
ソフトバンクの株価はなぜ上がらないのですか?
今後の株価や配当金の見通しと一緒に教えてください。
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「ソフトバンクの株価はなぜ上がらないのか」「ソフトバンクの今後の株価・配当金の見通し」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- 株価が上がらない理由①:携帯電話事業の成長鈍化
- 株価が上がらない理由②:配当性向が高い&減配リスク
- 株価が上がらない理由③:発行済み株式数が多く、EPSが小さい
- ソフトバンクの現在の株価は、1,776.5円で上場来高値
いずれ、1,400円~1,500円台(PER15~16倍台)に落ち着く - ソフトバンクの予想配当金は、86円(2024年3月期)
※記事は3分くらいで読み終わります。
ソフトバンクはどんな会社?

ソフトバンク(9434)は、「SoftBank」「Y!mobile」「LINEMO」のブランドを展開する通信会社。
通信業界No.1のNTT(9432)の背中は遠いですが、今や業界No.2のKDDI(9433)の売上高を凌ぐレベルにまで成長しています。
今後の課題は、ヤフー、ZOZO、PayPayなど、非通信部門の強化になります。
配当利回りは5%を超えており、個人投資家にも人気のある銘柄です。
ただし、株価の値動きが悪いのがネック。上場時の公開価格「1,500円」からどこまで値上がりするのかが注目されます。
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | ソフトバンク |
証券コード | 9434 |
本社 | 東京都港区海岸 |
設立 | 1986年12月 |
決算 | 3月31日 |
市場 | 東証プライム |
主な事業内容 | 携帯電話、Eコマース、法人向け事業 |
従業員数(連結) | 約55,000名(2023年3月期) |
売上高 | 5兆9,119億円(2023年3月期) |
配当利回り | 5.62%(2023年3月期) |
株価 | 1,776.5円(2023年9月27日終値) |
購入できる証券会社 | SBI証券、松井証券など |
ソフトバンク株は、ネット証券で購入するのが便利で、手数料も割安です。
SBI証券の場合、20万円までの取引なら手数料が115円(税込)と、店舗型証券より格段に安くお得です。
ソフトバンクの株価推移

ソフトバンクの株価推移は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。

ソフトバンクは、2018年12月に上場。公開価格は1,500円でした。
その後、株価は低迷し、2020年9月には上場来安値 1,158円を記録します。
2021年に入ると株価は少しずつ持ち直しますが、2023年の中頃までは1,500円台と冴えない相場が続きました。
転機が訪れたのは2023年8月になってから。
株価は突然上昇を始め、1,600円、1,700円と値上がりを続けました。
2023年9月27日現在の株価は、1,776.5円と上場来高値を付けています。
今期(2024年3月期)は減益予想なので、
今の株価上昇の行方を冷静に見ていきたいと思います。

ソフトバンクの株価はなぜ上がらない?

2023年8月以降、急に株価が上がり始めたソフトバンク…。
ですが、それ以前は長い間、低迷を続けてきました。
ソフトバンクの株価は、なぜ上がらないのか?
その理由は、下記の3点にあると考えます。
- 理由①:携帯電話事業の成長鈍化
- 理由②:配当性向が高い&減配リスク
- 理由③:発行済み株式数が多く、EPSが小さい
少し解説を加えます。
理由①:携帯電話事業の成長鈍化
理由の1つ目が、携帯電話事業の成長鈍化です。
下記は、過去6期分のモバイル(携帯電話)事業の売上高の推移です。
決算期 | 売上高 |
---|---|
2018年3月 | 1兆5,890億円 |
2019年3月 | 1兆6,286億円 |
2020年3月 | 1兆6,768億円 |
2021年3月 | 1兆6,775億円 |
2022年3月 | 1兆6,081億円 |
2023年3月 | 1兆5,135億円 |
2018年3月期から2020年3月期にかけて、順調に売上を伸ばしてきましたが、2021年3月期に成長がストップします。
さらに、2022年3月期には-694億円、2023年3月期には-946億円と、大幅な減収になっています。
おもな要因として、平均単価の安い「Y!mobile」ブランドの契約数の増加や、各種割引サービスの導入&通信料の値下げによる客単価の減少などが挙げられます。
また、総務省からの携帯料金の引き下げ要請や、楽天モバイルの新規参入などからも影響を受けました。
理由②:配当性向が高い&減配リスク
理由の2つ目が、配当性向が高い&減配リスクです。
ソフトバンクの配当金と配当性向は、下記のとおり。
決算期 | 配当金 | 配当性向 |
---|---|---|
2019年3月 | 37.5円 | 38.8% |
2020年3月 | 85円 | 85.6% |
2021年3月 | 86円 | 82.8% |
2022年3月 | 86円 | 78.2% |
2023年3月 | 86円 | 76.4% |
ここ4期分の配当性向は80%前後で、かなり無理をして配当金を出していることがわかります。
※ちなみに、同じ通信会社のNTT(9432)の配当性向は30~40%、KDDI(9433)の場合は40%前後です。
投資家にアピールできる数少ない点が、少し無理をした「高配当」だと考えます。

