さくらインターネットの株価が暴落したのはなぜですか?
将来性や今後の見通しを教えてください。
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「さくらインターネットの株価はなぜ暴落した?」「将来性ある?さくらインターネットの今後の見通しは?」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- 株価暴落の理由①:生成AIやクラウド関連で株価が爆上がりした反動
- 株価暴落の理由②:2025年3月期の第1四半期決算で純利益が大幅減
- 今後の株価:今期の業績と生成AIブーム次第だが、「株価は再び、10,000円を目指す展開になる…」と考える
- 将来性は?:GPUクラウドサービスやデータセンターなど、携わっている事業には将来性がある
- 今期(2025年3月期)の予想配当金は、4円を予定
100株保有の場合、配当金は400円
※記事は2分くらいで読み終わります。
さくらインターネットはどんな会社?
さくらインターネット(3778)は、独立系のデータセンター大手。
事業の中心をクラウドサービスに移行。国内の製造業や官公庁向けのサービスに実績があります。
最新の決算(2024年3月期)では、売上高は218億円とまだまだ小粒ですが、今後の成長性に期待が集まっています。
現在、生成AI向けのクラウド事業に注力。北海道の石狩エリアで、GPUクラウド向けにコンテナ型データセンターを構築中です。
※公募増資で188億円を調達。今後5年間で1,000億円を投資する予定。
また、2023年11月にはガバメントクラウドにも選出。国策銘柄として、投資家からも注目されています。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | さくらインターネット |
証券コード | 3778 |
本社 | 大阪市北区大深町 |
設立 | 1999年8月 |
決算 | 3月31日 |
市場 | 東証プライム |
主な事業内容 | クラウドサービス・データセンター・レンタルサーバー |
従業員数(連結) | 約840名(2024年3月期) |
売上高 | 218億円(2024年3月期) |
配当利回り | 0.06%(2024年3月期) |
株価 | 4,905円(2024年11月6日終値) |
購入できる証券会社 | 松井証券、moomoo証券 など |
さくらインターネットは、ネット証券で購入するのが便利で、手数料もお得です。
moomoo証券の場合、日本株の手数料が「無料」です。ぜひこの機会に口座を開設しておきましょう。
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さくらインターネットの業績推移
さくらインターネットの過去5期分の業績は、下記のとおり。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2020年3月 | 219億円 | 9.4億円 | 1.6億円 |
2021年3月 | 221億円 | 13.7億円 | 7.6億円 |
2022年3月 | 200億円 | 7.6億円 | 2.8億円 |
2023年3月 | 206億円 | 10.9億円 | 6.7億円 |
2024年3月 | 218億円 | 8.8億円 | 6.5億円 |
売上高はこの5年間、ほとんど変化がありません。200億円台で推移しています。
営業利益は、毎期、増益と減益を繰り返しており、不安定です。
純利益も同様の傾向…。安定しておらず、利益額も、最大7億円台と物足りなさを感じます。
生成AI関連で株価が爆上がりした、さくらインターネット…。実際の業績を見ると、期待先行型の銘柄であることがわかります。
さくらインターネットの株価推移(株価チャート5年分)
さくらインターネットの株価推移(過去5年分)は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
2020年~2023年6月までの約3年半に渡り、株価は 400~800円台で推移しました。
株価に、変化が見え始めたのが、2023年の6月中旬くらいから…。終値で1,000円を超えるようになりました。
その後、同年11月あたりから、株価は急上昇。12月には2,353円を記録します。
2024年に入ると、株価は急騰します!
1月に4,000円、2月に7,000円を超え、3月には高値10,980円を付けました。
株価が動意づいてからわずか10ヵ月で、10倍株(テンバガー)を達成! 投資家の注目を集めました。
株価が急騰した理由
- 2023年11月:日本企業で初めて、「ガバメントクラウド」の提供事業者として選出
- 2024年1月:エヌビディアのGPUを使った生成AI向けクラウド・サービスを開始
参考:4カ月でテンバガー、さくらインターネットが描く勝ち筋(会社四季報オンライン)
その後は、期待先行で、実績を伴わない株価ブームが終了…。6月には半値以下の4,000円台、8月には3,000円を下回り、安値2,300円を記録します。
現在の株価は、やや回復傾向…。5,000円前後で推移しています。
さくらインターネットの株価はなぜ暴落した?
