JT株は買ってはいけない高配当株ですか? 買ってはいけない高配当株の特徴や、JTの株価・配当金の見通しについて教えてください。
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「JTは買ってはいけない高配当株?」「JT株、株価の今後の見通し」「JT株、配当金の今後の見通し」などを中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- JTは買ってはいけない高配当株? → リスクを把握した上なら、購入もアリ。ただし、現在の株価は高値圏にあるので、今は「様子見」を推奨
- JTの株価の見通しは、今後の業績次第だが、2024年6月の高値(4,622円)や ここ10年来の高値(2016年2月の4,850円)を目指す展開になると予想
- JTの2024年12月期の予想配当金は 194円。ちなみに、2023年12月期の配当金も 194円(実績)
※記事は2~3分で読み終わります。
JT(日本たばこ産業)は何の会社?
JT(2914)は、たばこを中核事業としつつ、加工食品や医薬品なども手掛けている会社です。
特にたばこは、世界130以上の国と地域で事業展開しており、「セブンスター」「メビウス」「キャメル」など、多数の人気ブランドを所有。
日本国内では、紙巻きたばこの販売シェア6割と圧倒的ですが、加熱式たばこの販売シェアが1割と低迷…。
ここ数年は、先行するフィリップ・モリスの加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」に対抗すべく、「PloomX(プルーム・エックス)」の販売促進に力を入れています。
なお、売上高の内訳は国内が3割、海外が7割と海外の割合が多く、収益面でも海外たばこが業績を支えています。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | JT(日本たばこ産業) |
証券コード | 2914 |
本社 | 東京都港区虎ノ門 |
設立 | 1985年4月 |
決算 | 12月31日 |
市場 | 東証プライム |
事業内容 | たばこ・加工食品・医薬品 |
従業員数(連結) | 約53,000名(2023年12月期) |
売上高 | 2兆8,410億円(2023年12月期) |
配当利回り | 5.32%(2023年12月期) |
株価 | 4,402円(2024年7月8日終値) |
購入できる証券会社 | 松井証券、moomoo証券 など |
JT株は、ネット証券で購入するのが便利で、手数料もお得です。
松井証券の場合、1日の取引額が50万円以下であれば手数料は無料です。ぜひこの機会に口座を開設しておきましょう。
JTの株価推移(株価チャート5年分)
JTの過去5年分の株価推移は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
JTの株価は、2019年後半から2022年後半まで、2,000~2,500円のボックス圏で推移。
株価的には低迷が続きました。
※2020年7月には1,796.5円、2021年3月には1,898円と、株価2,000円割れの安値も記録。
健康志向を背景に、たばこの販売数量が減少していることに加え、為替相場(円高)の影響を受け、業績が悪化したことが大きな要因です。
国内の紙巻たばこの販売数量は、2015年に1,833億本だったものが、2023年には878億本と半減しています。
※引用元:日本たばこ協会
また、円相場も、対ドルで120円(2015年末)だったものが、2019年末には109円、2020年末には103円と「円高」に振れ、売上や利益の下押し要因になりました。
その後、業績の回復と「円安」を背景に、2022年後半から株価は上昇傾向に…。
2024年7月現在、4,300~4,400円前後で推移しています。
※ちにみに、過去10年来の高値は、2015年8月の 4,848円、2016年2月の 4,850円です。
ここ1~2年の株価上昇の要因は、海外たばこの好調や為替の円安、個人投資家の買いにあると考えます。
【JT株】買ってはいけない高配当株?
JT株は買ってはいけないのか?