✓ ソフトバンクの業績と配当金
ソフトバンクの過去5期分の業績推移と、2024年3月期の業績(予想)をご覧ください。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | 配当金 |
---|---|---|---|---|
2019年3月 | 3兆7,463億円 | 7,194億円 | 4,307億円 | 37.5円 |
2020年3月 | 4兆8,612億円 | 9,117億円 | 4,731億円 | 85円 |
2021年3月 | 5兆2,055億円 | 9,707億円 | 4,912億円 | 86円 |
2022年3月 | 5兆6,906億円 | 9,857億円 | 5,175億円 | 86円 |
2023年3月 | 5兆9,119億円 | 1兆601億円 | 5,313億円 | 86円 |
2024年3月(予想) | 6兆円 | 7,800億円 | 4,200億円 | 86円 |
上記のように、ソフトバンクは今期(2024年3月期)も、86円の配当金を予定しています。
ですが、2024年3月期の売上高は、前期比でほぼ変わらず、営業利益は25%もの減益です。
さらに、配当金の原資である純利益も20%の減益なので、今期の配当性向は90~100%に到達するかもしれません。
「このような高配当をいつまで続けられるのか?」「減配のリスクはないのか?」
このような不安が投資家に広がり、株価が上がりづらいと考えます。
理由③:発行済み株式数が多く、EPSが小さい
理由の3つ目が、発行済み株式数が多く、EPSが小さいからです。
同じ通信会社のKDDIと比較してみます。
※株式数と株価は、2023年9月27日のもの
それ以外の数字は、2023年3月期のもの
項目 | ソフトバンク | KDDI |
---|---|---|
発行済み株式数 | 47.9億株 | 23億株 |
売上高 | 5兆9,119億円 | 5兆6,717億円 |
当期純利益 | 5,313億円 | 6,774億円 |
EPS(1株当たり利益) | 112.5円 | 310.3円 |
株価 | 1,776.5円 | 4,701円 |
ソフトバンクの発行済み株式数は47.9億株で、KDDIの23億株の2倍(!)の規模です。
一方で、当期純利益は5,313億円と、KDDIの6,774億円よりも1,400億円も少ない状況…。
この結果、EPS(当期純利益 ÷ 発行済み株式数)は112.5円と、KDDIのEPS(310.3円)のおよそ3分の1になっています。
このEPSに、PER(株価収益率)を掛けたものが「株価」になります。
- ソフトバンクの株価:112.5円 × 16倍 ≒ 1,776.5円
- KDDIの株価:310.3円 × 15倍 ≒ 4,701円
通信株のPERは、13~14倍くらいがここ数年の水準です。
なので、ここ最近の株価の値上がりでソフトバンクのPERは、やや高めになっています。
いずれにしても、ソフトバンクは発行済み株式数が多く、EPSが小さいため、同業のKDDIの株価よりも3,000円くらい安くなっています。
ソフトバンクの最大の株価対策は、発行済み株式数を大胆に減らすことです!

ソフトバンクの配当利回りは何%?

ソフトバンクの過去5期分の配当利回りは、3.01%~6.18%。平均すると、5.36%です。
東証プライム全銘柄の利回りは、2.18%(2023年9月27日、日本経済新聞より)なので、平均の約2.5倍(!)と、かなりの高配当です。
※配当利回り= 各期の配当金 ÷ 株価(期末)× 100で算出
決算期 | 配当金 | 株価(期末) | 配当利回り | 配当性向 |
---|---|---|---|---|
2019年3月 | 37.5円 | 1,247円 | 3.01% | 38.8% |
2020年3月 | 85円 | 1,374.5円 | 6.18% | 85.6% |
2021年3月 | 86円 | 1,438.5円 | 5.98% | 82.8% |
2022年3月 | 86円 | 1,428円 | 6.02% | 78.2% |
2023年3月 | 86円 | 1,529円 | 5.62% | 76.4% |
2019年3月期は配当金が37.5円で、配当利回りは3%でした。
2020年3月期以降は、配当金が80円台へと大幅に増えたこと、株価がボックス圏で低迷していたことで、6%前後の高利回りになりました。
ソフトバンク100株で配当金はいくらもらえる?

ソフトバンクの2023年3月期の配当金は、下記のとおり。
時期 | 配当金 |
---|---|
中間配当(2022年9月) | 43円 |
期末配当(2023年3月) | 43円 |
合 計 | 86円 |
上記のとおり、ソフトバンクの配当金は、2回に分けて分配されます。
100株を保有している場合、8,600円の配当金を受け取ることができました。
※なお、実際の手取り額は6,853円(20.315%の所得税・住民税が引かれる)です。
ソフトバンクの発表によれば、今期(2024年3月期)の配当金も86円を予定していますが、実際の支払額は業績によって変動することもあり得ます。
なので、3カ月ごとの決算短信等で、つねに会社の動向をチェックしましょう。
>> 決算短信の読み方をサクッと解説!【ポイントは5つだけ】
ソフトバンク100株はいくらで買える?