先述のとおり、さくらインターネットの株価は、2024年3月に10,980円の高値を記録。
ところが、その僅か5ヵ月後には2,300円まで株価は下落…。約80%もの暴落を演じました。
「さくらインターネットの株価は、なぜこんなにも値下がりしたのか?」
このパートでは「さくらインターネットの株価が暴落した理由」を考察してみたいと思います。
株価が暴落した理由としては、下記の2点が考えられます。
- 理由①:生成AIやクラウド関連で株価が爆上がりした反動
- 理由②:2025年3月期の第1四半期決算で純利益が大幅減
それぞれ解説します。
理由①:生成AIやクラウド関連で株価が爆上がりした反動
理由の1つ目は、生成AIやクラウド関連で株価が爆上がりした反動です。
さくらインターネットは、2023年11月には1,200円台だった株価が、4ヵ月後の2024年3月には10,980円と、約10倍に急騰しました。
株価急騰のおもな理由が、下記の2つ。
株価が急騰した理由
- 2023年11月:日本企業で初めて、「ガバメントクラウド」の提供事業者として選出
- 2024年1月:エヌビディアのGPUを使った生成AI向けクラウド・サービスを開始
ですが、上記はあくまでも株価材料であり、実際の業績に反映されるまでにはある程度の時間が必要です。
今までに何度も繰り返された、株価ブームと同様、同社の株価も急落してしまいました。
参考:さくらネットはS安ウリ気配、急上昇の反動で売り膨らみ連日急落(株探)
理由②:2025年3月期の第1四半期決算で純利益が大幅減
理由の2つ目は、2025年3月期の第1四半期決算で、純利益が60%の大幅減になったことです。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2024年3月 第1四半期 | 51.0億円 | 1.0億円 | 1.0億円 |
2025年3月 第1四半期 | 59.3億円 | 2.3億円 | 0.4億円 |
上記のとおり、売上高は、前期比16%増の59.3億円。営業利益は、前期比で2.3倍の2.3億円と好調でした。
ところが、純利益は前期比で60%もの減益となってしまいました。
※大幅減の要因は、新株発行に伴う株式交付費を計上したため。
この決算を嫌気した投資家が同社株を売却…。株価急落の要因となりました。
参考:さくらインターネット株が急反落 4~6月期の純利益が62%減(Quick Money World)
さくらインターネット100株はいくらで買える?
さくらインターネット100株を購入する場合、下記で計算できます。
株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金
2024年11月6日のさくらインターネットの終値は 4,905円なので、これで計算してみます。
なお、moomoo証券の場合、日本株の手数料は「無料」となっています。
4,905円 × 100株 + 0円 = 490,500円
49万円くらいで購入可能です。
【将来性ある?】さくらインターネットの今後の見通しは?
さくらインターネットの今後の見通しはどうなるのか?
ここからは、「株価」と「将来性」に分けて解説していきます。
さくらインターネット、今後の株価の見通し
株価は、下記の計算式で求められます。
EPS(1株利益)× PER(株価収益率)= 株価
2025年3月期の予想EPSは、39.71円(さくらインターネット 決算短信より)。
過去5期分のPERは、最低が33.9倍、最高が311.1倍(さくらインターネット 有価証券報告書より)。
以上の2つの数字から、さくらインターネットの株価を計算すると下記になります。
39.71円 × 33.9倍~311.1倍= 1,346円~12,354円
あくまでも、計算上ですが、「1,346円~12,354円」という株価が算出されました。
現在の同社の株価は 4,905円(2024年11月6日終値)。過去5年間の高値は、10,980円(2024年3月)です。
今後の業績と生成AIブーム次第ですが、「株価は再び、10,000円を目指す展開になる…」と考えます。
ただし、上記株価の根拠は、PER 300倍という異常値です。
「生成AIブームに乗って、株価が上昇する」点に注意が必要です!
参考までに、同社の過去5年分のPER(株価収益率)も載せておきます。
決算期 | PER |
---|---|
2020年3月 | 106.2倍 |
2021年3月 | 37.6倍 |
2022年3月 | 75.5倍 |
2023年3月 | 33.9倍 |
2024年3月 | 311.1倍 |
個人的には、さくらインターネットには投資しません。
株価上昇の根拠が「期待」や「ブーム」だからです。
さくらインターネットの将来性は?
株価に業績が追い付かず、高PERのさくらインターネット…。
個人的には、同社株へ投資する予定はありませんが、携わっている事業自体には魅力があり、「さくらインターネットに将来性はある」と考えます。
さくらインターネットの事業は下記のとおり。生成AI時代を支えるインフラ企業です。
ここからは、2025年3月期 第2四半期の「決算説明資料」(2024年10月発表)を参考にしながら、同社の将来性を展望していきたいと思います。
ポイントは、下記の3点だと考えます。
- ポイント①:生成AI向けGPUクラウドサービス
- ポイント②:石狩データセンターへの投資
- ポイント③:ガバメントクラウドへの取り組み
✓ ポイント①:生成AI向けGPUクラウドサービス
さくらインターネットのクラウドサービスは、単にサーバーやストレージなどのインフラを提供するだけではありません。
現在、注力しているのが生成AI向けGPUクラウドサービスです。
2024年1月に、大企業やAIベンチャー向けにクラウドサービスの提供を開始。
さらに、2024年6月には、AIアプリ開発者向けにもクラウドサービスの提供を開始しました。
今期(2025年3月期)は、GPUクラウドサービスだけで約50億円の売上を見込んでいます。
✓ ポイント②:石狩データセンターへの投資