私の個人的な見解は、下記のとおり。
結論
- リスクを把握した上での投資なら、購入もアリ
- ただし、現在の株価は高値圏にあるので、今は「様子見」を推奨
やはり、5%以上の配当利回りは魅力的です。
ですが、JT株には、危険なリスクもあります。
※投資の際には、JT株のリスクを十分に理解しておきましょう。
✓ JT株が抱えるリスク
JT株のリスクは、下記の3点が考えられます。
- リスク①:世界的な喫煙率低下
- リスク②:業績悪化による減配
- リスク③:ESG投資による投資家離れ
それぞれ解説します。
リスク①:世界的な喫煙率低下
リスクの1つ目は、世界的な喫煙率低下です。
JTの中核事業である「たばこ」は、国内外でたばこ離れ(喫煙率の低下)が進んでいます。
具体的には、日本では2004年に26.4%だった喫煙率が、2019年には16.7%に低下(厚生労働省のデータより)。
世界全体では2000年に32.7%だった喫煙率が、2020年には22.3%に低下しています(WHO、World Health Statisticsより)。
また、WHO(世界保健機関)を旗振り役として、世界中でたばこ対策(たばこの値上げ・増税、屋内禁煙化 etc.)が行われており、今後も厳しい対応が続きそうです。
売上の9割をたばこ事業に依存しているJTにとっては、軽視できないリスクです。
リスク②:業績悪化による減配
リスクの2つ目は、業績悪化による減配です。
JT株の最大の魅力は、高い配当利回りですが、業績次第では2021年のように配当が減額される(減配)リスクがあります。
業績を左右する要因としては、営業利益の2割を稼ぐロシア事業や、円相場(円高になると減収減益)の行方があり、ウクライナ戦争の動向や国内外の金利政策などに気を付けなればなりません。
さらに、減配になれば、株価も下落するので、より注意が必要です。
リスク③:ESG投資による投資家離れ
リスクの3つ目は、ESG投資による投資家離れです。
とくに、外国人の投資家離れが深刻です。
※ちなみに日本では、2015年頃からESG投資が注目され始めました。
下記は、JTの株主の割合です。
決算期 | 外国人 | 個人 | 法人 | 金融機関等 | 政府 |
---|---|---|---|---|---|
2015年12月 | 32.1% | 14.0% | 1.0% | 19.9% | 33.4% |
2017年12月 | 27.4% | 16.3% | 1.0% | 21.9% | 33.4% |
2019年12月 | 15.6% | 27.5% | 1.3% | 22.3% | 33.4% |
2021年12月 | 12.1% | 32.4% | 1.7% | 20.4% | 33.4% |
2023年12月 | 9.8% | 35.6% | 2.1% | 19.1% | 33.4% |
外国人の保有割合は、2015年の32.1%から2023年には9.8%と大幅に減少し、JT株離れが起こっています。
大幅に減った「外国人」に代わって、配当金狙いの「国内の個人投資家」が増加しています。
JT100株を買うのにいくら必要?
ここ1年のJTの株価推移は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
JT 100株を購入する場合、下記で計算できます。
株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金
2024年7月8日のJTの終値は 4,402円なので、これで計算してみます。
なお、私も利用している松井証券の場合、50万円までの取引なら、手数料は無料となっています。
4,402円 × 100株 + 0円 = 440,200円
約44万円で、JTの株主になれます。
JT株、株価・配当金の今後の見通し
JT株の株価と配当金の見通しについて、以下で考察してみます。
JT株、株価の今後の見通し
株価は、下記の計算式で決まります。
EPS(1株利益)× PER(株価収益率)= 株価
2024年12月期のJTの予想EPSは、256.3円(JT 決算短信より)。
JTの過去5期分のPERは、最低が10.67倍、最高が13.42倍(JT 有価証券報告書より)。
この2つの数字から、JTの株価を計算すると下記になります。
256.3円 × 10.67倍~13.42倍= 2,735円~3,440円
