- 理由①:ANA株を安く買えたのは、2020~2022年までだった
- 理由②:エンジン品質問題で業績に悪影響が出るから
- 理由③:日本貨物航空の買収が延期、業績への上乗せが遅れ
以下で解説します。
理由①:ANA株を安く買えたのは、2020~2022年までだった
理由の1つ目は、ANA株を安く買えたのは、2020~2022年までだったからです。
先ほどのANAの株価チャートを再掲します。
※株価チャートは拡大できます。
コロナ禍から回復し、業績も株価も上向き傾向にあるANAですが、株価3,000円台の今から購入するのでは遅すぎると考えます。
※3,000円台で購入すると儲からないとは断定できませんが、株式投資のコツは「安く買って、高く売る」ことなので、私自身は今のタイミングは遅いと考えています。
ANA株で、ひと儲けする(売却益で儲ける)のであれば、株価2,000~2,100円台の安値を付けていた2020~2022年までに投資をすべきでした。
なお、ANA株で儲ける際のポイントは、「配当狙い」ではなく、「売却益狙い」です。
なぜなら、配当を実施していた頃のANAの配当利回りは1%台で、配当狙いでは魅力がほとんどないからです。
とは言え、コロナ禍の出口が見えずらい2020~2022年に
ANA株へ投資をするには、かなりの勇気が必要でした。
私自身も、あの当時、ANA株へは投資できませんでした。
理由②:エンジン品質問題で業績に悪影響が出る
理由の2つ目は、エンジン品質問題で業績に悪影響が出るからです。
ANAが運航しているエアバス機の中で、プラット・アンド・ホイットニー社が開発したエンジンで品質問題が発生しました。
ANAが運航している機体の内、点検の対象となるエアバス機は33機あるとのことで、2024年1月から国内線・国際線の一部路線を減便すると発表しています。
✓ 2024年3月期の業績への影響は?
下記は、ANAの2023年3月期(実績)と、2024年3月期の決算予想です。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2023年3月 | 1兆7,074億円 | 1,200億円 | 894億円 |
2024年3月(予想) | 1兆9,700億円 | 1,400億円 | 800億円 |
2023年10月に発表された、2024年3月期の第2四半期決算(中間決算)では、2024年3月期の通期決算の上方修正も期待されましたが、従来予想が据え置かれました。
その理由は、航空需要の回復を、燃料代の上昇やエンジンの品質問題による整備費の増加が相殺してしまうからです。
これらの費用により、営業利益ベースで約400億円の減益要因になるとされています。
業績回復や復配が見込まれているANAですが、業績を悪化させる材料もでています。
今の時点では、積極的な買いは控えたほうがいいかもしれません。
理由③:日本貨物航空の買収が延期、業績への上乗せが遅れる
理由の3つ目が、日本貨物航空の買収が延期され、業績への上乗せが遅れるからです。
当初、ANAは日本郵船(9101)の子会社で、航空貨物を手掛ける日本貨物航空を2023年10月に買収すると発表していました。
ですが、国内外の航空当局の認可に時間がかかることから、買収を2024年2月に延期することとなりました。
日本貨物航空の売上高は2,182億円、営業利益は618億円、純利益は482億円(いずれも、2023年3月期の数字)と、かなり大きいので、ANAの業績に与える影響は少なくありません。
ANAによれば、日本貨物航空の買収分は2024年3月期の業績に上乗せが可能とのこと。
ですが、2024年2月に買収が完了するのを見届けたほうが無難だと考えます。
ANAの株主優待券の内容は?
