資生堂の株価はなぜ下落した? どこまで下がる?
今後の株価・配当の見通しと一緒に教えてください。
こういった質問に答えます。
こんにちは、ブロガー&投資家のフリーです。
今回は、「資生堂の株価は、なぜ下落した?」「資生堂の株価は、どこまで下がる?」「資生堂、株価の今後の見通しは?」を中心に解説します。
ポイントは下記のとおり。
- 株価が下落した理由①:売上高の25%を占める中国事業の低迷
- 株価が下落した理由②:構造改革の遅れとこれに伴う費用計上
- 株価はどこまで下がる?:
過去5年間の安値は、2024年9月に記録した 3,055円。3,000円が、下値の目安になると考える - 今後の株価は業績次第だが、
「3,000円~4,300円」の範囲内で推移すると予想 - 2024年12月期の予想配当金は 60円
前期(2023年12月期)と同額で、増配にはならない見込み
※記事は2分くらいで読み終わります。
資生堂はどんな会社?
資生堂(4911)は、国内最大手の化粧品会社。
主力の国内事業はコロナ禍を経て、メイク需要が回復傾向に…。
ただし、韓国のプチプラコスメ(低価格ブランド)が台頭し、中価格帯のメイクブランドは非常に厳しい状況です。
そんな中、資生堂は高価格帯スキンケアに注力。『SHISEIDO』『クレ・ド・ポーボーテ』などのブランドを強化しています。
なお、日本と並ぶ主力事業の中国では苦戦が続いています。中国経済の不振や原発の処理水排出による、日本製品の不買運動などが苦戦の理由。
「中国事業の立て直し」と、現在進行中の「構造改革」が成功するか否かに、要注目です!
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | 資生堂 |
証券コード | 4911 |
本社 | 東京都中央区銀座 |
設立 | 1927年6月 |
決算 | 12月31日 |
市場 | 東証プライム |
主な事業内容 | 化粧品 ※海外売上比率:約70% |
従業員数 | 約30,000名(2023年12月期) |
売上高 | 9,730億円(2023年12月期) |
配当利回り | 1.41%(2023年12月期) |
株価 | 3,391円(2024年10月22日終値) |
購入できる証券会社 | 松井証券、moomoo証券 など |
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資生堂の業績推移
資生堂の過去5期分の業績は、下記のとおりです。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2019年12月 | 1兆1,315億円 | 1,138億円 | 735億円 |
2020年12月 | 9,208億円 | 149億円 | -116億円 |
2021年12月 | 1兆351億円 | 415億円 | 424億円 |
2022年12月 | 1兆673億円 | 465億円 | 342億円 |
2023年12月 | 9,730億円 | 281億円 | 217億円 |
コロナ前の売上高(2019年12月期)は好調で、1兆1,000億円台を計上。4期連での増収を達成しました。
コロナの影響で悪化した、2020年12月期は、売上高が大きく減少。1兆円を切る水準まで低下しました。
コロナ禍を脱した、2021年と2022年12月期は売上高1兆円を回復したものの、最新の決算(2023年12月期)では再び、1兆円の大台を下回っています。
※2023年12月期の不振の理由は、構造改革によるブランド売却や、中国による日本製品の買い控えの影響です。
純利益については、2019年12月期に700億円台を計上。
その後は、100億円台の最終赤字(2020年12月期)、2期連続の減益(2022年&2023年12月期)と苦戦が続いています。
※2022年と2023年12月期の減益は、人員整理や工場売却など、構造改革の費用計上が主な要因です。
今期(2024年12月期)の業績は、前期と比べて、ほぼ横ばいの見通し。中国事業がどこまで回復するかが、今後の「カギ」になりそうです。
資生堂の株価推移
資生堂の株価推移(過去5年分)は、下記のとおり。
※株価チャートは拡大できます。
2019年10月に 9,170円を付けた株価は、コロナ禍の2020年3月には 5,243円まで下落しました。
その後、業績の回復を背景に株価も上昇。2021年6月には、8,384円を記録します。
ですが、これ以降は業績の低迷とともに、株価は下落局面に突入…。
2022年11月には 5,000円割れの 4,813円、2023年12月には 4,000円も下回り、3,740円を付けました。
2024年に入ってからも、株価は弱含みの展開…。9月には 3,055円を付け、3,000円割れ寸前まで下落しました。
現在の株価も、3,400円前後で停滞しています。
【どこまで下がる?】資生堂の株価はなぜ下落した?