あくまでも、計算上ですが、「2,735円~3,440円」という株価が算出されました。
ちにみに、現在のJTの株価は、4,402円(2024年7月8日終値)。
PERを計算すると、17.18倍(4,402円 ÷ 256.3円)になるので、「現在の株価は、ここ5年間では割高な水準」にあると言えそうです。
✓ 参考:JTの過去10年分の株価(高値)
JT株の過去10年分の株価(高値)とPERをまとめてみました。
※2024年は7月8日までの数字。
年 | 株価:高値(月) | PER |
---|---|---|
2015年 | 4,848円(8月) | 16.53倍 |
2016年 | 4,850円(2月) | 16.32倍 |
2017年 | 4,243円(5月) | 16.57倍 |
2018年 | 3,708円(1月) | 12.15倍 |
2019年 | 2,899円(2月) | 12.41倍 |
2020年 | 2,437.5円(1月) | 12.02倍 |
2021年 | 2,417円(12月) | 12.17倍 |
2022年 | 2,871.5円(12月) | 10.67倍 |
2023年 | 3,858円(12月) | 13.42倍 |
2024年 | 4,622円(6月) | - |
先述のとおり、JTの株価は現在、4,402円(2024年7月8日終値)。予想PERは17.18倍で、過去10年間で最も割高な水準です。
一方で、下記のとおり、JTの業績は順調で、今期(2024年12月期)も増収が見込まれていることから、
株価は今後、2024年6月の高値(4,622円)や、ここ10年来の高値(2016年2月の 4,850円)を目指す展開になる…、と予想します。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2021年12月 | 2兆3,248億円 | 4,990億円 | 3,384億円 |
2022年12月 | 2兆6,578億円 | 6,535億円 | 4,427億円 |
2023年12月 | 2兆8,410億円 | 6,724億円 | 4,822億円 |
2024年12月(予想) | 3兆160億円 | 6,480億円 | 4,550億円 |
ですが、JTの株価は高値圏にあるので、個人的には「様子見」を推奨します。
JT株、配当金の今後の見通し
JTの配当実績(過去7期分)と、今期(2024年12月期)の予想配当金は、下記のとおり。
決算期 | 配当金 | 配当利回り | 配当性向 |
---|---|---|---|
2017年12月 | 140円 | 3.86% | 63.9% |
2018年12月 | 150円 | 5.73% | 69.7% |
2019年12月 | 154円 | 6.33% | 78.6% |
2020年12月 | 154円 | 7.33% | 88.1% |
2021年12月 | 140円 | 6.03% | 73.4% |
2022年12月 | 188円 | 7.07% | 75.4% |
2023年12月 | 194円 | 5.32% | 71.4% |
2024年12月(予想) | 194円 | - | − |
JTの配当金は、2017年~2019年12月期にかけて順調に増額されました。
ですが、2020年と2021年12月期に状況が悪化…。
2020年12月期は、純利益(配当金の原資)が、前期にくらべて減少。配当性向を異例の88%まで引き上げて、減配を免れました。
続く、2021年12月期も純利益がそれほど増えず、上場来初の「減配」という結果になってしまいます。
その後、JTは配当政策を転換。現在、下記のような配当方針を公表しています。
資本市場における競争力ある水準として、配当性向75%を目安とする
引用元:JT、経営計画2021より
2022年12月期以降は、業績の回復とともに、配当金も再び増加傾向に…。
2024年12月期の配当金ですが、今のところ、194円を予定しています(JT 決算短信より)。
JT株に関してよくある質問
JT株に関して、よくある質問をまとめてみました。
- 質問①:買ってはいけない高配当株の特徴は?
- 質問②:JT株の将来性は?長期保有向きですか?
- 質問③:JTの株価はなぜ上がる?どこまで上がる?
- 質問④:JT株の株式分割はいつですか?今後の予定は?
以下で、回答します。
質問①:買ってはいけない高配当株の特徴は?