ANAの株式を100株以上保有すると、ANA国内線の搭乗優待券および、ANAグループ各社・提携ホテルの優待券が受け取れます。
3月末、9月末時点で100株以上ご所有の株主の皆様に、ANA国内線のご搭乗優待をはじめ、ANAグループ各社・提携ホテルでご利用になれる株主優待を各種ご用意しております。
引用元:ANA 株主優待のご案内
以下は、100株所有した場合の優待内容です。
基準日 | 国内線・搭乗優待券 | グループ各社優待券 | 発送日 |
---|---|---|---|
3月31日 | 1枚 有効期間 6月1日~翌年5月31日 | 1冊(クーポン18枚) 有効期間 6月1日~11月30日 | 5月中旬 |
9月30日 | 1枚 有効期間 12月1日~翌年11月30日 | 1冊(クーポン18枚) 有効期間 12月1日~翌年5月31日 | 11月中旬 |
株主優待のより詳しい内容については、下記をご覧ください。
参考:ANA 株主優待のご案内
ANA、株価・配当金の今後の見通し
最後に、ANAの株価と配当金の見通しについて、以下で考察してみます。
ANA、株価の今後の見通し
株価は、下記の計算式で決まります。
EPS(1株利益)× PER(株価収益率)= 株価
2024年3月期のANAの予想EPSは、170.58円(ANAホールディングス 決算短信より)。
ANAの過去5期分のPERは、最低が9.9倍、最高が28.6倍(ANAホールディングス 有価証券報告書より)。
※PERは、コロナの影響を受けていてない2015年3月期~2019年3月期の5期分を採用。
この2つの数字から、ANAの株価を計算すると下記になります。
170.58円 × 9.9倍~28.6倍 = 1,689円~4,879円
あくまでも、計算上ですが、「1,689円~4,879円」という株価が算出されました。
✓ 参考:コロナ発生前のANAのEPS・PER・株価
コロナ発生前(2015年3月期~2019年3月期)のANAのEPS・PER・株価(期末)をまとめました。
これらの数字も勘案して、今後の株価の見通しを考えてみます。
決算期 | EPS | PER | 株価(期末) |
---|---|---|---|
2015年3月 | 112.4円 | 28.6倍 | 3,218円 |
2016年3月 | 223.6円 | 14.2倍 | 3,171円 |
2017年3月 | 282.4円 | 12.0倍 | 3,398円 |
2018年3月 | 417.8円 | 9.9倍 | 4,118円 |
2019年3月 | 331.0円 | 12.3倍 | 4,059円 |
この表からわかることは、下記の2点です。
- EPSは、業績の回復とともに今後も上昇が見込める。
現在の予想EPS 170.58円が、数年後には300円前後になる可能性も…。 - PERは、12~14倍くらいが妥当な水準。9.9倍は低すぎで、28.6倍は高すぎる。
なお、EPS 300円の根拠は、ANAが2023年2月に公表した『2023~2025年度 中期経営戦略』と『会社四季報 2023年4集』です。
2つの資料を分析すると、2025年または2026年3月期くらいには、ANAのEPSが、300円前後に復活することも不可能ではなさそうです。
以上より、今から数年をかけて、ANAの株価は4,000円を目指す展開になると考えます。
※今から数年後のANAの株価
300円(EPS)× 12~14倍(PER)=3,600~ 4,200円
ANA株に興味のある方は、moomoo(ムームー)などの株アプリで、会社の動向を定期的にチェックしていきましょう。
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ANA、配当金の今後の見通し
ANAの配当実績(過去10期分)と、2024年3月期の予想配当金は下記のとおり。
※配当利回り= 各期の配当金 ÷ 株価(期末)× 100 で算出
決算期 | 配当金 | 株価(期末) | 配当利回り |
---|---|---|---|
2014年3月 | 30円 | 2,230円 | 1.35% |
2015年3月 | 40円 | 3,218円 | 1.24% |
2016年3月 | 50円 | 3,171円 | 1.58% |
2017年3月 | 60円 | 3,398円 | 1.77% |
2018年3月 | 60円 | 4,118円 | 1.46% |
2019年3月 | 75円 | 4,059円 | 1.85% |
2020年3月 | 0円 | 2,639円 | 0% |
2021年3月 | 0円 | 2,572円 | 0% |
2022年3月 | 0円 | 2,556円 | 0% |
2023年3月 | 0円 | 2,876円 | 0% |
2024年3月(予想) | 30円 | - | - |
ANAの配当金は、2014年3月期の30円から2019年3月期の75円までは順調に増配を続けてきました。
コロナウイルスの感染拡大で、純利益が大幅に減少した2020年3月期には無配に転落。
その後、2023年3月期まで、4期連続で無配となっていました。
最新の決算短信では、2024年3月期の予想配当金は30円と、5期ぶりの復配予定となっています。
ちなみに、現在のANAの株価は3,093円(2023年12月15日終値)。配当利回りを計算すると、0.97%になります。
また、配当が実施されていた2014年3月期~2019年3月期の過去6期分の配当利回りは、1.24~1.85%。平均すると、1.54%です。
東証プライム全銘柄の配当利回りは、2.29%(2023年12月15日、日本経済新聞より)。
平均よりも利回りが低く、配当狙いでは魅力がないことがわかります。
最後に、ANAの配当方針を載せておきます。
当社は、期末配当にて年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
引用元:ANAホールディングス 配当情報
配当性向などを示して、株主還元をアピールする上場企業も多い中、ANAは株主還元に消極的な会社だと思います。
まとめ:今回のポイント
今回は、ANAホールディングス(9202)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- 危ない?ANA株は買い時か? → 危なくはないが、今は買い時ではない
- ANAの株主優待券は、ANA国内線の搭乗優待券&ANAグループ各社・提携ホテルの優待券
- ANAの株価の見通しは、今から数年をかけて 4,000円を目指す展開に…
- ANAの予想配当金(2024年3月期)は 30円と、5期ぶりの復配予定
ANAの国内線の旅客数は約3,400万人(2023年3月期)。コロナ前の水準、約4,400万人の80%近くまで回復してきました。
今後の課題は、国際線の旅客数の回復、エンジンの品質問題の解決、そして、日本貨物航空の買収が無事、完了することです。
これらの課題をどう乗り越えていくのか、また、株価はどのように推移していくのか、今後もANAの動向をチェックしていきたいと思います。
※投資の判断は自己責任でお願いします。
今回は以上です。