先述のとおり、2019年10月に9,000円台だった資生堂の株価は、現在、3,400円前後で低迷…。
高値からの下落率は、60%強に達しています。
資生堂の株価は、なぜ下落したのか? ここからは、その理由を考察してみたいと思います。
- 理由①:売上高の25%を占める中国事業の低迷
- 理由②:構造改革の遅れとこれに伴う費用計上
以下で解説します。
理由①:売上高の25%を占める中国事業の低迷
理由の1つ目は、売上高の25%を占める中国事業の低迷です。
直近5期分の中国事業の売上高と売上構成比率(売上高に占める割合)をまとめてみました。
決算期 | 売上高 | 売上構成比率 |
---|---|---|
2019年12月 | 2,162億円 | 19.1% |
2020年12月 | 2,358億円 | 25.6% |
2021年12月 | 2,747億円 | 27.2% |
2022年12月 | 2,582億円 | 24.2% |
2023年12月 | 2,479億円 | 25.5% |
上記のとおり、2019年~2021年12月期にかけては、売上高も、売上構成比率も順調に伸びていました。
ところが、2022年12月期には、売上高も売上構成比率も低下、2023年12月期も売上高が低下しています。
※中国経済の不振や、福島原発の処理水放出による日本製品の不買運動などが原因です。
中国事業は、日本事業と同様、資生堂の業績を支える大きな柱です。
この主力事業が成長せずに、低迷していることが、株価下落の一因だと考えます。
理由②:構造改革の遅れとこれに伴う費用計上
理由の2つ目は、構造改革の遅れと、これに伴う費用計上です。
資生堂の構造改革は、2021年に発表された経営戦略『WIN 2023 and Beyond』から始まっています。
その後、2023年2月には、新たな経営戦略『SHIFT 2025 and Beyond』を発表。
構造改革の中味は、不採算店舗の閉鎖を進めると同時に、国内で約1,500人(日本人従業員の1割強)の早期退職を募集する…というもの。
参考:資生堂、国内で早期退職1500人募集 社員の1割強に相当(日本経済新聞)
この構造改革に300億円の費用を計上、下記のとおり、純利益は減少傾向にあります。
決算期 | 売上高 | 純利益 |
---|---|---|
2020年12月 | 9,208億円 | -116億円 |
2021年12月 | 1兆351億円 | 424億円 |
2022年12月 | 1兆673億円 | 342億円 |
2023年12月 | 9,730億円 | 217億円 |
2023年12月期の売上高や純利益の「減少」を見てもわかるとおり、資生堂の経営は厳しい状況です。
長引いている構造改革に決着をつけ、成長戦略に舵を切る施策を行わない限り、株価の低迷は続くものと考えます。
資生堂100株はいくらで買える?
資生堂を100株購入する場合、計算式は下記になります。
株価 × 100株 + 手数料 = 購入資金
2024年10月22日の資生堂の終値は、3,391円なので、これで計算してみます。
ちなみに、moomoo証券の場合、日本株の手数料は「無料」となっています。
3,391円 × 100株 + 0円= 339,100円
34万円くらいで、資生堂の株主になれます。
資生堂、株価の今後の見通しは?
✓ 資生堂、過去5年分の株価(高値・安値)
過去5年分の株価(高値・安値)を一覧表にしてみました。
※2024年は10月22日までの数字
年 | 高値 | 安値 |
---|---|---|
2020年 | 8,040円(1月) | 5,243円(3月) |
2021年 | 8,384円(6月) | 6,375円(12月) |
2022年 | 6,795円(2月) | 4,813円(11月) |
2023年 | 7,160円(6月) | 3,740円(12月) |
2024年 | 5,272円(6月) | 3,055円(9月) |
資生堂の過去5年間での高値は 8,384円(2021年6月)、安値は 3,055円(2024年9月)。
現在の株価は 3,391円(2024年10月22日終値)となっています。
✓ 資生堂、株価の今後の見通しは?
株価は、下記の計算式で求められます。
EPS(1株利益)× PER(株価収益率)= 株価
2024年12月期の資生堂の予想EPSは、55.05円(資生堂 決算短信より)。
資生堂の過去5期分のPERは、最低が54.6倍、最高が78.1倍(資生堂 有価証券報告書より)。
以上の2つの数字から、同社の株価を計算すると下記になります。
55.05円 × 54.6倍~78.1倍= 3,006円~4,299円
あくまでも、計算上ですが、「3,006円~4,299円」という株価が算出されました。
先述のとおり、現在の株価は 3,391円(2024年10月22日終値)で、上記で算出された株価の範囲内にあります。
株価は今後、「3,000円~4,300円の範囲内で推移」すると予想。「株価 3,000円前後で買い、4,000円台に乗せたら売り…という投資方針が良いのでは?」と考えます。
「5,000円台や6,000円台で、売り!」と言いたいところですが、資生堂株にはそこまで強気になれません…。
資生堂、配当の今後の見通しは?