GPUクラウドサービスの需要拡大に備えて、北海道の石狩エリアにてコンテナ型データセンターを構築中。
2025年3月期~2027年3月期まで、長期に渡り投資を行っていく計画です。
この費用を賄うために、公募増資で188億円を調達済みです。
なお、今後5年間での投資額は1,000億円を見込んでいます。
✓ ポイント③:ガバメントクラウドへの取り組み
2023年11月、日本企業で初めて「ガバメントクラウド」の提供事業者として選出。
2025年度末の正式認定に向けて実績を作るとともに、エンジニア等の人材確保を行っています。
経済安全保障やデジタル赤字の解消の観点からも、さくらインターネットのようなクラウド事業者の育成は急務です。
生成AIやChatGptの利用が当たり前になりつつある現在、「国産」クラウド事業者の重要性は計り知れません。
さくらインターネットは、「国策銘柄であり、企業の将来性も十分に期待できる」と言っていいでしょう。
さくらインターネット、今後の配当の見通し
さくらインターネットの配当実績(過去5期分)は、下記のとおり。
※配当利回り= 各期の配当金 ÷ 株価(期末)× 100 で算出
決算期 | 配当金 | 株価(3月末) | 配当利回り | 配当性向 |
---|---|---|---|---|
2020年3月 | 2.5円 | 466円 | 0.54% | 57.0% |
2021年3月 | 3円 | 782円 | 0.38% | 14.4% |
2022年3月 | 3円 | 570円 | 0.53% | 39.7% |
2023年3月 | 3.5円 | 620円 | 0.56% | 19.1% |
2024年3月 | 3.5円 | 5,680円 | 0.06% | 19.2% |
過去5期分の配当利回りは、0.06~0.56%。平均すると0.41%です。
東証プライム全銘柄の配当利回りは、2.31%(2024年11月6日、日本経済新聞より)なので、平均よりもかなり低いことがわかります。
2024年3月期は株価急騰により、配当利回りは0.06%と絶望的な低さとなりました。
✓ さくらインターネット、今後の配当の見通し
2025年3月期の予想配当金は、4円を予定。
配当金の原資である純利益が10億円台と小さく、データセンターなどの設備投資に莫大なお金が必要なので、今後も配当金には期待できません。
参考までに、同社の配当方針を載せておきます。
引用元:さくらインターネット 株式情報・株主還元
- 株式価値の向上と安定配当の継続を両立させたいと考えている
- 中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としている
なお、さくらインターネットの配当は、現在までのところ、期末配当の年1回のみ。中間配当は実施されていません。
さくらインターネットに関してよくある質問
さくらインターネットに関して、よくある質問をまとめてみました。
- 質問①:さくらインターネットの時価総額を教えて!
- 質問②:国策に売りなし?さくらインターネットと政府の関係は?
以下で回答します。
質問①:さくらインターネットの時価総額を教えて!
さくらインターネットの2024年11月6日の終値は、4,905円。時価総額は、約2,050億円です。
発行済み株式数は、4,189万株になります。
ちなみに、都市型データセンターを運営するブロードバンドタワー(3776)の時価総額が約110億円。
クラウドサービスを行うGMOグローバルサイン・HD(3788)の時価総額が約340億円です。
さくらインターネットへの期待値の大きさが、よくわかります。
質問②:国策に売りなし?さくらインターネットと政府の関係は?
国策銘柄と言うと、「防衛」関連の三菱重工業(7011)や「エネルギー」関連のINPEX(1605)が思い浮かびますが、
「AI・半導体」関連のさくらインターネットも国策銘柄と考えてよいでしょう。
国策銘柄としての期待感があるので、同業他社(ブロードバンド など)よりも「時価総額が異常に大きい」わけです。
さくらインターネットと政府の具体的な関係は、
2023年11月に日本企業で初めて、「ガバメントクラウド」の提供事業者として選出された点です。
今までは、アマゾンやマイクロソフトなど、米国勢のクラウド事業者のみに認められていたことなので、画期的な出来事でした。
2025年度末の正式認定に向けて実績を作ると同時に、エンジニアの人材確保&育成を精力的に行っています。
まとめ:今回のポイント
今回は、さくらインターネット(3778)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- 株価暴落の理由①:生成AIやクラウド関連で株価が爆上がりした反動
- 株価暴落の理由②:2025年3月期の第1四半期決算で純利益が大幅減
- 今後の株価:今期の業績と生成AIブーム次第だが、「株価は再び、10,000円を目指す展開になる…」と考える
- 将来性は?:GPUクラウドサービスやデータセンターなど、携わっている事業には将来性がある
- 今期(2025年3月期)の予想配当金は、4円を予定
100株保有の場合、配当金は400円
さくらインターネットは、ガバメントクラウドやデータセンターなど、生成AI時代における重要な事業を担っているインフラ企業です。
株価は期待先行で割高な感じがしますが、行っている事業にはものすごく将来性を感じています。
今後も同社株をウォッチし続けていきますので、何か新しい変化が出てきたら、こちらのブログに追記していきます。
なお、同社株に興味のある方は、スマホで手軽に確認できる、moomoo(ムームー)などの株アプリを利用して、「株価」と「業績」を定期的にチェックすることをオススメします。
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>>【moomoo】アプリの使い方とメリット、使ってみた感想を解説!
国策銘柄に興味のある方は、こちらの記事もご覧ください。
※投資判断は、自己責任でお願いします。
今回は以上です。