買ってはいけない高配当株の特徴は、下記のとおり。
- 特徴①:配当利回りが高すぎる銘柄
- 特徴②:業績が不安定な銘柄
- 特徴③:配当性向が100%以上の銘柄
- 特徴④:一時的に増配している銘柄
特徴①と②の具体例は、コロナ禍で業績が急拡大した造船株です。
2023年3月期の商船三井(9104)の配当利回りは、16.92%と超高利回りでした。ですが、その後、配当利回りは急低下。
2024年3月期は 4.77%、2025年3月期(予想)は 3%台と大幅にダウンしています。
特徴③の具体例は、2023年12月期の配当性向が2,300%台(!)の井関農機(6310)です。
2024年12月期も、純利益が回復しないため、配当性向100%以上が予想されています。
※日本の上場企業の平均的な配当性向は、30~40%と言われています。
特別配当や記念配当で、一時的に増配される銘柄(特徴④)にも注意が必要です。
買ってはいけない高配当株には共通点があります。
それは、大幅な「減配リスク」を抱えていることです。
JT株は、上記4つの特徴には該当しませんが、配当性向が70%台と、平均的な数値よりも高めなのが気になります…。
質問②:JT株の将来性は?長期保有向きですか?
「JT株をどのくらいの期間、保有するのか」で回答が変わると考えます。
例えば、保有期間が1年~5年未満の場合、「JT株には将来性があり、長期保有向き」だと判断します。
ですが、保有期間が5年以上の場合、「JT株の将来性には不安があり、長期保有向きではない」と判断します。
その理由は、 JT株が抱えるリスクで述べたとおりです。
質問③:JTの株価はなぜ上がる?どこまで上がる?
✓ JTの株価はなぜ上がる?
JTの株価が上がっている理由は、下記の3点にあると考えます。
- 理由①:日経平均が過去最高値を更新し続けている
- 理由②:コロナ後のJTの業績が好調である
- 理由③:新NISAで個人投資家から買われている
理由の1つ目が、現在、日本株にフォローの風が吹いていることです。
代表的な株価指数、日経平均も上昇基調で 4万円の大台に乗せています。
参考:日経平均株価が最高値、東証プライム時価総額1000兆円(日本経済新聞)
理由の2つ目が、下記のとおり、JTの業績が好調であることです。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2021年12月 | 2兆3,248億円 | 4,990億円 | 3,384億円 |
2022年12月 | 2兆6,578億円 | 6,535億円 | 4,427億円 |
2023年12月 | 2兆8,410億円 | 6,724億円 | 4,822億円 |
2024年12月(予想) | 3兆160億円 | 6,480億円 | 4,550億円 |
理由の3つ目が、新NISAをきっかけに、個人投資家から積極的に買われていることです。
参考:新NISA開始から半年、個人投資家は JTなど高配当株に注目(産経新聞)
もともと、配当利回りが5%を超えた2018年頃から、個人投資家が増え始めました。
今回の新NISAが、さらなる個人投資家の流入につながっていると考えます。
✓ JTの株価はどこまで上がる?
こちらについては、JT株、株価の今後の見通しで考察しましたので、ご覧ください。
質問④:JT株の株式分割はいつですか?今後の予定は?
2024年7月現在、JTに株式分割の予定はありません。
当ブログでは、JT株を今後もフォローしていきます。もし、株式分割が発表された場合は、改めて記載します。
まとめ:今回のポイント
今回は、JT(2914)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- JTは買ってはいけない高配当株? → リスクを把握した上なら、購入もアリ。ただし、現在の株価は高値圏にあるので、今は「様子見」を推奨
- JTの株価の見通しは、今後の業績次第だが、2024年6月の高値(4,622円)や ここ10年来の高値(2016年2月の4,850円)を目指す展開になると予想
- JTの2024年12月期の予想配当金は 194円。ちなみに、2023年12月期の配当金も 194円(実績)
JTは高配当が魅力ですが、リスクやデメリットも存在します。
JT株に投資する際には、
- ドルやユーロなど、外国為替の動向
- ロシアをはじめとする、海外たばこ事業の動向
- 加熱式たばこ「PloomX(プルーム・エックス)」の行方
上記の内容に注意しつつ、moomoo(ムームー)などの株アプリで、株価や業績を定期的にチェックすることをオススメします。
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※投資の判断は自己責任でお願いします。
今回は以上です。