ここ1年のソフトバンクの株価推移は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。

ソフトバンク100株を購入する場合、下記で計算できます。
株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金
2023年9月27日のソフトバンクの終値は、1,776.5円なので、これで計算してみます。
なお、私がメインで利用しているSBI証券の場合、20万円までの取引なら、手数料が115円(税込)と格安です。
1,776.5円 × 100株 + 115円=177,765円
おおよそ18万円で購入可能です。
高配当株(5%台の配当利回り)として投資を検討している人も多いのではないでしょうか?
個人的には、減配リスク(80%前後の配当性向)
があるので、投資は控えたい銘柄です。

ソフトバンク、今後の株価・配当金は?

最後に、ソフトバンクの株価と配当金の見通しについて、以下で考察してみます。
ソフトバンク、今後の株価の見通し
株価は、下記の計算式で決まります。
EPS(1株当たり利益)× PER(株価収益率)= 株価
2024年3月期のソフトバンクの予想EPSは、88.95円(ソフトバンク、2024年3月期 第1四半期決算短信より)。
ソフトバンクの過去5期分のPERは、最低が12.9倍、最高が13.9倍(ソフトバンク、2023年3月期 有価証券報告書より)。
この2つの数字から、ソフトバンクの株価を計算すると下記になります。
88.95円 × 12.9倍~13.9倍= 1,147円~1,236円
あくまでも、過去のPERに基づいたものですが、「1,147円~1,236円」という株価が算出されました。
算出された株価は、低すぎだと思いますが、「1,400円~1,500円台(PER15~16倍台)が妥当な水準では?」と個人的には考えます。
ちなみに、現在のソフトバンクの株価は、1,776.5円(2023年9月27日終値)。
PERを計算すると、19.97倍(1,776.5円 ÷ 88.95倍)と20倍近くまで買い上げられているので、株価は少し加熱気味かもしれません。
もう一度、ソフトバンクの短期チャート(1年)を掲載しておきます。
※株価チャートは拡大できます。

2023年8月を境に株価は切り上がり、今まで1,500円台で推移してきたものが1,600円、1,700円と上がり続けています。
9月27日の終値 1,776.5円は上場来高値です。
個人的には、現在の株価上昇は一時的なものと考えます。
「ソフトバンクの業績を冷静に見守り続けよう」というスタンスです。

ソフトバンク、今後の配当金の見通し
ソフトバンクの配当実績(過去5期分)と、今期(2024年3月期)の予想配当金は、下記のとおり。
決算期 | 配当金 | 配当性向 |
---|---|---|
2019年3月 | 37.5円 | 38.8% |
2020年3月 | 85円 | 85.6% |
2021年3月 | 86円 | 82.8% |
2022年3月 | 86円 | 78.2% |
2023年3月 | 86円 | 76.4% |
2024年3月(予想) | 86円 | - |
2020年3月期の配当金は、85円と前期に比べて47.5円もアップ。
2021年3月期以降は、毎期86円と高い配当金を出し続けています。
※ただし、配当性向が80%前後と高く、減配のリスクもあるのがネック。
なお、現在のソフトバンクの株価は1,776.5円(2023年9月27日終値)。
2024年3月期の予想配当金も86円なので、配当利回りは4.84%くらいになっています。
最後に、ソフトバンクの配当方針も載せておきますので、参考にしてください。
株主還元:高水準の還元を維持
引用元:ソフトバンク 中期経営計画(2023~2025年度)
(2024年3月期 配当予想は1株当たり86円)
上記のように、2024年3月期の配当金への言及はありますが、それ以外は具体性に欠けます。
個人的には、業績次第で「減配」や減配に伴う「株価下落」のリスクがある銘柄だと考えます。
まとめ:今回のポイント

今回は、ソフトバンク(9434)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- 株価が上がらない理由①:携帯電話事業の成長鈍化
- 株価が上がらない理由②:配当性向が高い&減配リスク
- 株価が上がらない理由③:発行済み株式数が多く、EPSが小さい
- ソフトバンクの現在の株価は、1,776.5円で上場来高値
いずれ、1,400円~1,500円台(PER15~16倍台)に落ち着く - ソフトバンクの予想配当金は、86円(2024年3月期)
ソフトバンク株は、2018年12月に上場(公開価格:1,500円)して以来、低迷を続けていました。
上場から約2年後の2020年9月には、上場来の安値1,158円を記録しています。
つい最近の2023年7月頃までは、1,400円台~1,500円台のボックス相場が続き、イマイチ冴えない銘柄でした。
転機が訪れた2023年8月以降、株価は上昇し、現在の株価は 1,776.5円(2023年9月27日終値)と上場来高値です。
ですが、今からソフトバンク株を買い始めるのは「危険」だと個人的には考えています。
その理由は、「ソフトバンクの株価はなぜ上がらない?」を、ぜひご一読ください。
※投資判断は自己責任でお願いします。
今回は以上です。