✓ 資生堂の配当実績(過去5期分)
資生堂の配当実績(過去5期分)は、下記のとおり。
※配当利回り= 各期の配当金 ÷ 株価(期末)× 100 で算出
決算期 | 配当金 | 株価 (12月末) | 配当利回り | 配当性向 |
---|---|---|---|---|
2019年12月 | 60円 | 7,782円 | 0.77% | 32.6% |
2020年12月 | 40円 | 7,136円 | 0.56% | 47.2% |
2021年12月 | 50円 | 6,414円 | 0.78% | 42.6% |
2022年12月 | 100円 | 6,471円 | 1.55% | 116.8% |
2023年12月 | 60円 | 4,252円 | 1.41% | 110.2% |
過去5期分の配当利回りは、0.56~1.55%。平均すると1.01%です。
※2022年12月期の配当金が100円になっているのは、創業150周年の記念配当(50円分)が上乗せされたため。
東証プライム全銘柄の配当利回りは、2.34%(2024年10月22日、日本経済新聞より)なので、平均の半分以下で、かなり低いことがわかります
資生堂株は「配当狙い」では、投資できません。
✓ 資生堂、配当の今後の見通しは?
2024年12月期の予想配当金は、60円を予定。
前期(2023年12月期)と変わらずで、増配の見込みはなさそうです。
参考までに、資生堂の配当方針を載せておきます。
引用元:資生堂 株主還元の基本方針・配当金推移
- DOE 2.5%以上を目安とした長期安定的かつ継続的な還元拡充を実現する
資生堂に関してよくある質問
資生堂に関して、よくある質問をまとめてみました。
- 質問①:【やばい?】資生堂の業績悪化の理由は?潰れる?
- 質問②:資生堂の配当金は100株でいくらもらえる?
- 質問③:資生堂の配当金はいつもらえる? 権利確定日は?
以下で回答します。
質問①:【やばい?】資生堂の業績悪化の理由は?潰れる?
資生堂の直近4期分の業績を再掲します。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2020年12月 | 9,208億円 | 149億円 | -116億円 |
2021年12月 | 1兆351億円 | 415億円 | 424億円 |
2022年12月 | 1兆673億円 | 465億円 | 342億円 |
2023年12月 | 9,730億円 | 281億円 | 217億円 |
コロナ禍からは脱した資生堂ですが、2022年と2023年12月期の2期連続で、純利益が減少しています。
また、売上高も、2023年12月期に9,700億円台と、再び1兆円の大台を割り込みました。
さらに、2024年8月に発表された、2024年12月期の中間決算では純利益が1,500万円と、前期に比べて99.9%減と大幅に落ち込んでいます。
※前期(2023年12月期)の中間決算の純利益は、117億5,300万円。
参考:資生堂の純利益99.9%減、中国や免税品が苦戦 1〜6月(日本経済新聞)
資生堂の業績悪化の理由は、下記の2点が考えられます。
資生堂の業績悪化の理由
- 中国と免税店で化粧品販売が低調
- 構造改革費用、約300億円の負担
資生堂には、利益剰余金が約3,700億円あるので、会社がすぐに「潰れる」ことはありません。ですが、このような状況が長引くようであれば「やばい」です。
質問②:資生堂の配当金は100株でいくらもらえる?
資生堂の2024年12月期の予想配当金は、下記のとおり。
時期 | 配当金 |
---|---|
中間配当(2024年6月) | 30円 |
期末配当(2024年12月) | 30円 |
合 計 | 60円 |
中間配当の30円は実施済み。期末配当も30円を予定しています。
2つを合計した、2024年12月期(今期)の予想配当金は60円。
100株を保有している場合、6,000円の配当金を受け取れる計算です。
※なお、実際の手取り額は4,782円(20.315%の所得税等が引かれる)です。
質問③:資生堂の配当金はいつもらえる? 権利確定日は?
✓ 資生堂の配当金の権利確定日は?
資生堂の配当金の権利確定日は、6月下旬(中間配当)と12月下旬(期末配当)です。
権利確定日の2営業日前を「権利付き最終日」と言います。
なので、配当金を受け取るためには、「権利付き最終日」までに資生堂株を購入する必要があります。
✓ 資生堂の配当金はいつもらえる?
資生堂の配当金の支払日は、権利確定日から2~3ヵ月後。
具体的には、中間配当が9月上旬、期末配当が3月下旬になります。
- 中間配当の支払日:9月上旬
- 期末配当の支払日:3月下旬
まとめ:今回のポイント
今回は、資生堂(4911)について解説しました。
ポイントをおさらいすると、下記のとおり。
- 株価が下落した理由①:売上高の25%を占める中国事業の低迷
- 株価が下落した理由②:構造改革の遅れとこれに伴う費用計上
- 株価はどこまで下がる?:
過去5年間の安値は、2024年9月に記録した 3,055円。3,000円が、下値の目安になると考える - 今後の株価は業績次第だが、
「3,000円~4,300円」の範囲内で推移すると予想 - 2024年12月期の予想配当金は 60円
前期(2023年12月期)と同額で、増配にはならない見込み
資生堂株に限りませんが、株式投資で成功するためには、的確な情報収集が欠かせません。
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※投資判断は、自己責任でお願いします。
今回は以上です。